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AI時代の能力開発~仕事を奪われない人材をどう育てる?

AI時代の能力開発~仕事を奪われない人材をどう育てる?

(2018年3月27日更新)

 
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さまざまな業種でAIの導入が進み、仕事のあり方が激変すると叫ばれるなか、企業の人材育成においても新しい観点を持つ必要が生じています。これからの時代に必要とされる能力を見極め、入社2、3年目の若手社員の段階から、先を見越した開発に取り組んでいくことが不可欠です。

 

AIに取って代わられる仕事、生き残る仕事

人工知能=AIの開発・実用化が進んでいます。今後、従来人が行ってきた仕事が徐々にAIに置き換わるなどして、産業構造が大きく変化すると予想されています。さまざまな業務において、人とコンピュータがどのように役割を分担し、共存していくのかが模索されているのです。

具体的には、どの職業がAIに取って代わられる可能性があるのか、あるいは今後も人が行っていくのかについて、さまざまな予測がなされています。なかでも野村総合研究所が、国内の601の職種を分析した結果がよく知られているので、かいつまんで紹介しておきましょう。まずAIが人に代わって行うようになるとされる職種として、一般経理事務員、受付係、クリーニング店員、建設作業員、自動車組立工、塗装工、スーパー店員、タクシー運転手、司法書士、公認会計士、弁理士、社会保険労務士などが挙げられています。今後も人が行っていく、人でなければできない職種としては、アートディレクター、インテリアコーディネーター、メイクアップアーティスト、ゲームクリエイター、テレビタレント、ミュージシャン、漫画家、美容師、保育士、経営コンサルタント、産業カウンセラー、中小企業診断士などが挙げられています。

両者を比較すると、AIに取って代わられるのは「課題解決型の業務」であり、人が引き続き行うのは「目標達成型の業務」といってもいいでしょう。過去のデータや実績に基づいて何らかの課題を解決していく仕事なのか、新しい目標を設定して無から有を生み出していく仕事なのか、という分け方です。AIといえども、コンピュータが無から有を創造することは難しいと考えられるからです。

 

「なぜ」を追究し、AIが苦手な「目標達成型人材」を育成

AIがこれから各業界に本格的に導入されていくなかで、特に若手社員の育成には注意を払わなければなりません。今後AIでも行えるようになる旧来のスキルを高めても、その能力そのものが無駄になってしまう可能性があるからです。AIに置き換えられない、人でなければできない仕事の取り組み方を身につけ、将来有用な人材を育てていくことが重要です。

上記の分析に基づけば、「目標達成型の業務」が遂行できるようになれば、その人材はAI導入後も活躍できるようになると考えられます。目標達成型の業務を行えるようになるには、まず「目標」そのものを発見する能力が必要です。目標を発見するためには、一つには、「なぜ?」を考える習慣をつけることが重要です。なぜその問題は発生したのか、なぜクレームがたびたび発生するのか、なぜその商品は市場に受け入れられなくなったのか、といったことを考え、追究し、原因を突き止めていくということです。原因は一つではないかもしれません。あるいは原因と思われた事象の奥に、さらに根本的な原因が潜んでいるかもしれません。それをとことん突き詰めていくことで、真の原因が判明します。真の原因が分かれば、問題の発生しない態勢づくり、クレームを未然に防ぐ対策づくり、新たに市場に受け入れられる商品づくり、といった目標を打ち立てることができます。

このように「なぜ?」をとことん追究していく姿勢、思考能力を鍛えていくことで、若手社員の「目標達成能力」は高まっていくでしょう。

 

「日々の創意工夫」がAI時代を生き抜くカギに

もう一つ、おそらくAIには難しいと思われる「仕事への取り組み方」を紹介しておきましょう。職種によっては、毎日「同じ業務」「同じ作業」を繰り返すような仕事があるかもしれません。もちろん、決められたマニュアルがあって、それに従って行わなければならない仕事であれば、結果的に「同じ業務」「同じ作業」を反復しなければならない面もあるでしょう。このような仕事は、いずれAIに取って代わられる可能性もあります。

しかし、同じ仕事を繰り返していくなかでも、毎日ほんの少しずつでも改良を加えることによって、より品質を高めたり、よりスピードを速めたり、より効率を高めたりしていくことはできます。既存の技術を転用して、新しい商品を開発できるかもしれません。このように「日々、創意工夫」していくことができるのは、人ならではの能力だといえます。たとえ1日に1つでも、何か新しいことを発見したり、工夫したりしていく習慣をつけることで、AIにはできない仕事ができるようになるわけです。こうした習慣を若手社員につけさせるようにすれば、やがてAI時代に生き残っていける会社へと成長できるはずです。

日々、創意工夫を行うためには、例えば一日の仕事を終えたあと、毎日業務日誌をつけるなどして、気づいたことを記録する習慣をつける方法もあります。また折々に、常に創意工夫を重ねる大切さを伝え、若手社員の意識に植えつけていくことも大切です。AI時代においても、若手社員が「人にしか思いつかない新しい工夫」を行い、日々改善を積み重ねることで、人ならではの役割を果たしていけるのではないでしょうか。

 

若手社員研修


 

的場正晃(まとば・まさあき)

1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。現在、PHP研究所研修企画部長。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

 


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