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課長の人事評価、どこかおかしくない?

2015年9月29日更新

課長の人事評価、どこかおかしくない?

課長の人事評価とは、本来どうあるべきでしょうか。評価すべき課長の条件、評価基準などについて、考えてみます。

課長の人事評価の実態

課長になると、経営資源(人、もの、金、情報など)を任され、それらを活用し組織を活性化し、部下を育てながら企業の利益や業績に貢献することが仕事です。しかし、実際の評価は全く違う次元でなされています。また、中小企業と大企業の評価も大きく違うことが興味深いです。
中小企業では、経営者から気に入られて、将来よりも目先の成果を上げた課長が評価されているのが実態です。大手企業になれば、評価される人は違ってきます。部下から慕われて組織に気配りや配慮ができ、組織で問題を起こすことなく、安定した組織運営ができ、社内の人から人望を集めている課長が評価されています。
もちろんこのような課長を評価することに異論はありませんが、今や、多くの企業に求められているのは、変革やイノベーションです。目先の成果だけに目がいく課長や、人柄のよい安定志向の課長が評価されることは構いませんが、どちらの課長も組織のビジョンを語ることがなく、イノベーションの発想や行動の芽を摘み、変革の機会を失ってしまいます。

課長の人事評価のあるべき姿

これからの課長の評価基準は、ビジョンを語り、イノベーションを引き起こすことができるかどうかが大切になってきます。それも、部下にビジョンを浸透させて、モチベーションを上げ、部下を育て、組織が一丸となってイノベーションを起こすことが求められます。
課長がいかにマネジメント能力に優れていても、プレイヤーとして高度な専門性を持っていなければイノベーションが起こりません。しかも、いくら課長がビジョンを語っても、イノベーションを起こそうとしても、すぐに業績は上がりません。自分のプレイヤーとしての時間を、部下育成やイノベーションの取り組みに投下するため、一時的に組織の生産性が下がることもあるでしょう。しかし、将来に対する布石としてその時期こそが種まきの時期ととらえて、経営者や人事はイノベーションの取り組みを評価することが必要になります。
そこで、課長の人事評価には、次のようなことを取り入れるべきです。

●単年度の成果だけではなく、2年から3年のスパンの取り組みも評価する
●「ビジョン」や「戦略」を自分の言葉で語っているか評価する
●イノベーションの芽につながる高度な専門性を磨いているかを評価する
●直属上司の評価だけでなく、コンピテンシー(仕事のできる人の行動特性)に沿って人事が評価する

コンピテンシーは一度決めたものを使い続けるのではなく、環境に応じて更新していくことが必要です。高業績の企業ほど、2年から3年経てばコンピテンシーを見直しています。

評価される課長の条件、評価基準

では課長のどんな能力、行動を評価すべきなのでしょうか。私は、課長研修では、さらに上に出世するために人間性を高めなければならないと伝えています。大前提として、部下を人として尊重し、違う価値観を認め、部下・上司に感謝する気持ちを持たなければなりません。
ここ数年の間で360度評価を取り入れる企業が増えてきました。360度評価とは、上司はもちろん、同僚・部下が日常の行動を観察し、フィードバックすることです。組織をマネジメントする者として、部下からも信頼を得ていなければ上に立つ資格がありません。そのために課長は、次のことを意識することで人間性を高めてほしいものです。

●日頃から良いところ・長所を探し、褒める
●役割だけではなく、使命感を持って情熱的に仕事をする
●時にはポケットマネーで感謝の気持ちを表現する
●組織のビジョンから部下のキャリアを考える
●自分の非は言い訳をせず、素直に認めて謝罪する
●短気を起こさずに、叱らずに丁寧に教える
●言ったことは必ず実行し、小さい約束でもしっかり守る

一方、経営者・経営幹部から評価を得ると、最近では飛び級で抜擢されることもあります。常に高い役職の視点から仕事をしているかどうかが、上位職に上がれるか、そうでないかの基準になります。
次長や部長に上がるのは、上がる前から上位職の仕事をしている課長がほとんどです。ワンランク上の仕事をすることにより、部長や役員から認められ、推薦を得ることができます。また、たとえ仕事で評価を得ても、自分の手柄にするのではなく、「部下が頑張ってくれました」「部長・役員のおかげです」と部下や上司に感謝する心を持つことで、より社内評価が高まります。

評価制度は企業の将来を左右するため、経営者や人事の頭を悩ませるところです。特に、課長の評価基準については、本来のあるべき姿を今一度検討してみる必要がありそうです。


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茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

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