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コミュニケーションがうまく取れない新入社員を、どう指導する?

2023年3月 6日更新

コミュニケーションがうまく取れない新入社員を、どう指導する?

今年も新入社員を迎える時期が近づいてきました。大切な人材が、職場生活を通じてやりがいと働きがいを感じ、順調に成長するためには最初の指導が重要です。本稿では、新入社員が職場で「愛される存在」になるための言動、とくにコミュニケーションの取り方について、解説したいと思います。

INDEX

コミュニケーションがうまく取れない、残念な新入社員

新入社員が配属されると、職場に新しい風が吹き込み、組織の活性化が図られるので、上司や先輩たちは、新入社員の溌溂とした態度や初々しさ、素直さ、等々に期待します。ところが、その期待を裏切る残念な新入社員が、少数かもしれませんが毎年一定の割合で存在している印象を受けます。

期待を裏切る新入社員の態度・言動とは、具体的には以下のようなものがあります。

  • 権利ばかり主張する一方、義務の遂行に対する責任感が弱い
  • 理屈をこねまわし、納得できないことはやらない
  • 最初からチャレンジすることを放棄している
  • 他責の姿勢で言い訳が多い。「申し訳ありません」という反省がない
  • 他者から受けた恩恵に対する感謝の気もちや「ありがとうございます」ということばが足りない

このような態度・言動をとる新入社員に対して、周囲の人たちは苛立ちを感じ、やがて彼ら彼女たちと心理的な距離を置くようになります。そしてその状況が続くと、新入社員が職場で孤立するという望ましくない状況が生まれることになるのです。

 

新入社員には、まずは形から入る指導を

もちろん、新入社員がそうしたふるまい方をするのは、周囲を苛立たせようとしているわけではなく、どのような態度・言動を取ればいいか、理解していないのです。したがって、入社後、早い段階で職場でのふるまい方を指導しないといけません。

教えること、理解させること、実践させることには、意識面・行動面の両面がありますが、まずは形から入るのが効果的です。禅の世界に、行入(ぎょうにゅう)と理入(りにゅう)ということばがあります。これは、行い(形)を整えると、その結果、理屈がわかる(=意識が高まる)ようになるという発想から来ていることばです。

新入社員に教えたい、好感のもたれる話し方、聴き方

形として最初に教えるべきは、「話し方、聴き方」の基本です。

話し方の基本

  • 語尾を伸ばさない
  • 明るくハキハキ話す
  • 簡潔に話す
  • 話すときの視線、表情、態度にも意識を向ける
  • 一方的に話さない

聴き方の基本

  • 相手の目を見ながら聴く
  • リアクション(あいづち、うなずき、等)を取りながら聴く
  • 話の途中で口をはさまない
  • 「なるほど」を使わない(上からの印象を与える)
  • 「ほんとうですか」と言わない(若い人が何気なく多用することば)

上手な叱られ方、ほめられ方

次に教えておきたいのは、「叱られ方、ほめられ方」の基本です。

自分自身の成長のためには、上司・先輩からのフィードバックを受けることはたいへん重要です。フィードバックを受け続けるためには、上手な叱られ方、ほめられ方の基本形を理解する必要があります。なぜならば、この基本ができていないと、周囲の人たちがいずれフィードバックをしてくれなくなるからです。

上手な叱られ方

  • まず、詫びる 「申し訳ありません」
  • 指摘を素直に受け止める 「おっしゃるとおりです」
  • 反省の弁や、感謝のことばを述べる 「以後、注意します」「ご指導ありがとうございました」

上手なほめられ方

  • 否定せず、素直に受け止める 「そう言っていただいて、うれしいです」
  • 「ほめてよかった」と思ってもらう 「これからもがんばります」
  • 感謝する 「いつも励ましていただいてありがとうございます」

ビジネスで成功するために、いちばん大切なこととは?

PHP研究所の創設者である松下幸之助(パナソニックグループ創業者)は、ビジネスパーソンにとって最も大切なことは何かと問われると、必ず「多くの人に愛されること」と答えました。

この考え方は、長年の人生経験・事業経験から導き出された知恵であり、信念でもありました。職場で愛され(かわいがられ)ないと、ほめたり叱ったりしてくれる人もいなくなりますし、仕事上の協力も得られないので、成果を上げることが難しくなるでしょう。つまり、自らを成長させ、ビジネスで成功するためには、愛される存在になることが絶対条件なのです。

晩年のある日、松下幸之助は関係会社の幹部と共に、大阪市内のあるホテルのレストランで食事をする機会がありました。料理長が腕を振るって作った料理にも拘わらず、幸之助は半分食べたところで早々に食事を終わらせ、料理長を自分の席まで呼び寄せました。そばにいた人たちは、きっと食事が口に合わなかったので、そのクレームを言うのだろうとひやひやしたそうですが、予想に反して、幸之助の口から出たことばは以下のようなものでした。

「せっかくおいしい料理を出していただいたのに、半分も残して申し訳ない。おいしくないから残したのではなく、私は老人だからたくさん食べられないんだ。一生懸命作っていただいたあなたにそれだけ理解してほしいので、来てもらったんだ」

このエピソードは、ハーバード大学のコッター教授の著書(『幸之助論』ダイヤモンド社)でも引用され、多くの人に感動を与えているのですが、実際、そのことばをかけてもらった料理長の感動がどれほどのものであったでしょうか。おそらく、一生、松下幸之助という一人の人間のファンになったでしょうし、できるだけ松下電器(現・パナソニック)の製品を買おうとするなどの行動を起こしたのではないでしょうか。

こうした事例はほんの一例であり、幸之助は生涯にわたって、多くの人に感動を与え、愛されました。そして、その根底には、「奉仕の精神」があったと思われます。常に、お客様に満足していただこう、世の中の人たちのお役に立とう、出会う人一人一人に喜びを提供しようと思い、実践してきたことが、多くの人に愛される秘訣であったのです。

愛される社会人になるために

ここまで新入社員に教えておきたい「形」としての話し方、聴き方、叱られ方、ほめられ方について述べてきました。上司、先輩、指導員の方がたは、こうした形の一つひとつが「愛される存在」になるために必要であることを教え、彼ら彼女たちが日々実践できるよう、指導をしていただきたいと思います。

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的場正晃 (まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年、PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年、神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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