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何でも聞いてくる若手社員。「考える力」をどう育てる?

何でも聞いてくる若手社員。「考える力」をどう育てる?

(2019年11月 5日更新)

 
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若手社員に「考える力」がついていないことが問題になっています。上司として、彼らの思考力を育成するために有効な方法はあるのでしょうか?

 

考えない若手社員が増えている!

管理職研修で、若手社員の育成に関する悩みを耳にすることがあります。

「こちらから指示するまで、いつまでも待っている」

「わからないところを聞きにくる姿勢は評価するけど、少しは自分で考えて来てほしい」

「若手に多いのは『この件は教えてもらっていない』という不平不満」

ことほどさように、若手社員だけでなくビジネスパーソンの「考える力」が急速に低下していると言われています。上司から仕事の基本を教わっても、常に変化し続ける状況に合わせてそれを応用することができない、何か問題が生じるとすぐ解決策を上司に求める、仕事に対する自分なりの創意工夫がない、等々、いつまでも独り立ちできない社員が増えてきたという嘆きの声が増えています。

変化の激しい時代、現場にいる一人ひとりが目の前の事象から瞬時に判断を下せるようにならなければ、グローバルな競争に勝てないことは明白です。また、これは何も若手社員に限ったことではありません。組織全体で「考える力」を向上させることは、人材育成の重要なテーマの一つと言えるでしょう。

 

松下幸之助「君ならどうするんや?」

考える力を養い高める上で効果を発揮するのが、「どつき」の質問です。どつきの質問とは、部下が相談や報告に来た際に、すぐ指示・命令をするのではなく、「どうして」「どのように」「どれを」など、頭に「ど」がつく質問を返して、今後の対応策などを部下に考えさせるようにはたらきかけることです。こうした質問を常に投げかけられるうちに、部下は徐々に自分で考え、自立的に行動できるようになるというわけです。

「どつきの質問」の名人としてご紹介したいのが、弊社創設者でありパナソニックグループの創業者でもある松下幸之助です。幸之助は、部下が問題を抱えて相談に来ると、話を全部聞き終わってから、必ず「君ならどうするんや?」と逆に質問を返したそうですが、そうした評判が松下電器の社内に広まり、松下幸之助に相談や報告に行く前には必ず自分なりの考え方や解決策をまとめなければいけない、という暗黙のルールができあがっていたそうです。「松下電器はモノを作る前に人を作る」と言われたように、草創期の同社からは実に優秀な人材が数多く輩出されましたが、こうした「問いかけ」の組織風土があったことと人の成長とは無縁ではないと思われます。

 

「どつきの質問」で、部下の考える力を育てる

現代のビジネスにおいても、会社の発展のためのみならず、社員一人ひとりが仕事を通じて成長し、より良い人生を送るために、上司の立場にある方は、部下に対して「どつきの質問」を投げかけて、考える力を持った人材へと成長させる責任があるのではないでしょうか。

 例えば、部下が何らかの問題を抱えて、その対応策を求めて上司のところに相談に来たとき、即座に「こうしなさい」「ああしなさい」と答を与えるのではなく、「君ならどういう対応を取る?」というように、逆に問いを投げかけるのです。

 こうしたやり取りが現場に定着すると、部下の側に「上司に相談に行くと、自分の考えを聞かれる」という認識ができ、相談する前にまず自分の考えをまとめようということになります。これ以外にも、「どう思う?」「どうしてこうなった?」などといった「どつき質問」を多用することで、部下の思考力を徐々に高めることができるのです。

 

じっくりと腰を据えた人づくりを

こうした指導方法の欠点は時間がかかるということです。質問を投げかけ、考えさせ、答えを返すまで待つわけですから、当然時間がかかるし、根気も要ります。スピードが求められる時代、そんな悠長なことをやっていては競争に負けてしまうという意見も当然あるでしょう。

しかし、本来人間は促成栽培などできるものではなく人と人がしっかり向き合い、時間をかけてじっくり、共に育っていく状態(=共育)に高まっていく営みこそが、人づくりの本質なのです。

 人材育成に投下する時間とお金は投資であり、必ずそれ以上のリターンが得られるもの。若手社員の思考力の低下が懸念される今こそ、そのような信念をもって、じっくりと腰を据えた人づくりに取り組む時期に来ているのではないでしょうか。 

 


 

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的場正晃(まとば・まさあき)

PHP研究所 人材開発企画部部長

1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。


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