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強い現場づくりは企業使命の共有から

強い現場づくりは企業使命の共有から

(2020年3月 2日更新)

 
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企業の使命とは事業の目的そのものであり、使命を最大限に果たしていくことによって、企業は「あるべき理想の姿」に近づいていきます。組織とメンバーの使命(ミッション)が一致すれば、より強い現場をつくることが可能になるでしょう。

 

そもそも「企業の使命」とは何か

前回の記事「結果を出すリーダーを育てる方法とは?」でご紹介した「5つの原則」から、第1の原則である「使命を正しく認識すること」について検討してまいります。

そもそも企業の使命とはいったい何でしょうか。PHP通信ゼミナール『“強い現場をつくるリーダー”になるための5つの原則』には、「人々の生活や文化を維持し、それを向上していきたいという消費者の願いに応えていくこと」であると述べられています。

一方で、事業の目的は「利益の追求」であるという見方もあります。当然、利益が確保できなければ、健全な事業活動を継続することはできません。その意味で、利益が絶対的に必要不可欠なのは間違いないでしょう。

しかしそれでも、企業の根本的な使命は「人々の生活や文化の維持向上」であって、「その活動をよりよく行っていくために利益を確保する」という順番で考えるべきだといえます。なぜなら、たとえ私企業であっても、社会と密接につながり、社会に何らかの価値を提供し、社会から対価を受け取る限り、それは「公」の活動です。公の活動であるにもかかわらず、自社の利益を最優先に考えると、肝心の商品やサービスの品質が二の次になり、かえって消費者から見放されることにもなりかねません。あくまでも社会に価値を提供し、社会貢献の正当な見返りとして利益をいただく、という意識をもつことが大切です。

社員教育を通して、企業の使命に対する正しい見方を植えつけることが、よりよい事業活動を推進していくうえで非常に重要だといえます。

 

使命を記した経営理念を浸透させる効果

企業の使命、経営姿勢、信念、大儀などを明文化したものが、それぞれの会社で定められた「経営理念」です。先述の通信ゼミナールによると経営理念を制定し、社員への浸透を図ることには、次のような効果があるといわれています。

「経営理念と業績」の関係をとらえた研究によると、経営理念の浸透が、仕事に対する充実感や満足感、チャレンジ意欲を高め、組織メンバーのパフォーマンスを向上させて業績アップにつながることが検証されています。学術的な研究分野でも、事業経営における使命(理念)の重要性が明らかにされているのです。

企業の「使命」を明確化して経営理念に記し、社員がそれを自覚して仕事に取り組むことで、現場が強化され、業績の向上に結びつくという研究です。人は人の役に立つことで、喜びや充実感を得ることができます。その意味で、社会貢献という使命をまっとうしようとするとき、より大きなエネルギーが発揮されるのでしょう。

また、「使命が完全に果たされた状態」が、前回図示した自社の「あるべき姿」です。それを目指して目標を立て、日々の業務にまい進していくことで、企業は成長していくことができるわけです。

 

「使命(ミッション)」を浸透させる方法・仕組み

企業経営における使命は「ミッション」とも呼ばれます。ミッションを組織内で共有するためのポイントとして、同テキストでは、有名企業の取り組みを例示しながら、次のような意味合いで説明されています。

 

(1)ミッションを記した経営理念の文言は、時代が変わるとわかりにくくなることがあるので、特に大切にしている価値観については、時代に合わせた表現に直していく。

 

(2)朝礼・ミーティング・社内報などを通して、普段から自社のミッションを繰り返し確認する機会をつくり、社内で「共通言語化」を図る。

 

(3)信賞必罰の原則を守り、ミッションに適合した行動や成果はきちんと評価する。会社の価値観に合わないマイナスの行動や結果に対しては、きちんと指導を行う。

 

(4)リーダー自身が使命をしっかりと自覚し、責任を負い、「全員経営」の意識で働く姿をメンバーに見せる。リーダーの覚悟やあり方が現場に大きな影響を及ぼす。

 

このように、あらゆる方法でミッションを社員に伝え続けて、深く浸透させることが重要となります。リーダー教育において、このような考え方を理解させるとともに、ミッションを常にメンバーに意識させる仕組みづくりが不可欠です。

 

組織のミッションと個人のミッションとの整合性

組織のミッションが言葉として理解できたとしても、メンバー個人の「人生におけるミッション」と合致していなければ、大きなエネルギーは生まれにくいものです。そこで社員の方々に、研修等で「自分の使命とは何か」を考えていただき、自分自身をよく見つめていただくことが大切になります。そのうえで、リーダーの指導力によって、組織のミッションと個人のミッションが少しでも多く一致するように導いていくのです。

個人のミッションの見つけ方としては、次のような質問を投げかけるのが有効です。

 

1)自分の才能、技能、すぐれた分野は何か。自分の強み、弱みは何か

2)自分の動機、欲求、目標は何か。何を望んでいるのか

3)自分の価値観、つまり自分がやっていることを判断する主な基準は何か。自分の価値観と一致する仕事をしているか。自分の仕事にどのくらい誇りをもてているか

 

これらをしっかりと考え、自分を見つめさせることで、社員たちは自分自身のミッション、あるいは仕事における目標などが見つけやすくなるでしょう。自己分析の結果、人によっては組織のミッションと個人のミッションがまったく一致しない場合もあれば、部分的に一致する場合もあると考えられます。もちろん、少しでも多く一致しているほうが、高いモチベーションで仕事に臨めるようになるはずです。そこで各部門のリーダーには、次のような取り組みを実践することが重要になります。

 

1)組織のミッションの内容をくりかえし伝え、部門内で理解・共有すること

2)メンバー一人ひとりがみずからのミッションについて考えるよう働きかけを行なうこと

3)メンバーの「個人のミッション」について、上司としてある程度理解しておくこと

 

社員教育、特にリーダー育成においては、会社の使命(組織のミッション)をしっかりと認識させながら、メンバー個人のミッションといかに整合性をとっていくかについて、考えさせる必要があるでしょう。できるだけ多くのメンバーが組織のミッションに共感し、意欲をもって行動できるかによって、「現場の強さ」に差が出てくると考えられるからです。

 

松下幸之助のマネジメントに学ぶ5つの原則

 


 

森末祐二(もりすえ・ゆうじ)

フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。


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