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自己理解を深め、自分らしさを活かしたリーダーシップを発揮するには

自己理解を深め、自分らしさを活かしたリーダーシップを発揮するには

(2019年1月16日更新)

 
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自分の特徴を理解し、自分の強みが最大限生きるようなかたちでリーダーシップを発揮するという考え方を「パーソナリティ・ベースド・リーダーシップ」と呼び、注目が集まっています。では、自己理解を深めるには、どのような方法が有効なのでしょうか。

 

 

*   *   *

 

自分らしさを活かしたリーダーシップ

前回(「若手社員のリーダーシップを高める4つの視点とは?」)でも述べたとおり、リーダーシップ開発における「自己理解」の必要性は高まっています。

これまでのリーダーシップ論では、「優れたリーダーが行っている行動」の共通項を抽出し、その行動をとれるようにすることが主流とされてきました。確かにこうした方法も有効ですが、実際には個人の特徴によって、リーダーシップ行動の発揮の仕方は変わってきます。例えば、物静かで分析が得意な人が、突然「人前で雄弁にビジョンを語れ」と言われても難しく、効果も限定的にならざるを得ないでしょう。

そうではなく、自分の特徴を理解し、自分の強みが最大限生きるようなかたちでリーダーシップを発揮することが大切になります。こうしたリーダーシップの考え方を、「パーソナリティ・ベースド・リーダーシップ」と呼びます。このような背景からリーダーシップ行動をとる上で「自分らしさ」に注目が集まっているのです。

しかし「自分らしさを活かしたリーダーシップ」と言われても、実際には自分のことを理解しきれていないケースも多いのではないでしょうか。そこで、自己理解を深める上で効果の高い3つのアプローチをご紹介しましょう。

 

1.他者視点をもつ

自己理解を深めるアプローチとして効果があるのが他者視点をもつということです。リーダーシップは「他者に対する影響力」であることから、自分のことを知る際に「相手の視点」を得ることが重要なのです。なぜならば、実際にリーダーシップ行動を行うときにも、自分がよかれと思った行動が、相手にとってはうれしくないことであったり、逆にあまり意識していなかったけれど、相手にとってはうれしい行動であったりということがしばしば起こります。

したがって、自己理解をする上では自分自身で完結するのではなく、「他者からどのように見えているのか?」というフィードバックをもらいにいく姿勢がとても大切になるのです。

 

2.過去の経験を振り返る

自己理解を深めるアプローチの2つめが、過去の経験を振り返って、自分のリーダーシップの強み・弱みについて検討することです。過去を振り返るといっても、難しいことではありません。

最初に、自分が体験した過去のリーダーシップ経験を二つ三つ思い出します。次に、それぞれの経験から「うまくいったと思うこと」や「うまくいかなかったと思うこと」について書き出し、最後に、すべての経験を踏まえて、「自分のリーダーシップの強み・弱み」についてどんな傾向があるかを考えてみるのです。

過去の経験は、自分を知る素材にあふれていますが、なかなかあらたまって振り返ることはありません。せっかく行なった経験をそのままにしていては成長につながりません。定期的に過去を振り返り、これまでにどんな出来事があったかを思い出すと同時に、その中で共通する自分の強み・弱みを把握していくことが自身のリーダーシップ向上につながるのです。

 

3.現在の自分を見つめる

3つめのアプローチが、現在の自分のリーダーシップの現状を把握することです。以下のリーダーシップ行動のチェックリストを使って自己チェックをすることで、現状の自分がどんな行動をしていて、どんな行動をあまりしていないかを把握することができます。

 

リーダーシップ行動のチェックリスト

 

【個の確立】

□新しさを求める

□自分自身が成長しようとする

□挑戦する

□立ち直る

□約束を守る

□フィードバックを求める

□流されない

□自分を客観的に見る

 

【環境整備】

□お互いに認め合う

□意見を求める

□やる気を引き出す

□良い雰囲気をつくる

□仲間を助ける

□利害を調整する

□役割・指示を与える

□フィードバックする

 

【目標設定・共有】

□理想を描く

□理想を共有する

□目標を立てる

□計画を立てる

□目標・計画を共有する

□進捗を管理する

 

こうしたツールを使って現状把握をすることで、自分が現在行動できているリーダーシップ行動はどのようなものか、これから強化しなければいけないリーダーシップ行動は何かが「見える化」され、今後の課題が明らかになるのです。

 

自己理解を将来の目標設定につなげる

他者視点をもつと同時に、過去を振り返り、現状を整理することで、少しずつ自己理解が深まってきます。ここまで来たら今度は視点を未来に向け、「今後どのようなリーダーシップを発揮したいか」について考えてみましょう。

未来の自分のリーダーシップ・スタイルを考える際に重要なポイントは、「自分が本当になりたい姿」をイメージすることと「強みを活かした姿」にすることの2つです。未来の目標を考えようとすると、自分が本当になりたい姿ではなく、「目標のための目標」になりがちです。自分がワクワクするような目標でなければ、そのために行動することはできません。

まず、自分が将来なりたいリーダーシップ・スタイルの内容を書き出します。書いていてワクワクしてくるような内容をできるだけたくさん記入することがコツです。

 

例)

みんなに気づかれなくてもよいけど、そっと業務の効率化につながることをしておける存在、○○さんがいると細かいことに気にせず考えるべきことに集中できるよと言われる、など

 

次に、先ほど書いた内容をもとに、自分が発揮したいと思うリーダーシップ・スタイルを20字程度に要約してみます。その際、強みを活かした形で表現するのがポイントです。そのうえで、そのように要約した理由を書きます。

 

例)

自分が発揮したいリーダーシップ・スタイル

「気配りと先回りで業務を効率化するリーダーシップ」

理由:私は人前で話すのはそれほど得意ではないが、業務を進める上で何が必要かを他の人よりも、早く気づいて行動するのが得意だ。また、その行動にだれかが気づかなくても、それによって業務が効率化されれば喜びを感じるタイプである。

 

日々の忙しさから解き放たれて、自分を見つめる時間をもつことはその人自身の成長に大きな影響を及ぼします。しかし、そうした取り組みを個人任せにしてしまっては、継続が難しいのも事実です。したがって、集合研修などの場で他者と交流しながら自身のリーダーシップについて考える機会が必要になるのです。

未来に対する可能性と夢をもち、活力と柔軟性に富む若手社員にこうした機会を提供することは、イノベーティブな組織風土づくりと事業の持続的成長を促進する上でとても重要な経営課題の一つといっても過言ではありません。若手社員のリーダーシップ開発というテーマに、より多くの企業が真剣に取り組まれ、産業界全体が元気になることを願ってやみません。

 

出典:『リーダーシップ教育のフロンティア 研究編』(北大路書房)

 

 

若手社員リーダーシップ開発研修

 


 

的場正晃(まとば・まさあき)
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。現在、PHP研究所研修企画部長。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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