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「知っている」を「できる」へ~新入社員研修での「凡事徹底」の大切さ

「知っている」を「できる」へ~新入社員研修での「凡事徹底」の大切さ

(2018年10月12日更新)

 
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知っていることと、実際にできることを混同しがちな新入社員に、その違いをどのように理解させるといいでしょうか。新入社員研修では繰り返し練習させること、つまり「凡事徹底」がポイントになります。

 

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「知っている・わかっている」と「できる」の違い

「知っている・わかっている」と「できる」は違う――これを新入社員に実感させることは、導入研修を成功させるポイントの一つです。新入社員は、勘違いをしていることが意外なほど多いのです。

たとえば、電話応対のマナーを教えると、実践練習をまだしていないにもかかわらず、「わかりました。大丈夫です」と言う人が出てきます。あるいは、「学生時代にアルバイトで電話応対をしたことがあるので、やり方はわかっています」とも言います。ところが、電話をかける役と受ける役を決めてロールプレイに取り組んでもらうと、初めから正しい応対ができる人は、まずいません。彼らは「知っている・わかっている」と「できる」は違うということを理解していないのです。

仕事の現場においては、もちろん「知っている・わかっている」だけでは通用しません。実際の業務の中で間違いなく遂行できなければ、本当の意味でわかっていることにはならないからです。新入社員研修では、これをよく理解してもらわなければなりません。

 

ロールプレイで気づかせる

新入社員研修でこれを理解してもらうには、ロールプレイが有効です。電話応対、名刺交換、お辞儀などについて、それぞれ役回りを決めて、仕事の現場と同じようにやってもらいます。研修講師はその様子をよく観察し、できていないところをきちんと指摘してフィードバックするようにします。もちろんよくできた部分について、褒めることも大切です。ロールプレイを行なうことによって、新入社員は「頭でわかっているつもりでも、実際にやってみると案外難しい」ということに気づいてくれるでしょう。

研修が2日間あるとしたら、1日目に教えたことを、2日目にテストしてみるのもいい方法です。昨日習ったばかりのことでも、次の日にいざやろうとすると、部分的に忘れてしまったり、手順を間違えてしまったりすることがあります。この体験が、「知っていてもできない」「わかっていても難しい」ということの理解につながります。

 

「できた」喜びが「自信」につながる

実際にPHP研究所が担当した新入社員研修において、次のような出来事がありました。

2日間の新入社員研修の初日に「お辞儀」の練習をしたのですが、どうしてもうまくできない人がいました。お辞儀ひとつでも、きれいにやろうとすると案外難しいものです。よくあるのが、体よりも頭のほうが下に垂れ下がり、「へこへこ」しているように見えるお辞儀になってしまいます。あるいは猫背の姿勢でお辞儀をするのも、あまり格好がよくありません。背筋をピンと伸ばし、頭が体よりも下に垂れないようにして、両手は体の横につけた状態で行なうのが、きれいなお辞儀だといえます。

このときの研修は泊まり込みではなく、それぞれ自宅に帰り、2日目にまた研修会場に出てきてもらう形で行ないました。そこで再び、新入社員の皆さんにお辞儀をしてもらったところ、1日目にどうしてもうまくお辞儀ができなかった人が、見違えるくらい上手にできるようになっていたのです。これには誰もがたいへん驚きました。そこで研修講師が、「すごいですね。たいへん上手にお辞儀ができるようになっています。どうされましたか?」と尋ねたところ、次のような答えが返ってきました。「昨日、お辞儀がうまくできなくて、たいへん悔しい思いをしました。それで家に帰ってから、全身が映る鏡の前で、何度も何度も自分の姿を見ながらお辞儀の練習をしたのです。そうしたら、今日はできるようになりました」。

その新入社員は、昨日できなかったことが今日できるようになった、ということに感動している様子でした。その感動は周囲にも伝わり、誰もが「努力してできるようになる喜び」を共有したのではないかと思います。本人にとっては、「練習をすればできるようになるんだ」という自信にもつながりました。

 

仕事に安易な近道はない――「凡事徹底」の大切さ

「知っていること、わかっていること」を、「できる」ようにするためには、地道に練習し、経験を積んでいくしかありません。「凡事徹底」という言葉があるように、当たり前のことを徹底的に繰り返すのです。何か秘密の技があって、それをやったら一足飛びにできるようになるとか、そのような安易な道は存在しません。仕事も同じであり、安易な近道などないということを、新入社員研修ではしっかりと伝えるようにしたいものです。

 

 

 

 


 

的場正晃 まとばまさあき

1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。現在、PHP研究所研修企画部長。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。


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