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人財・人材・人在・人罪~あなたは、どの「ジンザイ」?

2023年10月17日更新

人財・人材・人在・人罪~あなたは、どの「ジンザイ」?

企業で働く人は4種類の「ジンザイ」、すなわち「人財」「人材」「人在」「人罪」に分かれます。どのジンザイに分類されるか、その評価基準はどこにあるのでしょうか。また、新入社員が企業の「人財」へと成長するためには、上司や先輩のどのような働きかけが必要なのでしょうか。

INDEX

松下幸之助「人多くして人なし」

昨今、人的資本経営に関する議論が盛んになってきました。その背景には、今後、より一層深刻さを増す労働力不足に対応するため、採用・育成・配置・処遇を見直して人的資本の価値を高めようというねらいがあります。しかし、人がもたらすパフォーマンスには個人差がありますので、すべての人を十把一絡げ(じっぱひとからげ)に人的資本と見做すことは、正しい解釈とは言えないでしょう。

パナソニックの創業者である松下幸之助は、事業活動を進める上で役に立つ人が意外と少ないことを、下記のように指摘しています。

会社にはずいぶんたくさんの人が集まっており、普通に間に合う人(役に立つ人)は大勢おります。しかし、大事に臨んで間に合う人はきわめて少ないということですね。それで「人多くして人なし」というようなことがいわれるんであります

慶應義塾大学特別講演会(1962年5月8日)での発言

60年前のこの発言を現代風に言い換えるなら、「人減って人なし」という表現が当てはまるでしょうか。

 

人財・人材・人在・人罪~4種類のジンザイ

人は、能力やものの見方・考え方が一人ひとり異なっているので、当然組織に対する貢献度も差異が生じます。貢献度という観点から人を分析すると、以下の4種類のジンザイ像が浮かび上がってきます。

4種類の人材

1.人財
組織の目的を理解し、主体的に仕事に取組み、卓越した成果をつくる人

2.人材
組織の目的を理解し、与えられた仕事は真面目に取り組み、普通の成果をつくる人

3.人在
与えられた仕事には取り組むけれど組織の目的を理解していない、成果もつくれない、存在するだけの人

4.人罪
組織の目的を理解していない、あるいは理解しようとしないけれど、成果をつくれる人

必要とされるジンザイの条件~2つの評価基準

4種類のジンザイ像を比較すると、組織が必要とする理想の人が「人財」であることに議論の余地はないでしょう。どのジンザイに分類されるか、その評価基準は「組織の目的に対する理解・共感」と「仕事上の成果」です。そして、2つのなかでは「目的共感」が「成果」よりも重視されるべきです。
たとえば、目的を理解し共感できてさえいれば、成果が上がっていなくても教育訓練等によって改善することができます。しかし、組織の目的に対して理解・共感できない、あるいはしようとしないジンザイ(人在、人罪)が、その考え方を変えることは容易なことではありません。価値観の違いは、歩み寄ることが難しいのです。
そして、目的を度外視しても、要領よく成果を上げる「人罪」が組織に与える悪影響は計り知れません。「人罪」にならって、目的を軽視する人が増えてしまうと、組織マネジメントが崩壊してしまいます。不祥事を起こす企業の多くが、こういう状態に陥っているのです。

「人罪」への対処

「人罪」をどう処遇するのか、これは企業にとって頭の痛い課題です。なぜなら彼ら・彼女らはハイパフォーマーでもあるので、目先の業績を考えると組織に残しておくべきだという意見が出てくるからです。しかし、中長期の観点に立てば、「人罪」を放置しておくと、前述のとおりマネジメントの崩壊につながりかねません。
したがって、「人罪」に対しては、配置転換、降格、退職勧奨等の「外科手術」が必要になります。毅然とした態度を取ることが、組織全体の規律の維持、健全な職場風土の醸成につながるのです。

