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ティーチングからコーチングへ~若手社員の「自ら変わる」力を引き出す教育を

2019年2月13日更新

ティーチングからコーチングへ~若手社員の「自ら変わる」力を引き出す教育を

若手社員教育では、ティーチングからコーチングへの切り替えが求められます。彼らの「自ら変わる」力を引き出すことが、育成のポイントです。

若手社員には「自ら学ぶ」スタンスを確立させる

会社に入って最初に受ける導入教育は、知らない情報や知識を教わるのが目的ですから、どうしても「教える人-教えられる人」という主従関係ができ、受身のスタンスを醸成しがちです。
しかし、現場に配属後は上司・先輩が、手取り足取り指導してくれるわけではないので、「自ら学ぶ」という主体的なスタンスに切り替えていかないと成長が止まってしまうのです。このことを、彼ら・彼女らに正しく認識させることは、今後の育成を成功に導くうえでも非常に重要な課題と言えるでしょう。

松下幸之助が大切にした「自修自得」

人を育てる名人と言われた松下幸之助は、自修自得(自ら望み、自ら考え、手足を動かし、自らの手で掴みにいくところにしか得られるものはない、という意味)こそが、人づくりの妙諦であるという信念をもっていました。
その重要性について以下のように述べています。

わかりやすくいって、たとえば経営学というものをとってみよう。経営学は人から教わったり、本で学んだりすることができる。しかし、万巻の経営学の本を読んだからといって、それで経営というか、仕事が完全にできるというものではない。それはいろいろな面で参考になるかもしれない。しかし生きた経営なり仕事というものは教えるに教えられない、習うに習えない、ただみずから創意工夫をこらしてはじめて会得できるものである。
その自得するという心がまえなしに、教わった通り、本で読んだ通りにやったとしても、一応のことはできるかもしれないが、本当のプロにはなれないと思う。自得していこうという前提にたって、はじめてもろもろの知識も生かされ、人の教えも役に立つわけである

『その心意気やよし』PHP研究所

実際、幸之助のエピソードを見ていると、部下に対して「こうしろ、ああしろ」と直接的な指示を与えるよりも、問いかけとフィードバックによって、あるべき状態に気づかせ、自分の意志で行動するように、仕向けていたことがよくわかります。こうした気づきを促す育成によって、主体性を発揮する人材がどんどん育ち、かつての松下電器(現パナソニック)の黄金期を支える原動力となっていったと言われています。

「暗黙知」を教えることはできない

伝統芸能や伝統工芸の世界では、徒弟制度と呼ばれる人材育成の仕組みがあります。この仕組みのもとでは、親方と弟子は仕事以外の時間も含めて常に行動を共にしますが、肝心な技能の伝承に関しては、親方はまったく教えてくれません。
仕方なく、弟子は親方のやり方を観察し、まねをして試行錯誤を重ねながら技の極意を体得し、一流の人材へと育っていくのです。
この仕組みの根底にある考え方は、「自修自得が人を育てる」という発想です。結局、「知識」(形式知)は教えることができても、「知恵」(暗黙知)は、相手が主体的に学習・経験(自修)して体得(自得)するしかなく、教えることなどできないのです。

若手社員育成はティーチングからコーチングへの切り替えがポイント

時代が変わっても、人づくりの本質は大きくは変わらないのではないでしょうか。将来を担う若い人たちを育てる上で大切なことは、「教えすぎない」こと。「教える教育」から「自ら気づく学習」への切り替え、すなわちティーチングからコーチングへの切り替えが、この時期の現場の指導者に求められているスタンスと言えるでしょう。

若手社員の育成を成功させるポイントは、「自ら変わる」力を引き出すことです。結局、自分の人生を決めるのは自分であり、自分の考え方を変えるところからすべてが始まる。一人ひとりが、そんな意識に立てたとき、そこから個人の変革、組織の変革、ひいては社会の変革への第一歩が始まるのです。

自ら変わる力を引き出す「若手社員研修」はこちら

的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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