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アフターコロナの時代にリーダーに求められる「素直な心」とは?

アフターコロナの時代にリーダーに求められる「素直な心」とは?

(2020年6月 5日更新)

 
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6月に入って徐々に経済活動が再開しつつありますが、以前と同じような経営環境に戻ることはないと言われています。これからの働き方はどうなるのか、組織と個人のつながりはどうなるのか、どうやって生産性を上げ、利益を確保していくのか……。

先行きの見通しのつかない状況のもとでは、従来からの延長線上の発想はあまり役に立たないかもしれません。不透明なアフターコロナの時代を生き延びるためには、過去の常識や成功体験にとらわれない、白紙の状態の心、すなわち「素直な心」でものごとを見、判断していくことが求められるでしょう。

 

松下幸之助が提唱した「素直な心」とは

私たちがものごとを見たり聞いたりするとき、必ずといっていいほど何らかの障害物が入ってきます。その障害物とは、具体的にいうと、次のようなものです。

・私……私利私欲、私心、プライド、見栄、損得勘定、など

・知……知識、常識、既成概念、経験・体験、など

・情……好き嫌い、愛憎、喜怒哀楽、機嫌、偏見、など

往々にして、私たちはこうした障害物にとらわれたりこだわったりしてしまいます。

その結果、ものごとの真実の姿(実相)が見えなくなる、あるいはゆがんで見えたり、別の色に見えたりするということになり、正しい判断ができにくくなるのです。

経営共創基盤CEOの冨山和彦(とやま・かずひこ)氏が、「だれもが、長年培ってきた経験則や成功体験という色眼鏡をかけているので、それをどこまではずし、白地でファクトを見つめられるかが、組織のリーダーにとって最大のチャレンジである」と述べているように、マネジメントを行ううえで、リーダーには現状(ファクト)を正しく把握する力が求められます。

リーダーが過った現状把握をしてしまうと、不適切な方針や計画が打ち出され、現場の混乱を招いて業績の低下につながってしまうでしょう。したがって、部門の現状を正しく把握し、そこで起きている問題の本質を明らかにすることはリーダーに必須の能力といえるでしょう。そこでリーダーに求められるのが、「素直な心」なのです。

素直な心とは、自分の利害とか感情、知識や先入観などにとらわれずに、物事をありのままに見ようとする心のことです。素直な心になれば、ものごとの実相がつかめて正否や善悪などを正しく判断ができるようになり、自信をもって力強く行動することができます。すなわち、素直な心は、人間を強く正しく聡明にするものなのです。

 

強く願い、内省する

とはいえ、素直な心になることは容易ではありません。素直な心を養い高めるためには、まず「きょう一日、素直な心でいよう」と強く願い、そしてそれができたかどうかを一日の終わりに振り返るという取り組み(内省)を積み重ねるしかありません。素直な心を目指す地道な努力の継続が、リーダーの洞察力、判断力を高めてくれるでしょう。

最後に松下幸之助のことばをご紹介して本稿を締めくくりたいと思います。

 

「自問自答」

自分のしたことを、他の人びとが評価する。ほめられる場合もあろうし、けなされる場合もある。冷やかに無視されることもあろうし、過分の評価にびっくりすることもあろう。さまざまの見方があって、さまざまの評価である。だから、うれしくなって心おどる時もあれば、理解の乏しさに心を暗くする時もある。一喜一憂は人の世の習い。賛否いずれも、ありがたいわが身の戒めと受け取りたい。

だがしかし、やっぱり大事なことは、他人の評価もさることながら、まず自分で自分を評価するということである。自分のしたことが、本当に正しかったかどうか、その考え、そのふるまいにほんとうに誤りがなかったかどうか、素直に正しく自己評価するということである。

そのためには、素直な自問自答を、くりかえし行なわねばならない。みずからに問いつつ、みずから答える。これは決して容易でない。安易な心がまえで、できることではないのである。しかし、そこから真の勇気がわく。真の知恵もわいてくる。もう一度、自問自答してみたい。もう一度、みずからに問い、みずからに答えたい。     

『道をひらく』松下幸之助著(PHP研究所)

 

※1 出典:冨山和彦(2015)「リーダーは合理と情理の達人たれ」,『PHP松下幸之助経営塾』,2015.1-2,vol.21,pp.21(PHP研究所)

 

 

管理職教育・研修


 

的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。
 

 


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