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新入社員に対する報連相研修では「報告」「連絡」「相談」を教えない?

2018年3月20日更新

新入社員に対する報連相研修では「報告」「連絡」「相談」を教えない?

新入社員報連相研修で、受講者にぜひとも覚えてもらいたいことがあります。それは「報連相」は「仕事の進め方」そのもの、だということです。

仕事ができる人は「質の高い仕事の進め方」を身につけている

日本報連相センターでは長年に渡り、多くの職場で「仕事ができる人」の報連相を観察・研究してきました。その結果、次の関係式が見えてきました。

「質の高い仕事の成果を上げる人」=「質の高い専門性」×「質の高い仕事の進め方」

この式でわかるのは、高い成果のためには、2つの要素が欠かせないということです。「質の高い専門性」と「質の高い仕事の進め方」の両方を身につけてこそ、「質の高い仕事の成果」を生み出すことができるのです。

専門性は、個別の職務で様々ですが、「仕事の進め方」には仕事ができる人が共通にやっている「ものの見方・考え方」と「行動」があります。そしてこの「仕事の進め方」こそ、報連相そのものと言えるのです。

なぜ、報連相は「仕事の進め方」そのものといえるのか

報連相の話をすると、多くの人(組織)は「報連相=報告・連絡・相談」と捉えています。しかし、報連相を報告・連絡・相談と捉えている人(組織)はまず、職場の報連相がうまくいっていません。なぜでしょうか?
それは報告・連絡・相談は、仕事の成果を上げるために必要な「仕事の進め方」のほんの一部に過ぎないからです。
例えば「質の高い仕事の成果を上げる人」は、「質の高い専門性」を持ち合わせているのに加えて、「仕事の進め方」がとても上手です。
そしてこの「仕事の進め方」の中には、報告・連絡・相談はもちろんのこと、意見具申(目上の人に自分の意見を述べること)・上司やお客様の方針や真意の確認・問題解決・説得・調整・情報収集・情報提供 など、たくさんの要素があります。つまり、報告・連絡・相談は「数ある仕事の進め方」のほんの一部に過ぎないということです。

事例「報告は部下が上司に行うもの?」

以前、ある報連相講座で講師をしていたときのことです。休憩中に受講者のAさん(部長職)が、不機嫌そうな顔をして私のもとに次のような話をしてくれました。
「じつは先日、このようなことがありました。私(Aさん)が部長会議に参加し、その情報を部下数人にむけてメールで連絡したのです」
「私のメール連絡後、部下たちからはすぐに返信がありました。しかし、その中のメールのひとつに『部長、ご報告ありがとうございます』と書かれていたのです」
「延堂さん、私は腹が立ちました。報告は部下が上司にするものです! 違いますかっ!?」

報連相研修ではよく「報告とは」「連絡とは」「相談とは」と、言葉の定義に従って報連相を切り分けて学ぶことがあります。
しかし、実際の職場ではそのような言葉の定義のように、キレイにスパッと切り分けて報連相が行われることはほとんどありません。
連絡とも報告ともとれる場合や、報告の途中から相談に発展する場合や、報告という名で(または建前で)上司の方針や真意の確認を行う場合 など、仕事の進め方は本当に多種多様です。

先述のAさんは自分の言葉の定義にとらわれていましたが、上から下への報告だって当然存在します。(例えば、経営陣が海外視察へ行ったときなど、全社員に向けて視察報告を行います)
報告か連絡か相談か、などは、報連相を受けた相手が判断することでもあります。報連相で大切なことは言葉の定義などではなく、関係者同士での情報の共有化を深めて、質の高い仕事の成果に結びつけることのはずです。

新入社員には「仕事の進め方そのもの」と理解させる

報連相という言葉は語呂のよさ憶えやすさで、その本質があまり認識されることなく、言葉先行で、浅い認識のまま社会に浸透してきました。報連相の奥深さ、本質に気がついている人(組織)はまだまだ少数です。
報連相の認識が浅い人(組織)は、仕事の進め方の一部であるはずの報告・連絡・相談を、まるで仕事の進め方から切り離すようにして考えてしまいます。しかしそれでは、報連相を含む仕事の進め方そのものは、いつまでたっても上達しません。
新入社員報連相研修では、報連相を報告・連絡・相談と切り離して考えるのではなく、「仕事の進め方」そのものとして理解を深めてもらいましょう。

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延堂溝壑(えんどう こうがく)
本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

なお、本稿は糸藤正士氏に著作権のある『真・報連相』を、著作権者の承認を得て使用している。

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