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将来不安から転職する若手社員。リテンション施策でもっとも重要なことは?

2018年5月 1日更新

将来不安から転職する若手社員。リテンション施策でもっとも重要なことは?

若手社員のリテンションが人事の最重要課題になっています。「この会社で働き続けていていいのか」という不安から転職に走る若手社員。彼らをどう引き止め、育成していくのかを考えます。

INDEX

若手社員のリテンションが人事の最重要課題に

個人差はありますが、若手社員といわれる入社2~4年の間は、今の仕事を続けるべきか、それとも転職するべきかで悩む時期であるともいえます。職場の人間関係がうまくいかなかったり、自分がやりたいと思っていることと仕事内容が合致していなかったり、いろいろな理由で、現在の状況に不満が生まれている可能性があります。また今後、AIの普及などで仕事内容が大きく変化していくことも予想され、自分の将来がいったいどうなっていくのか、漠然とした不安を抱いている若手社員も少なくないでしょう。

社会情勢も大きく変化しています。終身雇用制度が崩壊するとともに、転職市場が活性化し、労働力の流動化は進むいっぽうです。少子高齢化による人手不足といった社会環境の変化も、さまざまな歪みを生み出しています。

こうした状況のなか、企業の人事においては、若手社員のリテンションにどう取り組んでいくかが最重要課題の一つとなっているのです。

若手社員が不安を乗り越え「仕事観」を確立するには

大きな環境変化の中で、将来への不満や不安を抱えた状態が続くのは、本人にとっても、会社にとっても幸福なこととはいえません。この壁を乗り越えていくには、一つには、若手社員にしっかりとした「仕事観」を確立させることが必要です。

そのためには、まず「自分にとって仕事とは何か」「何のために働いているのか」「この世界で、仕事を通じて何を成し遂げていきたいのか」「どのように世の中に貢献していきたいのか」といった根本的なテーマについて、突き詰めて考えさせてみることです。そこで得た結論をもとに、確固たる目標・目的を定めて、納得できる方向に進むことができれば、充実した社会生活・職業人生活を送ることができるのではないでしょうか。言い換えれば、若手社員に「ぶれない自分」の構築を促すことでもあります。

組織への思い、キャリア観、仕事の熱中度を点検する

仕事観の確立に向けた前提として、社員と組織、社員と仕事との関係性について整理しておきましょう。人と仕事・組織とのつながり方を判断するポイントには、次の三つがあるといわれています。

組織に対するコミットメント

現在所属している会社・組織に対して愛着を抱いているかどうか。組織、組織の理念、組織の仲間に対して強い愛着を抱いていれば、それは組織に対するコミットメントが高い状態です。コミットメントが高ければ、たとえ仕事が厳しくても頑張ろうとするはずです。

自分のキャリアに対するコミットメント

「こんなふうになりたい」「こんな能力を身につけたい」「いつかこんな仕事ができるようになりたい」というキャリア観をもっているかどうか、また、それに対して熱意を抱いているかどうか。自分のキャリア観と現在の仕事が合致していれば、やはり仕事が苦しくても頑張れるはずです。

ジョブインボルブメント

ジョブインボルブメントとは、時間が経つのも忘れるほど仕事に没頭し、熱中している状態のことです。現在与えられている仕事に没頭できていて、モチベーションが保たれていれば、そのまま仕事を続ける理由になります。

逃げ道としての転職はよい結果をもたらさない

会社・組織に愛着が湧かず、自分のキャリア形成のプラスになるとも思えず、与えられた仕事に熱中できない人は、次第に転職したいと願うようになります。しかし、ただ単に目の前の嫌なことから逃げ出して、新たな職についたとしても、転職先でまた同じような状態に陥ることが多いはずです。確固たる目的も信念ももたずに別の場所に移っても、そこで偶然に愛着の湧く組織に入れたり、人生の目標が見つかったり、熱中できる仕事に出会えたりする確率は、決して高いとはいえないからです。それどころか転職するたびにゼロからスタートすることになり、ほとんどの場合、年収は下がっていきます。仕事観や目的のない転職は、よい結果をもたらさないことが多いのです。

研修を通じて「仕事観」の確立を促す

自分なりの仕事観を確立し、今後、現場の中心選手として活躍してもらうために、若手社員を対象に集合研修を実施する企業も増えています。

入社2~4年目になり、ある程度仕事に慣れてきた彼らには、自分で判断し行動できることも増えてきます。その段階で、一度立ち止まって「自分は何のために働くのか」をしっかりと考えることで、前向きな発想とエネルギーを引き出すことができます。

また、この段階で現状の棚卸を行なうことは、自分自身の現在の課題を明らかにするという意味でも大きな意義があります。彼らにとって、自分の仕事ぶりを客観視するのはまだまだ難しいものですが、研修では講師からの問いかけや他の受講生との対話から、その手がかりを与えることができます。現状把握をしたうえで、成長目標を意識させることができれば、それは彼らのモチベーションを高めることにもつながります。

自分と会社の幸福が一致する道を選択する

仕事観を確立したうえで、現在の会社で引き続き頑張ろうと思えたら、それは本人にとっても会社にとっても幸せなことです。もしもその人の仕事観がしっかりとつくられたうえで、別の目標が見つかり、自分のキャリア形成のためには別の場所でチャレンジするべきだと判明したら、会社を離れる選択をすることもその人の生き方です。

いずれの選択においても、組織に愛着をもち、キャリアアップにつながり、仕事に熱中できる方向に進んでいくことが、その人にとっても、会社にとっても幸福な道といえるでしょう。じっくりと自分自身を見つめ直し、「ぶれない自分」をつくることがその第一歩になります。「ぶれない自分」が確立できれば、将来、仕事の内容が変わっていくことがあっても、自分なりの「やりがい」や「生きがい」を仕事のなかに見出していけるはずです。

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的場正晃(まとば・まさあき)
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。現在、PHP研究所研修企画部長。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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