課長職にマネジメントの革新を!
RSS

中小企業は「優秀な人」より「伸びる人」を!~大手に負けない新卒採用とは?

中小企業は「優秀な人」より「伸びる人」を!~大手に負けない新卒採用とは?

(2018年7月20日更新)

 
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!ブックマーク
  • Check

学生優位の「超売り手市場」が続くなか、中小企業は採用活動に大きな課題を抱えています。内定辞退を防止し、入社後に戦力として活躍してくれる人を採用するためには、どのような考え方と対策が必要なのでしょうか。

 

 

「超売り手市場」で中小企業の採用には大きな課題が……

円安・株高による業績回復や人手不足で企業の採用意欲は高く、ここ数年、学生優位の「超売り手市場」が続いています。こうしたなか、中小企業の採用活動は、今後も、厳しい状況が続くと考えられています。

大手企業に比べれば、どうしても知名度やブランド力、給与や福利厚生面などで見劣りがする中小企業。就職サイトで学生を募集しても、他の求人に埋もれてしまうのは免れません。何とか内定者を確保しようと、会社説明会や面接で実際以上によく見せるような説明をすれば、入社後の早期離職につながり、より大きな痛手となるだけです。苦労して内定を出すところまで漕ぎ着けたとしても、大企業にごっそり持っていかれ、半数以上から内定辞退が来たというのも、珍しい話ではありません。

2016年度(2017年卒)の入社予定者1人当たりの採用費の平均は46.1万円(2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査)となっており、中小企業にとって採用は、まさに最大の経営課題と言っても過言ではないでしょう。

 

中小企業はどう考え、どう対策をとる?

では、中小企業が採用で成功するためには、どのような考え方で、どう対策をとればいいのでしょうか。

まずは、採用担当者の発想の転換が必要です。

大企業と同じように、就活ナビのエントリー数を増やし、会社説明会に来てくれる人数を増やして、最終的に必要な人数を獲得しようすること自体に無理があります。結果的に入社してくれるのは「大企業に入れなかった人」であることが多く、積極的な動機で入社してくれるわけではありません。

採用基準についても、大企業と同じように「できるだけいい大学で優秀な人」という“ハイスペック人材”の採用を目指しても、そうした学生の多くは、やはり大企業を選択します。

そこで、中小企業では、「優秀な人」の採用はあきらめて、自社の理念に共感し、自社の事業に関心を持ち、素直に学びつづけ成長してくれる「伸びる人」を採用するという考え方をおすすめします。

では、「伸びる人」とはどのような人でしょうか?

それは「素直さ」を持った人材です。「素直さ」とは、言われた通りにやってみる、改善してみるという姿勢です。「会社の理念に共感し、素直にアドバイスを聞く人」は、高い確率で長年にわたって成長し続けてくれるはずです。素直さの素養があれば、適切な教育をすることでどんどん伸びていき、会社の戦力になってくれるでしょう。つまり「素直さ採用」という基準で人を採るべきなのです。

 

入社後に「伸びる人」を探す方法は?

ただ、エントリーシートなどではその一番重要なところが判断できません。

伸びる社員かどうかは、最初の面接でその人の成長課題をアドバイスしてあげて、次回の面接でその課題を改善したかどうかで見極めることができます。

具体的には、以下の方法です。

1)初回の面接終了後、個別に話す機会をつくる

2)就職活動の悩みを聞いてあげたり、お辞儀のしかた、スーツの着方、話し方、敬語の使い方などをアドバイスしてあげる

3)次回の面接時に、素直に実践し、修正されているかを見極める

 

学校の就職課に出向いて、学生を「一本釣り」

では、どうやって「素直な学生」を見つければいいのでしょうか。

一つ例をあげるとすれば、大学や高校の就職課に直接出向いてアプローチし、担当者と良好な人間関係をつくることです。そのうえで、自社にマッチする人材を学校側から推薦してもらえるようお願いするのです。そうして素直な学生を紹介してもらえたら、よりピンポイントで「伸びる人」に出会う確率が高まります。就活ナビ頼みではなく、いわば「一本釣り」で採用するということです。

大学や高校を一校一校回って人間関係をつくるのはたいへんですが、学校から推薦された学生は辞退する確率が低いはずです。「これは」という人を見つけたら、面談等を通して、しっかりと自社の理念や価値観、将来の目標を伝え、「この会社には未来がある」「やりがいをもって働ける」と思ってもらうことが大切です。そして、それ以上に「人を大切にする」「成長できる」「社会に貢献できる」会社であると感じてもらえるよう努めてほしいものです。

