課長職にマネジメントの革新を!
RSS

若手社員の定着率を上げる取り組み~中小企業の事例から考える

若手社員の定着率を上げる取り組み~中小企業の事例から考える

(2018年4月25日更新)

 
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!ブックマーク
  • Check

若手社員の早期退職が問題になっています。特に中小企業の場合、彼らの指導・育成を上司にだけに任せておくのでは不十分です。定着率がなかなか上がらないときは、上司・管理職の部下育成力を上げることに加え、組織として育成していく態勢を整える必要があります。

 

*   *   *

 

人材育成は互いによく知ることから~朝礼・社内講演会の取り組み事例

私が半年ほど前に取材したアミューズメント会社(正社員約400人)では、毎朝10分ほどの朝礼をしています。全社員が参加しますが、3~5の部署から20~40人の社員が集まり、今日1日の注意事項などを共有します。この朝礼では社員が日替わりで「3分トーク」をします。3分間で日々の仕事や私生活について語るのです。中途採用者が全社員の約6割を占めることもあって、互いの前職も含め、よく知り合う仕組みとして、「3分トーク」を始めたそうです。

この会社は、「私のターニング・ポイント」という名の講演会を毎月1度、社内の大会議室で開いています。社長や役員、管理職が1人選ばれ、社員の前で自分の人生を30分ほどで振り返るのです。内容は現在の仕事や過去に勤務した会社、あるいは私生活など幅広い分野に及びます。人生の中で分岐点になったと思えることを挙げて、それが現在の自分にどのような影響を与えているのかを語るのです。その後、若手社員からの質疑応答の時間が15分ほど設けられています。この場で話し合われた内容は、写真などをまじえて、社内のイントラネットに掲載されます。

ここで大切なことは、「3分トーク」「私のターニング・ポイント」といった取り組みと人材育成を、何らかの形で関係づけることです。このリンクができていないと、取り組み自体が大きな効果をもたらさなくなります。

 

人材育成を人事評価に結びつける仕組み

このアミューズメント会社は、「360度評価」をしています。年2回(9月、3月)の人事評価は、直属上司が1次考課者になり、2次考課者が部長や役員、3次考課者が人事部となります。このラインの評価とは別に、他部署の管理職や担当役員など2~3人がその社員を評価します。ライン外の評価が、評価全体に占めるウェートは高くはありませんが、この取り組みによって、会社全体で社員の成長に関わっていくという文化がつくられているようです。

大切なことは、まず、互いに知ることができる仕組みをつくること。それらが社員の意識に浸透するのは1~3年はかかるかもしれませんが、その状況を見つつ、人事評価に結びつけること。これらは相関関係がありますから、うまくいけば互いに相乗効果を発揮するようになります。アプロ―チはさまざまですが、小さな会社では、この事例にみられるように会社全体で社員を育成する仕組みを構築するべきではないでしょうか。

 

社員の意識調査を定期的に実施している事例

会社全体で人を育てる仕組みができたら、次に取り組みたいのは、現状を把握し、問題点、課題を見つけ出し、改善していくことです。つまり、PDCAサイクル「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→ Action(改善)」を回すのです。

私が2014年に取材した不動産販売会社(250人)では、2か月に1度、全社員を対象に意識調査を実施していました。毎回ほぼ同じ設問で、上司との人間関係や日々の仕事、健康面など計50問をアンケート形式で聞いています。同じような問いにするのは、社員の意識の変化を確認するためです。人事部で集計の後、結果のダイジェスト版を社内のイントラネットに載せます。

設問の中には、仕事や上司への満足度を尋ねるものもありますが、その結果を全社員が見ることができるようになっているのです。大切なことは、上司と部下の間に社内からさまざまな注意が届くようにすることです。これは、上司と部下の間に複数のコミュニケーション・ルートを構築すると言い換えてもよいでしょう。

この会社では毎朝、社長以下6人の役員が会議をしますが、そこで意識調査の結果や問題点、課題なども話し合われます。仕事や上司への満足度が低くなっている社員が見つかれば、上司や人事部を通じて本人に話をきいています。そして、改善される方向に進めているのです。

 

若手社員の育成は上司に任せきりにするのではなく、会社全体で取り組むことが重要です。この積み重ねが定着率を上げることになり、社内を活性化することにもつながっていくのです。御社でもぜひチャレンジしてみてください。

 

 

若手社員研修

 


 

吉田典史(よしだ のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年以降、フリーランスに。特に人事・労務の観点から企業を取材し、記事や本を書く。人事労務の新聞や雑誌に多数、寄稿。著書に『封印された震災死その「真相」』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)、『悶える職場』『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ』(KADOKAWA/中経出版)など。

 


若手・中堅社員研修 最新記事

メールマガジン

更新情報をメルマガで!ご登録はこちらからどうぞ