基本は肯定的な人間観を

4種類のジンザイに分かれるとはいえ、人に対する見方は、あくまでも肯定的な人間観に立ってなされるべきです。なぜならば、その前提に立たなければ、人の良い面が見えなくなり、誤った人材マネジメントを行ってしまうからです。
したがって、すべての人に対して、まずは肯定的な人間観に立って、美点凝視をしたり、相互対話を重ねる取り組みから始めるべきでしょう。そのプロセスを経てもなお、組織の目的を理解しない、共感できない、しようとしない人に対しては、然るべき対応を取らなければいけません。
言うべきことを言った、相手の言い分にも耳を傾けた、真剣に向き合ってきた、やれることはすべてやりきった――。そこまで言えるような向き合い方を、人事スタッフや現場の管理・監督職の方々が徹底することで、本当の人的資本経営が実現するのではないでしょうか。

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新入社員は「人財」の卵

さて、新入社員について考えてみましょう。2つの評価基準、つまり「組織の目的に対する理解・共感」「仕事上の成果」を考えると、入社後しばらくの間は勉強中の見習い期間であり、どちらも低いのは当たり前です。
しかし、1年経っても2年経っても入社時と同じ状態であれば、その人はいずれ「人在」と見なされるでしょう。会社は、新入社員を「人財の卵」として期待しています。その期待に応え、一日も早く仕事上の成果を出して「人財」と認められるように日々努力してもらいたいものです。

深い思考が成長を促す

では、人はどのような状況で「人財」へと成長するのでしょうか。それは、自分で考え、気づき、自分のことばで「こうしたい」と宣言した時であると言っていいでしょう。
人材開発の仕事に携わっていてつくづく感じるのは、どんなにいい話を聞かせたとしても、それだけで人を変えるのは難しいということです。結局は、自分で考え、気づき、自分のことばで「こうしたい」と宣言しないと人は変わりません。ことばと意識はつながっていますから、自ら肯定的な宣言をすることによって、意識が変わりやすくなるのです(※1)。
この肯定的な宣言を生み出すには、深い思考が欠かせません。ここでいう「思考」とは、単なる「考える」レベルではなく「考えて、考えて、考え抜く」レベルの、深い思考を指します。

※1 意識的に良い言葉を選んで言い続けることによって、自分自身の意識を変え、望む方向に進んでいく方法を「アファメーション」という

パナソニックのアイロン開発の事例

「深い思考」と「人の成長」との相関関係を示す事例として、松下電器(現パナソニック)が、アイロンの開発に着手した昭和2年頃のエピソードをご紹介しましょう。
当時のパナソニックには、アイロン開発のノウハウがなかったにもかかわらず、「高品質・低価格の製品を短期間で開発せよ」という無茶な要求を突きつけられたのは、若手技術者のN氏でした。
最初は「できるはずがない」と思っていたN氏ですが、創業者・松下幸之助から「君ならできる」と何度も声をかけられるうちに意識が変わり、「必ずできる」と確信するようになったそうです。そして、朝起きてから夜寝るまで、どうすればできるかを考え抜いて試行錯誤した結果、わずか3カ月で高品質・低価格のアイロンが開発できたのです。
この成功体験を機に、N氏は技術者として大きく成長し、その後も数々のヒット商品を生み出して、会社の発展に多大な貢献をしました。

思考スイッチをオンにする上司や先輩の働きかけ

パナソニックのアイロン開発の事例でも、創業者・松下幸之助のハードルの高い要求と継続的な追及がなければ、N氏は考え抜く状況へと追い込まれなかったでしょう。本人の思考スイッチをオンにするためには、上司や先輩がくり返し有効な働きかけをする必要があるのです。
指示命令だけではない、愛情に裏打ちされた厳しい要求や対話が、人の思考を促し、意識を変えていきます。
戦後の高度成長期に、どの企業でも当たり前に行われていた人材育成、愛情に裏打ちされた厳しさを伴う人づくりを、現代風にアレンジして取り入れることが、働く人の成長につながるのではないでしょうか。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 経営共創事業本部 本部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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