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人財・人材・人在・人罪~あなたは、どの「ジンザイ」?

人財・人材・人在・人罪~あなたは、どの「ジンザイ」?

(2018年12月28日更新)

 
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企業で働く人は4種類の「ジンザイ」、すなわち「人財」「人材」「人在」「人罪」に分かれます。新入社員が企業の「人材」あるいは「人財」へと大きく成長するためには、上司や先輩のどのような働きかけが必要なのでしょうか。

 

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企業にとって貴重な能力をもった社員が「人材」

企業では、一般に「人材」という言葉を使いますが、この「ジンザイ」は4種類に分かれます。すなわち、「人財」「人材」「人在」「人罪」。あなたは、どの「ジンザイ」でしょうか。

「材」という漢字は、「まっすぐで建築などに有用な木」のことを意味します。したがって「人材」とは企業にとって貴重な能力をもった社員、貢献してくれる社員といった意味であり、働く人すべてが「人材」であることが理想なのです。

あとの3つは当て字です。「財」は「たからもの」の意味なので、「人財」は人材の中でも特に貴重な存在のこと。「人在」は会社にただいるだけの人。「人罪」は会社にいること自体がマイナスになるような人のことです。

会社に対する社員の貢献度を、〔その人の生み出した成果〕-〔その人に要したすべての費用〕という観点から考えてみましょう。この答えが非常に大きなプラスの人が「人財」であり、プラスの人が「人材」、ほぼゼロの人が「人在」、そしてマイナスの人が「人罪」にあたるといえるのです。

 

新入社員は「人材」の卵

たとえば、新入社員はほとんどすべての人が「成果」などまだなく、「費用」だけがかかっています。ということは、先ほどの式で言えばマイナスになり、「人罪」にあたることになります。でも、入社後しばらくの間はすべてにおいて勉強中の見習い期間であり、「経費」の方が「成果」より大きくなるのはあたり前なので、新入社員は「人罪」という評価をする対象ではないのです。

しかし、1年経っても2年経っても入社時と同じ状態であれば、その人はいずれ「人在」もしくは「人罪」とみなされるでしょう。会社は、新入社員すべてを「人材の卵」とみなしており、中には「人財の卵」がいくつか混ざっていることを期待しているのです。その期待に応え、一日も早く「人材」と認められるように、新入社員の方がたには日々努力してもらいたいものです。

 

深い思考が成長を促す

では、人はどのような状況で「人材」あるいは「人財」へと成長するのでしょうか。それは、自分で考え、気づき、自分のことばで「こうしたい」と宣言した時であるといっていいでしょう。

人材開発の仕事に携わっていてつくづく感じるのは、どんなにいい話を聞かせたとしても、それだけで人を変えるのは難しいということです。結局は、自分で考え、気づき、自分のことばで「こうしたい」と宣言しないと人は変わりません。ことばと意識はつながっていますから、自ら肯定的な宣言をすることによって、意識が変わりやすくなるのです(※)。

この肯定的な宣言を生み出すには、深い思考が欠かせません。ここでいう「思考」とは、単なる「考える」レベルではなく「考えて、考えて、考え抜く」レベルの、深い思考を指します。

※ 意識的に良い言葉を選んで言い続けることによって、自分自身の意識を変え、望む方向に進んでいく方法を「アファメーション」という

 

パナソニックのアイロン開発の事例

「深い思考」と「人の成長」との相関関係を示す事例として、松下電器(現パナソニック)が、アイロンの開発に着手した昭和2年頃のエピソードをご紹介しましょう。

当時の松下電器には、アイロン開発のノウハウがなかったにもかかわらず、「高品質・低価格の製品を短期間で開発せよ」という無茶な要求を突きつけられたのは、若手技術者のN氏でした。

最初は「できるはずがない」と思っていたN氏ですが、創業者・松下幸之助から「君ならできる」と何度も声をかけられるうちに意識が変わり、「必ずできる」と確信するようになったそうです。そして、朝起きてから夜寝るまで、どうすればできるかを考え抜いて試行錯誤した結果、わずか3カ月で高品質・低価格のアイロンが開発できたのです。

この成功体験を機に、N氏は技術者として大きく成長し、その後も数々のヒット商品を生み出して、会社の発展に多大な貢献をしました。

 

思考スイッチをオンにする上司や先輩の働きかけ

この事例でも、創業者・松下幸之助のハードルの高い要求と継続的な追及がなければ、N氏は考え抜く状況へと追い込まれなかったでしょう。本人の思考スイッチをオンにするためには、上司や先輩がくり返し有効な働きかけをする必要があるのです。

指示命令だけではない、愛情に裏打ちされた厳しい要求や対話が、人の思考を促し、意識を変えていきます。

戦後の高度成長期に、どの企業でも当たり前に行われていた人材育成、愛情に裏打ちされた厳しさを伴う人づくりを、現代風にアレンジして取り入れることが、働く人の成長につながるのではないでしょうか。

 

 

 

 

的場正晃(まとば・まさあき)
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。現在、PHP研究所研修企画部長。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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