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新入社員・若手社員のリテンションマネジメント

新入社員・若手社員のリテンションマネジメント

(2018年8月28日更新)

 
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将来を担うべき新入社員、若手社員の社外流出は、企業にとって、重要な経営課題です。なぜ彼らは退職を考えるのか、人事としてリテンション施策をどう講じるのか、そのヒントをご紹介します。

 

 

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新入社員、若手社員の早期退職は、本人にも企業にもマイナス

新入社員の早期退職や、将来を担う優秀な若手社員の流出は、企業にとって計り知れない損失です。リテンションマネジメントは今、人事の最重要テーマになっています。

昨今は、「仕事を変われば人生が好転する」といった具合に、転職が美化されている傾向があります。そうした風潮の中で、まるでアルバイトを変わるように気軽に転職する人が増えているのです。テレビでも、転職をあおるようなCMが多く流れています。

しかし、スカウトもされていないのに会社を変わるということは、転職後、基本的には「ゼロからのスタート」となります。年齢は上がっているのに、会社での序列は新入社員と同じで、転職後、前職よりも給料が下がる確率も高いといえます。もちろん、成功する転職もあるかもしれませんが、どちらかといえばマイナス面が多いのが現実です。早期退職したことで、「この人は忍耐力がない」というイメージがついてしまうことも考えられます。

 

早期退職の動機は「将来が見えない不安」

では、なぜ若者は、就職したばかりの会社を辞めて、転職しようとするのでしょうか。転職希望者の中には、「会社での未来が見えない」「将来に希望がもてない」と悲観している人が多いと考えられます。新入社員は、先輩や上司の様子を観察しています。もしもやる気のない先輩がいて、何人もの先輩が会社を辞めたがっていたり、覇気のない上司がいたりすると、「この会社でずっと働いていたら、自分もこんな先輩やあんな上司みたいになってしまう」と不安を感じるようになるのです。あるいは逆に、仕事がバリバリできる優秀な上司がいたとしても、その人の年齢が10歳も20歳も上だった場合、あまりにも「遠い存在」に感じられ、自分がいつかそうなれるという実感が湧きにくいものです。

 

少し年上の先輩が輝いていると希望が持てる

新入社員や若手社員が、会社の将来に希望を持つためには、「年齢が近い先輩が輝いているかどうか」がカギとなります。自分と年齢が近い人がいきいきと仕事に打ち込み、実績もそれなりに上げていたら、新入社員はその先輩に憧れを抱くようになります。そして、「自分も1年か2年がんばったら、この先輩のように働けるようになる」と思えたら、転職など考えず、目の前の仕事に前向きに取り組もうとするでしょう。その先輩からのアドバイスは非常に参考になり、その通りにがんばろうとするはずです。このように、先輩社員の活躍が、新入社員や若手社員の希望となり、早期離職を防ぐことにもつながるのです。もちろん、やる気も高まります。

 

立教大学の事例

とてもいいお手本があります。立教大学の「ビジネス・リーダーシップ・プログラム」では、たいへんユニークな授業が行われています。(参考「卒業生は即戦力!立教大学経営学部の『リーダーシッププログラム』とは?」)1年生が入学し、5月くらいの段階で、スチューデント・アシスタント(略称SA)と呼ばれる2年生の先輩が、授業でリーダーシップについて教えているのです。これはSAを志願した2年生が後輩を指導する制度で、大学の教員は教室の端に座り、基本的には授業を見守っていて、必要なときだけ助け舟を出します。2年生といえども、それまでの1年間の授業でコミュニケーション力が高まっているため、話し方などは非常に上達しています。教える内容自体はあらかじめ決められていますが、授業の途中で「君はどう思いますか?」などと、SAの学生がアドリブで質問をしたりする場面も見受けられます。一般的な大学2年生と比較して、驚異的なレベルにまで成長しているといってもいいでしょう。

SAの教育効果として、教える2年生にとっては、「後輩に教えることによって自己の理解が深まる」面があります。教えられる1年生にとっては、たった1年しか違わない先輩が、自分たちに授業ができるくらい成長していることに驚くとともに、「自分もがんばれば先輩のようになれる」という希望を抱くことにつながっています。

 

仕事のやりがいと社会貢献

企業においても、入社して2年目3年目の若手社員が、新入社員の教育係を任せられるくらいに成長してもらうことが理想です。新入社員にとって憧れの存在となり得る若手社員を職場全体でしっかりと育てることで、彼らの存在が新入社員の目標となり、突然の離職を防ぐことにつながります。また、若手社員にとっても、後輩を育てることは自らの仕事観を確立する一助となり、仕事のやりがいにもつながっていくでしょう。

さらに、自らが携わる仕事が、どれだけ会社の役に立っているか、社会に貢献しているかを伝えることも重要です。先輩や上司の言葉によって、自分の仕事が社会の役に立っていることが実感できれば、さらに意欲的に打ち込み、1年目からグングン成長していきます。

このような取り組みを通して、新入社員・若手社員の人材育成を、プラスのスパイラルに乗せていきたいものです。

 

若手社員研修
 

 

的場正晃(まとば・まさあき)
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。現在、PHP研究所研修企画部長。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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