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なぜ部下は思い通りに動いてくれないのか

なぜ部下は思い通りに動いてくれないのか

(2020年9月11日更新)

 
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プレイングマネジャーにとって必要不可欠となる「部下に動いてもらうための方法論」について考えてまいります。基本的には、自ら考えて自発的に行動する「自律型のメンバー」を育てていくことが重要です。


部下が動いてくれない理由

多くのプレイングマネジャーが最初に感じる大きな悩みが、「部下が自分の思うように動いてくれないこと」ではないでしょうか。自分さえ動けばよかったプレイヤー時代にはなかった重い課題が、チームとしての結果を求められるプレイングマネジャーを苦しめます。企業の人事担当者にとっては、社員教育を通して、プレイングマネジャーにこの壁を乗り越えてもらうことが大きな関門となるでしょう。
部下が動かないのには、次のような理由が考えられます。


1)実は動いているが、マネジャーに認識されていない
報連相の不徹底やコミュニケーションの不足によって、マネジャーが部下の動きを把握できていないケース。


2)部下がマネジャーの指示を理解していない
メンバーそれぞれのレベルや習熟度に合わせた指示ができていないため、部下が指示内容を把握できず、それに応える動きができていないケース。


3)指示は理解しているが、何らかの理由で動かない
メンバーの力や知識が不足していて指示通りに動けないケース、メンバーが指示に納得していないケース、メンバーが心に思うことがあって指示を実行する気持ちになれないケースなどがある。


「動機づけ」の2つのパターン

人を動かしていくためには、しっかりした「動機づけ」が必要です。そこでプレイングマネジャーには、どうすればメンバーからやる気を引き出し、動いてもらえるようになるのかについて、有効な考え方と方法を学んでもらうことが重要です。
「動機づけ」には次の2つのパターンがあります。


1)内発的動機づけ

仕事が面白いと感じたり、仕事に対して達成感や貢献感、使命感があれば、それらはメンバーの「内発的動機づけ」となり得る。


2)外発的動機づけ
一言でいえば「アメとムチ」による動機づけ。報酬や賞賛といった「アメ」や、競争や恐怖といった「ムチ」がこれにあたる。
それぞれメリットとデメリットがありますが、自ら考えて行動する「自律型のメンバー」を育てていくためには、「内発的動機づけ」を重視して部下を導いていくほうが得策でしょう。マネジャーは、例えば次に紹介する方法を駆使して、各メンバーが自分自身で動機づけできるようサポートしていきます。


部下の「自己効力感」を高める方法とは

マネジャーがメンバーの「内発的動機づけ」を促していくうえで、各メンバーの「自己効力感」を高めていくことが非常に重要です。「自己効力感」とは、ある課題に対して「自分はこの課題を解決できる」と感じられる気持ちのことです。「自分にはできる」という自信があれば、「失敗を恐れずチャレンジする」「物事にすぐに着手できる」「すぐに諦めない」「できない理由ではなく、どうすればできるのかを考える」といった行動につながります。
メンバーの「自己効力感」を高めるには、次のような方法が効果的です。


1)成功体験をさせる

それぞれのメンバーに「がんばれば達成できるレベル」の課題を与え、課題をクリアする成功体験をさせる。一度成功すれば、同レベルの課題に自信をもって取り組めるようになり、積極性が生まれる。


2)代理的体験を活用する
メンバーに対して、例えば年齢が近い先輩の成功事例を聞かせると、それは代理的経験として認識され、「あの人ができるのなら自分にもできる」という気持ちが生まれる。これにより、課題に前向きにチャレンジするようになる。


3)言語的説得を試みる
マネジャーからメンバーにポジティブな声かけをして、自己効力感を高めていく。「この間〇〇をうまくやってくれたから、次はこの仕事を任せてみたいんだ」と具体的な例をあげて説得することで、やる気を引き出していく。


経験学習モデル

上記のような働きかけによって、各メンバーに仕事の経験を積ませたら、その経験を生かしてさらに大きく成長してもらえるように、「経験から学ぶ習慣」を身につけることも大切です。もちろんプレイングマネジャー自身も、マネジャーとしての新たな経験から学び、さらに進化していくことが重要です。経験を成長に結びつける方法として、コルブの「経験学習モデル」がとても参考になります。


経験学習モデル


ステップ1:具体的経験
内容やレベルに関わらず、そのメンバーが仕事で初めて経験したり挑戦したりすることは、すべて「具体的経験」となる。経験学習モデルのサイクルはここから始まる。


ステップ2:内省的観察
個々の業務にしても、チームで取り組んだプロジェクトにしても、何らかの経験を積んだあとは、その経験を振り返り、反省点や収穫、学んだ点などを整理しておくことが不可欠。振り返りは、個人レベルで行うのはもちろん、チームで反省会を開いて話し合う機会を設けるのもよい。


ステップ3:抽象的概念化
経験を通して得た学びは、「抽象的概念」に落とし込むことで、普遍的なルールや経験則として応用できるようにする。他社に先んじて受注に成功したら「先手必勝」、報連相を怠って失敗したら「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」といった具合に一般論に置き換えると、他の同様なケースでよりよい対応ができるようになる。


ステップ4:能動的実験
経験に基づいて反省し、そこから得た教訓を新しい業務、新しい状況で試していく。

プレイングマネジャーには、チームのメンバーを自発的に動かしていくためのこうした方法論を学んでもらい、マネジメント能力を高めるよう促していくことが重要です。


※本記事は、PHP通信ゼミナール『プレイングマネジャーの仕事術』のテキストを抜粋・編集して制作しました。


通信教育「プレイングマネジャーの仕事術」




森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。


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