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「経営理念」や「企業使命」は組織の活性化に役立つのか?

「経営理念」や「企業使命」は組織の活性化に役立つのか?

(2017年11月 6日更新)

 
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企業としての使命を正しく認識し、経営理念として共有することが、強い現場をつくる第一歩となります。松下幸之助「5つの原則」からご紹介します。

 

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使命を正しく認識すること

松下幸之助のリーダーシップ論・マネジメント論を整理・体系化した概念であり、強い現場をつくるためのフレームワークである『5つの原則』。【第1の原則】が、「使命を正しく認識すること」です。強い現場をつくるためには、まず組織・事業の本来の使命を掲げ、それをメンバー全員で共有することが重要です。そのことに関して、松下幸之助は著書の中で次のように述べています。

 

「たとえ個人企業であろうと、その企業のあり方については、私の立場、私の都合で物事を考えてはいけない。常に、そのことが人々の共同生活にどのような影響を及ぼすか、プラスになるかマイナスになるかという観点から、ものを考え、判断しなくてはならない。

共同生活の向上に貢献するという使命をもった、社会の公器として事業経営を行なっている企業が、その活動から何らの成果も生み出さないということは許されない。そういう使命を現実に果たしていってはじめてその企業の存在価値があるのである。

こうした使命観というものを根底に、いっさいの事業活動が営まれることがきわめて大切なのである。」

松下幸之助著『実践経営哲学』(PHP研究所)

 

経営理念の重要性

ここで言う「使命」とは、「責任をもって果たさなければならない任務」という意味ですが、事業経営という枠組みの中では、「経営理念」の中に、その企業固有の使命が表明されていることが一般的です。事業活動を行う上での拠りどころとも言える「経営理念」については、多くの経営者・経営学者がその重要性に言及しています。

 

「自分は何のために仕事をするのか、この会社は何で成り立ってきたのか。根っこや源流は何なのか。そこを考えつくして行き着く、いわばアイデンティティ。困ったときの道標にもなります。ただし、理念を現実にどう生かすかは極めて困難。一方で、理念がないと前進しない。理念は現場で発見するきっかけを得ることが多いと思います。また、リーダーには理念を形骸化させないという役割もあります」※1

(元キリンビール・副社長 田村潤氏)

 

「人が動くかどうかを決めるのは、法律でもなければ、科学的な分析でもありません。最後は、リーダーが心に秘めている「志」しだい。理念なくして不可能に挑戦しようとしても、その思い自体がなかなか持続しません」※2

(一橋大学名誉教授 野中郁次郎氏)

 

経営理念でメシは食えるのか

一方で、ビジネスの最前線で戦っている人ほど、「理想と現実は違う」「きれいごとでは勝てない」といった、経営理念に対する批判的な考えを持つ傾向があるようです。果たして、経営理念と業績は相関関係があるのか、ないのか?

この論争に一石を投じたのが、麗澤大学の高巖(たか・いわお)教授による、経営理念とパフォーマンスに関する研究論文(※3)です。この研究では、経営理念の浸透が、職務関与や革新指向性の促進を通じて組織メンバーのパフォーマンスを向上させることが検証されました。数々のデータ・エビデンスとともに、社会科学の研究アプローチからも、経営理念の重要性が明らかにされたのです。したがって、「理念でメシは食える」のです。

 

使命の認識が現場を強くする

「私たちの仕事には、どんな使命があるのか?」

この問いに対する自分なりの答えが見つかると、やりがい・働きがい、喜びを感じて活き活きと仕事に取り組むことができるようになるでしょう。

 

松下幸之助5つの原則

 

売上や利益といった「目標」の達成ももちろん重要ですが、目標を達成することで近づく「目的」(=使命、理念、ミッション)についても、お互いに確認し合うことで個と組織が活性化します。

まず、使命を正しく認識すること。ここから強い現場づくりの第一歩が始まるのです。

 


※1 出典:『キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え!』田村潤著(講談社α新書)

※2 出典:『日本企業にいま大切なこと』野中郁次郎/遠藤功共著(PHP新書)

※3 高巌(2010)「経営理念はパフォーマンスに影響を及ぼすか-経営理念の浸透に関する調査結果をもとに-」『麗澤経済研究vol18,No1』

 

 

松下幸之助に学ぶ5つの原則

 

 


 

的場正晃(まとば・まさあき)
神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。現在は(株)PHP研究所 直販普及本部研修企画部部長。

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