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店長の悩み 新人アルバイトやスタッフを育てる方法は?

2020年10月16日更新

店長の悩み 新人アルバイトやスタッフを育てる方法は?

業種、店長の年齢、チェーンか個店か、立地の良し悪し、スタッフ数を問わず、店長がぶつかる壁は共通です。その悩みの解決方法を、年間4,000人、総数5万人の店長に直接アドバイスしてきた鳥越恒一氏の著書『店長が必ずぶつかる「50の問題」を解決する本』からご紹介します。

新人には最初に会社のミッションを教える

店長がまずスタッフに教えるべきことは、会社のミッションです。会社のミッションというのは、経営理念や会社の歴史です。創業者のどういう想いからこの会社は誕生し、どういう想いで経営されているのか、そうした会社の"根幹"の部分を最初にしっかりと伝えてほしいと思います。
ですが、店長自身が会社のミッションを理解していないことがあります。経営理念をただ暗記しているだけだったり、それすら覚えていないこともあったりします。店長が理解していないものを、スタッフたちが理解できるわけがありません。経営理念を聞いたところで、ピンとこないのは当然といえば当然です。
本来であれば、新しいスタッフに最初に教えることなのですが、「これ、経営理念だから目を通しておいて」と言うだけだったり、オリエンテーションで輪読して終わってしまったりすることが珍しくありません。

「はい、喜んで!」の本当の意味

居酒屋などで、注文を受けたりしたときに、「はい、喜んで!」と答えることを義務づけているところがありますが、そう答えているスタッフ全員が、本当に"喜んで"いる表情をしているでしょうか? 無愛想だったり、棒読みのように「はい、喜んでー」と言ったり、そういうスタッフに出会ったことが1度ぐらいはあるはずです。
なぜ、その居酒屋では「はい、喜んで」と答えるようになったのでしょうか。おそらく、創業当初は本当に苦労して、店長は注文が入るたびに心からありがたいと感じ、「喜んでご用意します」という思いを伝えるために「はい、喜んで」と答えていたのだと思います。
ところが年月が経ち、店舗数もスタッフの人数も増えていくにつれて、そうした創業当初の想いが伝わりきらなくなっていきました。理由もわからずにただ言われているとおりに言っているだけのスタッフ、心を込めていないスタッフばかりになり、言葉と行動がまったく一致していない「はい、喜んで」が蔓延する居酒屋になってしまったのです。
そうならないために、会社のミッションを伝えてほしいと思います。創業当初の想いやエピソード、その言葉を言うようになった経緯を説明するだけでも違ってくるはずです。
「お客様の笑顔」や「仲間の喜び」といったキーワードを理念などに入れている企業も多いと思いますが、そのキーワードを入れるようになった理由を説明しないことには、ルールの押しつけになってしまいます。笑顔も挨拶も、理由が腹落ちしないことには、ぎこちないものになり、自然と出てくるものにはならないでしょう。
会社のミッションを全従業員にきちんと伝えることについては、それがスタッフたちに響くか響かないかということよりも、まずはやるかやらないかのほうが重要です。やらない店長が多いですが、絶対にやりましょう。教えても響かないスタッフには繰り返し伝えましょう。もし、店長である自分自身がそういったミッションをしっかり理解していないのであれば、上司やもっと上層部の人から腹落ちするまで話を聞いてください。

「ミスド」や「スタバ」の店舗で感じられること

「感じがいいお店」と言われると、どんなお店が思い浮かぶでしょうか。私の周りの人に尋ねると、決まって出てくるお店があります。ミスタードーナツです。
ミスタードーナツは全国に1300店以上ありますので、私が尋ねた人全員が同じ店舗に行っているわけではないはずです。それでも、「やっぱりミスタードーナツは感じがいいよね」「いつ行っても、接客がいい」と言う人が多い。これだけたくさんの店舗があっても、どの店舗も"感じがいい"と言われる状態になっている。なぜでしょうか。
ミスタードーナツは社内の教育体制が非常にしっかりとしています。店長になるためには、長期間の研修合宿に参加しなければならないのです。合宿は泊まり込みで、会社のミッション、店舗経営のために必要な技術、接客、とにかくすべてを学びます。これだけ時間をかけて店長を育てるからこそ、ミスタードーナツはどこのお店に行っても、"感じがいい"と思われるお店になることができるのです。
同じように"感じがいい"と言われるお店に、スターバックスがあります。なぜスターバックスは普通のコーヒーショップと違うのか。それは会社のミッションがすべてのスタッフに腹落ちしているかどうかの差だと私は思っています。
スターバックスは、「人々の心を豊かで活力あるものにするために─ひとりのお客様、1杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」というミッションを掲げています。スターバックスにはあって他のコーヒーショップでは感じられない雰囲気、それはまさに、「このミッションを体現しよう」とすべてのスタッフが想い、その想いをもとに行動しているからこそ生まれるものだと思うのです。
多くのコーヒーショップでは、ミッションの前にとにかく作業を教えます。すると、スタッフの仕事は「作業をこなすこと」になってしまいます。作業の前に、まずはミッションを教えることです。ミッションが浸透していないと、お客様に心から喜んでもらえる、"感じがいい"と思ってもらえるお店にはなかなかならないのです。

店長が必ずぶつかる50 の問題を解決する本

【出典】『店長が必ずぶつかる「50 の問題」を解決する本』

全国の店長さん! その悩み、解決します。延べ5万人の店長の課題を解決してきた著者による、リアルで実践的なノウハウ集。ぜひ御社の店長教育にご活用ください。

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鳥越 恒一(とりごえ・こういち)
DIC幹部育成コンサルティング取締役社長
1973年生まれ。金融業、飲食業を経て2003年、(株)ディー・アイ・コンサルタンツ入社後、人財開発研究部の担当役員として部門を統括。2012年にDIC幹部育成コンサルティング(株)を設立し、社長に就任。上場企業から個人店まで、飲食・小売・サービス業の人財育成を通したコンサルティングに従事。年間4,000人の店長から相談を受け、これまでに延べ5万人の店長の悩みや現場の課題に対して徹底的に取り組んできた。著書に『実力店長に3 ヵ月でなれる100stepプログラム』(同友館)など。

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