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「部長の指示だからしょうがないだろう!」が口ぐせのイエスマン課長をどう教育する?

2017年3月13日更新

「部長の指示だからしょうがないだろう!」が口ぐせのイエスマン課長をどう教育する?

“イエスマン課長”と呼ばれる、その課長の口ぐせは「部長の指示だからしょうがないだろう!」「僕ら、所詮、サラリーマンだからね」。上司の指示をそのまま部下に伝え、部下に嫌われるイエスマン課長。
今回は、なぜイエスマン課長になってしまうのか、どう教育するのかをお話しします。

朝令暮改型、責任回避型~イエスマン課長の2つのタイプ

イエスマン課長は、ほとんどの会社に存在します。ある意味「イエスマン」は、昭和時代の処世術でした。課長までは個人の成績と上司から気に入られることで出世できました。逆に、上司の方針ややり方を否定する部下は、嫌われて給料も上がりません。人事評価は人がするものですから、必ず好き嫌いの感情が入ってきます。どんな会社でもイエスマンが生まれるのは、ある意味仕方のないことなのかもしれません。そんな時代から会社に残っている課長は、ほとんどイエスマンになります。

イエスマン課長にも2つのタイプがあります。朝、自分が言ったことでも、社長・部長に言われてすぐに意見を変える、朝令暮改型のイエスマン課長。ミスや失敗をしたときに「俺の責任じゃないぞ、社長が言ったから……」と責任を回避する、責任回避型のイエスマン課長。これらが、部下から嫌われる課長の代表格です。

なぜイエスマン課長になってしまうのか

イエスマン課長になるパターンも2タイプあります。入社当初からイエスマンに徹してきた人と、課長になってからイエスマンになった人です。

入社当初からのイエスマンは、「上司の言う事を聞く=仕事」と新入社員時代から教えられてきた人です。何に対しても従順に従うことで上司のご機嫌を取る典型的な「ゴマすり人間」です。自分から意見を言うのではなく、常に「いかがいたしましょう?」と上司にお伺いを立て、言うとおりに従います。

課長になってからイエスマンになる人は、会社のことを考えて意見具申をしても上司批判と受け取られてしまい、やがて保身に走った人たちです。課長になってやる気を出したのに、部長・社長から頭ごなしに批判されてやる気をなくしてしまったパターンです。「余計なことを考えるな!」「このようにやれ!」と言われて聞く耳を持ってもらえず、「結局、上司の言う通りにやらされるのだったら、最初から言わないほうがましだ」と諦めてしまっています。ワンマン上司の下では、自分で考え行動することが馬鹿らしくなってしまいます。イエスマンになるのもやむをえません。

イエスマン課長が組織にもたらす悪影響

イエスマン課長には、部下から冷たい目が注がれます。部下は「上司にペコペコして、ご機嫌ばかり取って。自分の意見はないのか!」「指示・命令をおろしてくるだけで高給をとっている」と感じています。また、「なぜ言いなりになるんだ!」「部長・社長の考えが間違っている場合、断固として意見を言ってほしい」と思っています。自分の信念をもってチームのことを考え、メンバーを守ってくれてこそリーダーです。イエスマン課長についていきたいと思う部下はいません。

イエスマンが社長の周りにはびこると悲劇が起きます。本当に成果をあげている社員が評価されず、上司にゴマをするイエスマンたちが幹部にのし上がっていきます。カリスマ社長の言いなりになり、経営判断に誰も反対しなくなってしまうのです。

結果的に社員は自分で考えて行動することができなくなり、業績も落ちていきます。カリスマ社長とイエスマンが会社をつぶすと言われる所以はここにあります。

管理職の役割を「社長の分身になることだ!」と言うことがよくあります。しかしこれは、社長のイエスマンになることではありません。社長の分身とは、「社長ならどうするだろう」ということを今の立場で「自分で」考えて行動することです。

イエスマン課長をリーダーやマネージャーにするには?

イエスマン課長でも日々の仕事は回るかもしれませんが、重大な局面に遭遇した時、社長や部長がいないと何もすることができず、大きな問題を起こしてしまいます。

イエスマン課長をリーダーやマネージャーにするには、まずは自分で考える習慣を身につけさせることが重要です。相談があるときには、必ず自分の考えを用意してから相談させる。そのためには、問題解決研修やロジカルシンキング研修、戦略思考研修を実施すると良いでしょう。

それよりも、日々の仕事の中でそのような能力を育てることができるのは、上司である社長・部長です。これまでのように指示命令を一方的に与えるのではなく、コーチング・スキルを身に付けて、本人に考えさせて意見をじっくり聴くことも必要です。

まずは、イエスマン課長から質問されたときに、すぐに答えるのではなく「あなただったら、どうする?」と質問をして、問題解決思考を植え付けると効果的です。どんな意見でも真摯に耳を傾けて、批判はせず、いいところを見つけてあげてください。そして、認めた上で、フィードバックしていくことができれば、イエスマン課長から脱皮することができます。

イエスマン課長は、本人の問題もありますが、それよりも社長・部長がどう接するかの方がとても重要です。やはり、組織は上から変わらなければならないということです。

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茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

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