課長職にマネジメントの革新を!
RSS

人事が押さえておきたい内定者懇親会の内容と目的

人事が押さえておきたい内定者懇親会の内容と目的

(2017年11月13日更新)

 
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!ブックマーク
  • Check

内定者フォローのための懇親会について、人事担当者が押さえておきたい主な内容、最近の傾向や盛り上げるための秘訣を、事例を交えてご紹介します。

 

*   *   *

 

内定者懇親会を行う時期、内容は?

業界や業種、職種、会社の規模を問わず、多くの会社で行われているのが、内定者が集う懇親会です。

通常、大学生の場合、4年の10~11月に1度、行います。年が明けて、2~3月に2回目を行う企業もあります。主催する人事部や総務部の目的は、内定者である学生の不安を取り除き、新年度の4月に全員を無事に入社させることです。

懇親会の内容は、企業により違いがあります。私が取材を通じて最も多く見かけるのが、次のようなものです。

・会社の会議室などに内定者を集め、それぞれが数分で簡単な自己紹介をする

・主な業務内容をまとめた動画などを皆で観る

・その後、人事部員が会社近くのレストランやホテルなどに案内し、食事をしながら懇談する

 

内定者懇親会が変わる!

この10数年は、各部署の社員が前面に出てくるスタイルが増えています。たとえば、内定者に年齢が近い20代後半から30代前半にかけての社員が数人、現在の部署や仕事について皆の前で語ります。その後、社員は内定者数人ごとのグループに入り、質問などに答えます。

学生は緊張しているからか、質問はあまり出ないようなので、社員が20~30分間、仕事や職場について語り続けることが多いようです。ある程度の場数・経験を積んできた社員を人事部で選び、話す内容を事前にすり合わせておくことが必要になります。

社員を選ぶときには、まず、1つの基準が、内定者に年齢が近い20代後半から30代前半であること。もう1つの基準が、内定者と共通するものがあるか否かです。「出身地」「卒業大学・学部」「部活動」「留学経験など、個人的な経験」などです。これらは通常は、採用試験の段階で人事部が把握しています。共通するものが多い社員を選んだほうが、学生との話が深くなります。

内定者を数人ごとにグループにするときにも、配慮します。「出身地」「卒業大学・学部」「部活動」などを確認し、共有するものが多い学生を同じグループにするのです。食事をするときの席を決めるときにも、同じことに注意します。

ポイントは、内定者との間でいかに話し合いやすい雰囲気をつくるかです。それが、不安を取り除くことになります。

 

懇親会を盛り上げる工夫

内定者懇親会をするときに、工夫をする会社が増えています。特に目立つのが、デジカメやスマホなどで職場での様子を撮影した動画や写真をプロジェクターで使い、説明する試みです。私はこのような動画を60社ほど観ました。仕事の内容を詳細に紹介する動画は少なく、むしろ、職場がいかに楽しく、仕事がどれだけおもしろいかを感じ取らせる内容が多いようです。

特に印象に残ったのが、自動車教習所の女性社員数人がつくった動画でした。20~40代の女性社員5~10人が、家事との両立をしながら働く姿を追った30分ほどのドキュメントです。総務課の社員によると、内定者の女子学生から動画の評判がよかったようです。

前述の20代後半から30代前半にかけての社員が、社内を案内することもあります。所属部署や会議室、打ち合わせの部屋、社員食堂やラウンジなどです。所属部署では、上司が簡単な自己紹介のうえで、部署を説明します。この際も、いかに楽しい職場であるかを知ってもらうことに重きを置きます。

これらの場には、人事部員が同席します。内定者に話しかけたりして、スキンシップをはかります。広報課の社員が同席し、デジカメなどで様子を撮影し、社内報や社内イントラネットで全社員に伝える会社もあります。

終了後、人事部員が懇親会の様子をまとめたレポートを内定者にメールで送る会社もありました。学生からは、お礼のメールが来るようです。それをきっかけに、人事部員が学生に卒業までの期間に数回、メールを送ることにしています。健康状態や卒論の進捗などの確認です。「ここまで丁寧に自分を見てくれている」と学生に感じ取ってもらえるようにするのです。これもまた、不安を取り除くことであり、内定辞退を防ぐためでもあります。

 

 

中小企業(メーカー)の事例

内定者懇親会を終えるとき、内定者にお礼の意味も込めてプレゼントをすることもあります。新聞や出版社で多いのは、自社で発売している雑誌や書籍などです。ある時計メーカーは、腕時計を渡していました。

私が心打たれたのは、2014年に取材した北関東の中小企業のメーカーです。大卒の新卒採用をはじめてから数年ということもあり、懇親会のノウハウがわからなかったようです。そこで40代の社長は、内定者数人にこのような手紙を書きました。

「小さな会社で大卒の新卒採用をすることがいかに難しいか。それでもなぜ、内定を出したのか。これから会社をどうしていきたいのか。そのために、あなたが必要なのだ……」。

今回、この記事を書くにあたり、3年ぶりに社長に電話をしてみました。その後も新卒採用を行い、毎年1~2人雇い入れているようです。内定辞退者はおらず、3年間で6人入社し、退職者は1人だそうです。

 

内定者懇親会が一定の成果を残すことができるか否か。それは、主催する側である人事部や総務部の考え方しだいです。「学生だから」と軽くみているようでは、上手くはいかないでしょう。将来、この会社を支える貴重な人材を受け入れるという自覚をもち、誠意で接していくべきなのです。それがあれば、多くの学生は納得して入社するのです。

 

内定者研修・教育

 


 

吉田典史(よしだ のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年以降、フリーランスに。特に人事・労務の観点から企業を取材し、記事や本を書く。人事労務の新聞や雑誌に多数、寄稿。著書に『封印された震災死その「真相」』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)、『悶える職場』『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ』(KADOKAWA/中経出版)など。

 


メールマガジン

更新情報をメルマガで!ご登録はこちらからどうぞ