 

インターンシップはトップダウンで受け入れ態勢を

また、ここ数年、中小企業でもインターンシップを行なうところが増えています。インターンシップとは、学生が就業前に一定期間、企業で働く職業体験のことですが、特にベンチャー企業などを中心に増えてきているのが「長期の実践型インターンシップ」です。学生たちは、専用の特別なプログラムに参加するのではなく、3カ月から場合によっては1年以上にわたって、報酬をもらいながら、社員と共に実際の業務を担当します。

インターンシップに参加し、最初は何もできなくても、教えていくうちに仕事に興味をもって学ぶ姿勢が身につく学生が見つかれば、「素直さ採用」の可能性はぐんと高まります。

ここで大切なのは、仕事のやり方だけを教えるのではなく、会社選びや就職活動のしかた、さらに、生き方や考え方などプライベートも含めて学生が悩んでいることにアドバイスをしてあげることです。「この学生に成長してもらいたい、幸せになってもらいたい」という気持ちを伝え、心に響く体験を提供できるかどうかということです。

経営トップの方々には、インターンシップを「学生と出会う機会」であると同時に、受け入れ側の担当者や職場を活性化する「学生の学び、成長の機会」ととらえ、トップダウンによって職場全体で受け入れ態勢を整備してほしいと思います。

 

プロモーション動画で学生に興味をもってもらう

自社の良いところを学生にアピールするという部分では、WEB動画を使って成功している事例も出てきています。

今の若い人たちは、日常生活で動画に慣れ親しんでいます。プロが制作した訴求力のあるプロモーション動画は、若者の興味関心を惹きつけます。

ある中小企業では、外部に依頼してリクルート用の動画を作成し、その動画にWEB広告を打つことによって、160名の学生を集めました。そして、そのなかから6%にあたる10名を実際に採用したそうです。

このように、中小企業においても、学生の興味の視点を取り入れて対策を講じることにより、大企業が圧倒的に有利になる採用において、よりよい人材を採用できる可能性が高まるのです。

 

中小企業で働く魅力、やりがいを学生に伝える

そして、何よりも大事なのは、「中小企業で働くことの魅力」を伝えることです。大企業では、スケールの大きな仕事に携われる反面、個人の裁量や権限は限定されることが多く、既存のシステムの中で限られた範囲の担当業務をこなすことになります。これに対して中小企業では、早い段階から裁量や権限が与えられることが多く、若いうちから自分自身で仕事を創造していく醍醐味を味わえます。会社にブランド力がない分、個人の力量で勝負できる「やりがい」もあります。特に創業してから間もない会社の場合、これから一緒に仕事を創り、会社を成長させていく主要メンバーになることができます。このような中小企業の仕事の魅力を、面談で熱意を持って伝え、学生に共感してもらうことができれば、それは「素直な伸びる人」と出会えたことになるはずです。

 

今いる社員が、夢をもって働ける職場づくりを

もちろん、採用を成功させるためには、魅力ある企業づくりが欠かせません。

大企業と比べて条件面では不利であっても、それを跳ね返すだけの魅力を感じさせる企業でなければ、やはり学生に選ばれるのは難しいでしょう。

そのためには、経営者をはじめ、経営幹部、管理職はもちろん、社員一人ひとりが、より魅力ある職場に変わっていけるよう努力する必要があります。そうして「小さいながらも夢をもって働ける会社」「社員全員で大切に育てていく風土」にしていくのです。それが学生に伝われば、大企業ではないその会社を、彼らがあえて積極的に選ぶ動機となり得ます。

もちろん入社後も、「やはりここは自分が成長していける会社」と感じてもらえれば、一生懸命に仕事に取り組んでくれるはずです。そうして早期離職を防止し、活力のある職場づくりができれば、業績伸長にもつながります。このように善循環をつくることができれば、採用が企業にとって大きな力となるのも夢ではありません。

中小企業にとっての採用が、非常に厳しい状況であるのは間違いありませんが、採用担当の方には、採用という業務ではなく、将来の会社の成長を担う戦略業務という自負をもって、ぜひ頑張っていただきたいものです。

 

 

内定者フォロー研修(通信教育)

 


 

茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

採用・内定者フォロー 最新記事

メールマガジン

更新情報をメルマガで!ご登録はこちらからどうぞ