上司に対して気の利かない部下には中間報告を指導する!
2018年5月 8日更新
「仕事はできるが気が利かない部下」が、上司にとっての悩みの種になっているケースはよくあります。今回は、仕事ができて気も利く部下に共通する中間報告のポイント、について解説します。
仕事はできるのに気の利かない人によくある、中間報告のパターン
仕事ができる人の中には、「仕事はできるのに気の利かない人」と「仕事ができて気も利く人」がいます。
仕事ができるのに、上司に対して今一つ気が利かない部下には、例えば仕事に対して正確かつ慎重で、または完璧主義である場合があります。
そのような人は中間報連相の際につい、「きちんと報告できる状態になってから」「報告書にまとめてから」「相手が忙しそうにしているから、後ほどタイミングを見計らって」と考えてしまいます。
その結果、上司に対する報連相が後手々々に回ってしまい、心配になった上司から「あの仕事はどうなっている?」と先に訊かれることがあるのです。その典型的な例が、部下の「仕事の終了のメドがついたとき」に行う中間報告です。
ポイントは「その仕事の終了のメドがついたとき」
仕事はできるのに気の利かない部下は、上司から「あの仕事はどうなった?」と聞かれると、「あっ、もうすぐ終わります。終わったら報告しようと思っていました」と答えます。
ですが、終わってからでは遅いのです。なぜなら、上司は「終了前に、どうなっているか知りたい」からです。
その仕事の終了のメドがわかれば、次の仕事の段取りを考えることができます。また、完了までに一度内容を確認して、必要であれば自ら若干の修正を加える機会が欲しい場合もあります。
気の利く部下は中間報告が得意です。その中でもとりわけ完了報告の一歩手前である「終了のメドがついたとき」に行う中間報告は、上司の仕事の補佐にもつながる気の利いた中間報告と言えるでしょう。
安心と信頼は中間報告の上に成り立つ
これまで筆者は3回の連載記事に分けて「若手社員に教えたい中間報告の方法、必要なケースとタイミング」の解説を行ってきました。
ところで、中間報告が必要なケースとしてこれまでに解説してきた、「状況が変わったとき」「長い期間を要する仕事の場合」「仕事の終了のメドがついたとき(今回)」の3つは、やや教科書風の答えですが、日本報連相センターの報連相研修やセミナーの中で、受講者の皆さんに「中間報告はどんな時に何故必要なのでしょうか?」と質問をしたところ、次のような答えが出てきたことがありました。
【受講者からの回答】
「分担して仕事をしているときには、進度を調整するために中間報告が要ります」
「中間報告が必要なのは、指示した上役もちょいちょい忘れていますので、思い出してもらうために必要です」
これは頭で考えた答えではなく、体験から出た答えです。教科書にはない大変優れた現場の中間報連相です。
また、ある管理職の受講者は、「中間報告をするのは、相手に安心してもらい、信頼関係を深めるためです」と答えていました。たいへん深い答えです。教科書風の答えが遠く及ばない、最高の答えではないでしょうか。
「安心と信頼は中間報告の上に成り立つ」といっても言い過ぎではないでしょう。仕事が順調に進んでいても、一言、「あの件は、このように進んでいます」と中間報告すれば、相手は安心するのです。
部下に教えたい中間報告が必要なケースは「状況が変わったとき」「長い期間を要する仕事の場合」「仕事の終了のメドがついたとき」の3つですが、その前提には「その中間報告が上司の仕事の補佐(助け)になっているか」「相手の安心や信頼に繋がっているか」が重要なポイントとなっている、ということなのです。
※本稿は糸藤正士氏に著作権のある『真・報連相』を、著作権者の承認を得て使用しています。
延堂溝壑(えんどう こうがく)
本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。