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トヨタの若手社員は上司の立場で考えて成長する

トヨタの若手社員は上司の立場で考えて成長する

(2018年8月31日更新)

 
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トヨタ自動車では、若手社員のうちから上司の立場で仕事を考えることを徹底しているといいます。その習慣が彼らの「段取り力」を鍛え、成長を支えているのです。

 

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トヨタ自動車の仕事習慣「2階級上の立場で考える」

経験が浅いうちは、自分の仕事をいかにうまく進めていくかと考えていればいいものです。しかし、経験を積むにつれ、複数の人とチームを組んで進めていく仕事が増えてきます。

もちろん、最初はチームのリーダーではなく、チームの一員として参加することがほとんどですが、いずれリーダーとして仕事を進めていくことが求められます。そのような時のために「自分ならどうするか」を考える習慣を身につけることは、今後の彼らの成長のためにとても大切です。

この習慣を社員に徹底しているのがトヨタ自動車です。トヨタには「2階級上の立場で考えろ」という教えが伝統的に社員の間に浸透しています。これは、「自分だけ」「自分さえ」となりがちな若い時から、あえて「係長として」「課長として」と上の立場になったつもりで、仕事全体を見て考えろという教えです。

立場上に行けばいくほど、チーム全体、仕事全体を俯瞰して仕事を進めていかなければならなくなります。しかし、ふだん「自分だけ」「自分さえ」という考え方で仕事をしていると、いざその立場になったときに対応できません。だからこそ、トヨタでは早いうちから全体のことを見渡して考える習慣をもつことの大切さを教えているのです。

また、上司の視点で学べば、上司が何を望んでいるかが見えるようになります。また、「部下からの視点」と「上司からの視点」の2つの立場から段取りが組めると、段取り力はさらにアップし、成長への近道になります。

 

「次は自分が担当するつもりで」上司・先輩に学ぶ

仕事には様々な進め方があります。標準的な進め方があったとしても、仕事ができる人ほど自分なりの工夫を加えているものです。したがって、若手社員には、段取り通りに仕事ができたからといって満足することなく、絶えずより良い進め方はないかと考えさせることが大切です。

より良い仕事の進め方を身につけるためには、上司や先輩など経験が豊富な人の日頃の仕事の進め方を観察することです。たとえば、商談であれば、どのような資料を集めるべきなのか、社内での事前調整が必要であれば、誰にいつするべきなのか、プレゼンテーションの資料の完成はいつまでなのかなどがポイントになります。また、会議であれば、出席者の日程調整や念押しの連絡のタイミング、会議の資料の作成方法、議事録のつくり方などは、次は自分が担当するつもりで学んでもらうとよいでしょう。

次に、学んだことを、今の自分の仕事にどう取り入れるのかを考えさせてください。いきなりすべてを、というのは難しいかもしれませんが、「これはできる」ということを自分なりに見つけて取り入れていくだけでも段取り力が身についていくものです。

 

トヨタ自動車の「タテヨコナナメの人間関係」

仕事の難易度が上がれば上がるほど、1人で完結できない仕事が増えてきます。多くの人からの協力を仰ぐうえで大切になるのが人間関係です。

トヨタ自動車には、「タテヨコナナメの人間関係」という言葉があります。これは全国から社員が集まるトヨタならではの考え方で、年齢や出身地、学歴、部門などの枠を越えて人間関係をつくることが大切だということを教えてくれる言葉です。

この「タテヨコナナメの人間関係」を築くことができていれば、いざという時に頼りにできる人の選択肢が増えます。たとえば、上司から指示されたことが自分1人では「できない」「わからない」ことだったとしても、誰かに相談すれば「できる」「わかる」こととなるはずです。反対に、若手社員にありがちですが、同期や身近な人としか関係を築いていない人は、知識や経験がかたよってしまうため、できることが限られてしまいます。

もちろんこうした人間関係は一朝一夕にできるわけではありません。しかし、難しい仕事、大きな仕事になればなるほど、周りの力を生かす能力が大切になってきます。段取り上手になるためには、日頃から周りの人と良好な人間関係を築いておくことが大切なのです。

 

若手社員は依頼の仕方にも注意が必要

しかし、いくら人間関係ができていたとしても、依頼の仕方については注意が必要です。相手にも仕事があります。自分勝手な都合で「いつまでにお願いします」と依頼しても、受けてもらえるはずがありません。ましてや、若いうちは目上の人に依頼をすることがほとんどです。礼を失した依頼は、相手のいだく印象が悪くなり、人間関係が崩れてしまう危険すらあります。

そこで、依頼の仕方についても、上司や先輩がどのように人に依頼をしているのかを実際に見て、学んでもらう必要があります。段取りよく仕事を進めている上司・先輩の依頼のタイミングや依頼の時に渡している情報などを真似すると、スムーズに依頼ができるようになります。

このように、若手社員は、上司や先輩の立場でものを考え、上司や先輩の仕事の進め方を実際に見て学び、自分の仕事に取り入れることで成長します。

 

御社の若手社員はいかがでしょう。上司や先輩からしっかり学び、日々成長できていますか?

 

 

※本記事はPHP通信ゼミナール『ダンドリ仕事術マスターコース』を抜粋・編集して制作しました。

 

若手社員研修
 

 

【監修者紹介】

桑原晃弥(くわばら・てるや)

1956年、広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者、不動産会社、採用コンサルタント会社を経て独立。人材採用で実績を積んだ後、トヨタ式の実践と普及で有名なカルマン株式会社の顧問として、『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』(成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』(PHP新書)、『トヨタが「現場」でずっとくり返してきた言葉』(PHPビジネス新書)などの制作を主導した。

『スティーブ・ジョブズ全発言』『ウォーレン・バフェット 成功の名語録』(PHPビジネス新書)など著書多数。


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