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シニア社員のモチベーションを高める3つのポイントとは?

2021年12月13日更新

シニア社員のモチベーションを高める3つのポイントとは?

労働力不足を背景に、シニア世代社員のもつ豊富な経験や専門性を企業活動に活かそうという取り組みが盛んになってきました。しかし、当のシニア社員自体のモチベーションが低く、期待されるような行動をとれていないことのほうが多いようです。どうすればシニア社員を活性化させることができるのか、本稿ではその要諦を3つの観点から考えてみたいと思います。

INDEX

シニア社員活性化に対する中途半端な取り組み

昨今、シニア社員の活性化に関するご依頼・ご相談が増えてきました。そうした案件の一つひとつは状況が微妙に異なりますが、共通しているのは、
定められた年齢を過ぎると、役職が外れ、年収が下がるけれど、今まで通り、担当業務に意欲的に取り組んでもらいたい
という企業側の願いがあるということです。

ところが、その願いを実現するための施策として私どもに求められるのが、研修(半日~1日、単発実施)でモチベーションを高めてほしいという要望なのです。もちろん、研修を実施しないより、実施したほうがいいでしょう。でもそれだけで、シニア社員が活性化するはずがありません。もっと大きな観点にたって、会社全体の仕組みと風土の両面から対応策を考えていかないと、この問題は解決しません。

対応策1:納得感のある仕事を与える

これまでに身につけた知識やスキルなどの専門性がまったく必要とされない仕事内容や職場では自分の存在意義を感じにくくなりますし、新たな知識・スキルがなかなか身につかない、他人に聞かないとまったく進まないという仕事もストレスの源になります。また意味を感じない、価値を感じない仕事をすることも、人間にとってこれ以上ない大きな苦痛になります。

シニア社員が自らの強みを発揮でき、かつ「やる意味がある」と思える仕事に取り組むためには、上司とのコミュニケーションが不可欠になります。特に、「配属先の上司から詳しい仕事内容や役割の説明を受けていない」といったケースが多いという実態があります。これでは正しい働き方やモチベーションの喚起にはつながりません。

また、シニア社員に対する期待役割を明文化して説明し、合意することも大切です。すべて合意することは難しいし、する必要はないかもしれませんが、何が合意にいたって何が合意の障害になっているかを双方が認識する必要はあるでしょう。そのプロセスがないと不満や反発が強まるのです。

対応策2:シニア社員を尊重する組織風土

シニア社員活性化のためのハード的要因(賃金、制度)はいかんともしがたい部分が多いですが、それを補ってあまりあるのがソフト的要因(風土、マネジメント)です。

一番大切なのは、シニア社員の存在を承認することです。 「あなたの存在を必要としています」
「あなたがいてくれてみんな助かっています」
「あなたのおかげです」
「いつもありがとうございます」
こうした声かけにはお金は一円もかかりませんし、その気さえあれば、誰にでもできることです。でも、そうした声かけがされず、自らの承認欲求が満たされないとシニア社員の不満や反発につながるのです。

事例:上司から定年延長を打診されたシニア社員

某大手電機メーカーのシニア社員Aさんは、定年延長するか否かで迷っていた時、決断を後押ししたことばがあったと言います。
「上司から、『この仕事で定年延長してほしい』と言われた。給与面で不満がないわけではないが、それ以上に必要とされる実感がうれしかった」
人には、誰かから頼られたり、存在を認められたりしたときに、内側からエネルギーが高まるという本質があります。したがって、直属上司をはじめ、周囲の人たちが尊敬の念をもってシニア社員に接し、存在承認をしていく風土をつくることが何よりも重要なのです。

対応策3:シニア社員の意識改革・行動変容

シニア社員が、昇進・昇給という外発的動機に頼るのではなく、やりがい・はたらきがい・お役立ち感といった内発的動機へと自分の意識を改革できるよう導くことも大切です。その機会として代表的なものが、研修や個別キャリアカウンセリングです。その内容は、自分の強みや価値観などを見つめなおし、今後の働き方について行動計画を立てるものが多いようですが、大切なことは「感謝すること、されること」です。

現在の仕事や職場環境にいろいろ不満があるかもしれないけれど、今までの会社生活で会社や多くの人たちからお世話になり、恩恵を受けてきたことを思い出し、そのことに素直に感謝すること。また、その恩返しのために、これからの会社生活で周囲の人たちから感謝されるような「ありかた」(Being)と具体的な「行動」(Doing)を明らかにし、それを今後の実践に活かしていくこと。これらを研修やキャリアカウンセリングで気づかせていくことが、シニア社員とその人が所属する組織の両方にとって大切になるでしょう。

シニア社員を大切にする会社が求められている

シニア社員の現在の姿だけを見ると、当座の企業活動への貢献度は少ないかもしれません。でも、この方々のがんばりのおかげで、現在まで会社が存続できていることも事実です。
ドラッカーが、「長年真摯に働いてきた人が貢献できなくなったからといってクビにすることは間違いである。正義と礼節にもとる。そして社員の士気を低下させ、マネジメントへの不信を生む」と述べているように、シニア社員を大切にすることは、企業の努力義務と言えるでしょう。なぜならば、そうした姿勢を、いずれシニアになる若手人材も見ていますし、社外のステークホルダーも注視しているからです。
永続的な事業の発展を実現するためにも、シニア社員の活性化は今後の最重要経営課題の一つなのです。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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