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上司は気づかない、新入社員が突然辞める本当の理由

2015年11月26日更新

上司は気づかない、新入社員が突然辞める本当の理由

新入社員が突然辞めてしまった――そこには上司が気づかない本当の理由があるのかもしれません。突然の退職を招く上司とその対策について解説します。

新入社員が会社を辞める本当の理由

「最近の新入社員はすぐに会社を辞めてしまう」と経営者や人事担当者の嘆きをよく聞きます。なぜ新入社員は会社を辞めてしまうと思いますか?
「最近の若者は忍耐力がない」「打たれ弱い」からでしょうか?
それも正しいのですが、それはあくまで「上司」「会社」の見解であって、「新入社員」側の理由ではありません。
新入社員が会社を辞める理由の断トツのトップは、「キャリアアップしたい」だそうです。その次が「仕事が面白くない」「給料が低い」が続きます。しかし、新入社員が会社を辞める本当の理由は「職場の人間関係」という事実をご存知でしょうか? 離職の原因の80%が人間関係とも言われています。

新入社員研修を担当させていただいているIT会社でこんなことがありました。
新入社員研修ではやる気満々だった男性社員が、配属されて3か月後、急に「会社を辞める」と言い出しました。「父親が病気になり、田舎に帰らなければならない」という理由でした。やむを得ない事情だけに課長も引き止めることができず、結局、会社を去って行きました。しかし、早期離職の本当の理由は「課長との人間関係」にあったのです。
このように、新入社員は辞める理由を正直に言わないことが多く、経営者や上司もそのことに気づいていません。本当の理由に気づかなければ、新入社員の早期離職を根本的に防ぐことはできません。

こうして新入社員は会社を辞めていく

「今どきの新入社員は……」という声は昔からよく聞いたものです。しかし、この2、3年は、「最近の新入社員は可愛げがない」「教える気がしない」という不満を耳にします。「気がきかない」「覇気がない」「挨拶ができない」「礼儀を知らない」「言われたことしかやらない」など新入社員に相当なストレスを感じている上司が少なくありません。教えてもらう立場の新入社員がこのような姿勢で仕事をしていると、上司は新入社員に教えたくなくなり、次第にコミュニケーションが減っていきます。これでは、新入社員と上司の人間関係がうまくいくはずがありません。
新入社員を育てるべき上司が新入社員に期待しなくなると、新入社員は職場に溶け込めなくなり、会社を辞めたくなるのは当然です。

新入社員が入社して最初に悩むことは「社内の人間関係がつくれないこと」です。同期でうまく人間関係をつくっている人を見ると、余計に「自分はこの会社に向いていない」と思うようになります。会社の人間関係がつくれなければ、精神的にフォローしてくれる人がいなくなります。やがて会社で「自分の居場所」がなくなり、疎外感を感じるのです。そして、上司や同僚ではなく、親や友人に相談すれば、「ひどい上司だね。そんなに辛いなら転職したら?」と慰められ、辞めることに拍車をかけます。それをきっかけに辞める口実を考え始め、もっともらしい理由で早々に会社を辞めていくのです。

こんな上司が危ない!

では、どんな上司のもとに配属された場合に、新入社員は辞めてしまうのでしょうか?
人間的に好きになれない上司もいるでしょうが、多くの場合、「仕事の指示のしかた」や「報告を聴くときの姿勢」に問題があります。やって当たり前のように上から目線で指示する上司、パソコンを見ながら部下の報告を聴く上司、イライラする感情を顔や態度に出してすぐに怒る上司は、要注意です。
団塊ジュニア世代(1970年代生まれ)までの上司の新入社員時代は、即戦力という掛け声のもと、放ったらかしに育てられてきたため、これくらいの接し方ではへこたれなかったものです。「自分はへこたれなかったから、今の新入社員もへこたれないだろう」と高を括っているのです。だから、上司は新入社員の不安や悩みに気づく訳がありません。新入社員はこのような高圧的な上司におびえ、上司に話しかけにくくなり、次第に避けるようになってしまいます。結果として、上司に相談することもなく、ある日突然退職願が出てくるのです。

もちろん、上司だけに問題がある訳ではありません。しかし、多くの上司は自分が育てられたようにしか育てられないものです。さらに、新入社員の価値観や育った環境を理解していないことも、このような問題を引き起こしています。
逆に、たとえ仕事や待遇に不満があっても会社を辞めない社員もいます。その新入社員には必ず良い上司がいるものです。
上司との人間関係が悪くなると、どれだけ仕事や待遇に魅力があっても会社を辞めたくなり、上司との人間関係が良いと、仕事や待遇に多少の不満があっても辞めない――つまり、上司次第と言っても過言ではありません。

早期退職を防ぐ受け入れ側の教育

人事部としては、こうした職場の実態を把握することが第一といえるでしょう。早期離職の原因が人間関係となると、厄介な問題ではありますが、未然に防止する手はあります。たとえば、新入社員に業務日報を書かせる、フォローアップ研修を実施する、メンター制度を取り入れるといったことが考えられます。そして何よりも、受け入れ側の上司・先輩への教育が不可欠です。

最初から仕事が嫌で入ってくる新入社員はいません。むしろ、入社までにホームページ、会社説明会、今まで接した採用担当者、経営者を見て、期待を膨らませて入社してきています。そうした期待を、職場で失望、早期離職に変えることのないよう、すでに対策を実施している企業でも、形骸化していないか、改善点はないかを点検してみる必要がありそうです。

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【著者プロフィール】
茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

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