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メンターによる新人育成の進め方と制度運用のポイント

2019年2月 5日更新

メンターによる新人育成の進め方と制度運用のポイント

メンター制度は新入社員の離職防止とメンター自身の成長、さらには組織活性化にもつながります。実際の進め方と運用のポイントを解説します。

トレーナー/メンターとの最初のミーティング

トレーナー/メンター制度をどう運用していくかを検討してみましょう。
まず、どの企業も仕組みとして育成ツールやフォーマットがあるでしょう。なければ準備することをお勧めします。業務内容によって違いますが、いつまでに、どのレベルまで到達すればいいのかといった指標や進捗状況を記入するフォーマットです。
育成ツールが用意できたら、人材開発担当者はトレーナー/メンターとすり合わせのミーティングをしましょう。そのツールを使って、どのように新人を育てていくのかを話し合います。彼らに丸投げしてはいけません。
このミーティングは、人材開発担当者が「トレーナー/メンターの皆さんをフォローしていきます」「本気です」と伝える場ですが、同時に、トレーナー/メンターが自主性をもって新人の育成に関わっていくという意識醸成がねらいでもあります。
これは、人材開発担当者がトレーナーと一対一の面談の形で実施してもよいのですが、できればトレーナーを数名ずつ集めて実施しましょう。同じミッションをもつ同志として、後々、互いに悩みを相談し合い、支え合う仲間になるきっかけをつくることができます。

トレーナー/メンターへのコーチング

ミーティングでは、新人の育成方法を教育するのではなく、次のような質問を投げかけ、人材開発担当者がトレーナー/メンターにコーチングして、具体的に新人を育成していく心構えやヒントを引き出すと良いでしょう。それがPDCAの「P」になります。

トレーナー/メンターへの問いかけ

・あなたは新人の〇〇さんにとって、どんな存在になりますか?
 (役割を明確化します。イメージを語らせてください)
・どんなことを大切にして関わっていきますか?(価値観の明確化です)
・新人の〇〇さんが3カ月後、6カ月後にどうなっていることがゴールですか?
 (目標です。具体的に語らせてください)
・どのように進めていこうと考えていますか?
 (具体的な関わり方を語ることで明確になります)

自分で考え、自分の言葉で発言をすることでトレーナー/メンターは「自分が育てていくんだ」という意識が高まってきます。また、ミーティングの最後には、新人は部署あるいは職場全体で育てていくもので、何か問題があったときには自分一人で抱え込まず、上長や人材開発担当者に相談しながら進めるように伝えるといいでしょう。

中間フォローアップ面談

新人育成の期間を半分過ぎたあたりで、中間フォローアップ面談をすると効果的です。面談のねらいは、労いとガス抜き、そして、動機付けです。この時期、トレーナー/メンターはさまざまな育成上の悩みを抱えていますから、最初の面談と同様、彼らに話をさせてください。次のように問いかけて、現状を語らせると良いでしょう。これがPDCAの「C」にあたります。

トレーナー/メンターへの問いかけ

・新人の〇〇さんにとって、あなたはどんな存在になると言っていましたか?
・〇カ月経って、それは変わりましたか? どんな状況でしょうか?
・当初描いた育成目標で、ゴールが10だとしたら、新人は今、どのあたりにいますか?
・(例えばあと3か月残して5だとしたら)この後どのように関わっていきますか?

中間フォローアップ面談では、トレーナー/メンターの中で起きている葛藤や悩みがでてくるでしょう。彼らの「葛藤や悩み」をその場にいる同じトレーナー/メンターが耳を傾けたり、アドバイスをしたりなどの「対話」が生まれて、彼らの成長過程を垣間見ることができます。人材開発担当者は、この状況を上長と共有して、レーナー/メンターとの信頼関係づくりのリソースにしてもらいましょう。悩んでいる場合は、上長のフォローが効果的です。

トレーナー/メンターは、悩みながら新人と共に成長していく

新人の育成において、トレーナー/メンターが悩みながら成長をしていく体験は、今後彼らがマネジメントする立場になったときの部下育成に役立ってきます。
「何のためにするのか」「どういう役割があるのか」を常に意識しながら、自主的に考えて具体的に行動して振り返り、また修正して行動していくというPDCAサイクルを通して、トレーナー/メンターは必ず成長します。そして、新人は、共に悩んでくれている先輩の姿に大きな影響を受けるとともに、信頼関係の構築にもつながっていきます。

組織の活性化とロイヤルティ向上

このような新人育成の仕組みづくりを始めている企業では、人材開発担当者や上長が、トレーナー/メンターに対して声をかけるシーンが多くなり、新人の成長状況もよく見えるようになります。
実際、中間フォローアップ面談後に、トレーナー/メンターから人材開発担当者に、内省していることが感じられるメールが来たという話も耳にしました。「自分の新人の時はどうだったのか」、「自分の足りないところが見えてきた」、「自分が成長していることがわかった」、「周りの人に感謝している」などです。トレーナー/メンターを担った若手・中堅社員は、新人の育成を通して深く考えるようになり、成長しているのです。ちなみに、その企業では、その年の新人の離職率はゼロになっています。
今の時代、人材開発担当者が率先して人を育てる組織づくりに取り組み、現場と共に悩みながら成長することが大事です。現場任せではなく、自ら現場の社員と関わっていくことこそが、人材育成の「正の連鎖」を始めることにつながります。
対話や動きのある職場の雰囲気のなかで、新人や若手・中堅社員は安心して成長していきます。また、そうした職場風土が、帰属意識の醸成へとつながり、彼らの離職防止にもつながっていくのではないでしょうか。

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安井祐子(やすい・ゆうこ)
国内航空会社に勤務し、組織内管理業務を担当。退職後、私立大学で体験型授業のカリキュラム作成およびワークショップを担当。独立し、主に人材育成、組織開発業務を展開。経営管理修士(MBA)、NLPマスタープラクショナー、PHPビジネスコーチ(上級)、キャリア・コンサルティング技能士(2級)、法政大学経営大学院IM研究科特認講師

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