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2018年度の新入社員を研修講師が分析!

2018年度の新入社員を研修講師が分析!

(2018年10月10日更新)

 
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新入社員研修は、人材育成の入口として非常に重要です。2018年度の新入社員の傾向を振り返り、来年度に向けた課題を整理しておきたいと思います。

 

PHP研究所の新入社員研修

2018年度の春にも、PHP研究所ではたくさんの新入社員の方々を対象に研修を行ないました。当社の新入社員研修には、大きく2種類の開催方法があります。一つは講師を派遣して、ご依頼先企業様の新入社員を研修する方法です。こちらは多くの新入社員を採用した、比較的規模の大きな企業からご依頼をいただいています。

もう一つが、各企業様からPHP研究所に新入社員を派遣いただいて実施する公開セミナーです。こちらは新入社員数が数名程度までの中小企業様に多くご利用いただいています。

いずれも、社会人に求められる「あり方」と「働き方」を学ぶと同時に、職場の内外で愛されるためには、どんな心構えで何を実践すればいいのか、体験学習により自得していただくのが大きな特徴になっています。

 

2018年度の新入社員は、真面目だが受け身であきらめが早い

2018年度の新入社員研修を担当した講師陣の報告をまとめると、新入社員の特徴としてまず挙げられるのが、「真面目」ということです。誰もがきちんと時間を守り、課題に取り組み、場を乱すような行為はまず見られません。

その反面、研修を受ける態度は、どちらかといえば受け身の傾向が強かったようです。自ら積極的に発言したり、リーダーシップを取ってグループを引っ張ったりする人は、あまり多くはありません。基本的に、講師から何か指示を受けてから、それに対応しようとする姿勢で研修を受けていました。

少し残念だったのは、あきらめるのが早い傾向があったことです。たとえば、教育ゲームへの取り組み方です。26枚のカードに地図を描くための情報が文章で書いてあり、それをグループのメンバーが見せ合うことなく、口頭での説明で共有し、1枚の地図を完成させるというゲームです。それなりに難易度は高いのですが、きちんとやれば規定時間内に完成できるように考えられています。ところが今年の新入社員の中には、残り時間が10分くらいなると、「もう無理」といってあきらめ、そこで作業を止めてしまう人が少なからずいました。なんとか地図を完成できるよう、せめてタイムリミットまで作業に取り組む姿勢を見せてほしかったのですが、今年は特に、早々とあきらめてしまう人の比率が高かったようです。

 

個別の対話で生まれ変わった新入社員の事例

公開セミナーでは、一つ印象的な出来事がありました。3日間の研修において、2日目の午前中まで、少し受講態度がよくないと思われる男性がいたのです。開始時間ギリギリに姿を現したり、グループ討論で一言も発言しなかったり、メモを全然とらなかったり、服装がだらしなかったりして、一人だけ研修に溶け込んでいないのが誰の目から見ても分かりました。そこで、彼の様子が気になった担当講師は、2日目の昼休みに声をかけ、話を聞くことにしました。するとその人は、自分だけが高卒で、周りは大卒の人ばかりで、とても居心地が悪いと感じていた、と話してくれました。また、その人が所属する会社からたった1人で研修に参加していたため、非常に孤独感も感じていたとのことでした。

これを聞いた講師が、「大丈夫だよ。困ったことがあったらサポートするから、安心して勉強してください」と伝えたところ、その直後から態度がガラリと変わり、別人のように積極的に研修に取り組むようになりました。他の受講生も、彼の様子が変わったのに気づいて刺激を受け、みんなが彼にエールを送るとともに、自らもより積極的に研修に参加するようになったのです。

これはいわゆる「氷山モデル」と呼ばれるケースだといえます。水面上に現れ、氷山の一角として目にすることができる現象は、彼の悪い受講態度です。この受講態度だけを注意しても解決には至りません。彼の、悪い受講態度を引き起こしている状況や、本人の気持ちといった水面下の部分に働きかけることによって初めて問題を解決することができるのです。

 

個別のフィードバックを重視した新入社員研修を

この新入社員の一件は、より効果の高い新入社員研修を行なうには、大人数を対象とするマスの研修方法だけではなく、個々に指導したり、話を聞いたりすることが非常に重要であることを示しています。

PHPゼミナールでは、今後の新入社員研修の方向性として、「個別のフィードバック」を上手に取り入れていくべきだと考えています。よい発言、よい行動をした研修生には、「さっきの発言は積極的でよかったね。そういう姿勢が社会人は大切なんですよ」と1対1で伝えれば、その人はさらにやる気を増してくれるはずです。褒めるだけでなく、消極的な態度で教育ゲームをあきらめてしまった研修生には、「さっきのようにすぐにあきらめていたら、これから仕事をしていくうえで対応できない場面も出てくると思います。もっと粘って最後までやり遂げるようにしてください」といったアドバイスを行なうことも必要でしょう。

いずれの場合も、受講生一人ひとりの状況に応じた個別対応で、「講師が自分のことを見ていてくれる。もっと頑張ろう」と思ってもらうで、より深い学びを体験してもらえるはずです。

来年度は、受講生一人ひとりへの対応を充実させることによって、さらに実りある新入社員研修を展開していきたいと考えています。

 

 

 

的場正晃(まとば・まさあき)
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。現在、PHP研究所研修企画部長。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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