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人間力を鍛える企業の取り組み~実践事例

人間力を鍛える企業の取り組み~実践事例

(2020年2月 4日更新)

 
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働く人の人間力を鍛えるために、先進企業では、どのような取り組みが行われているのでしょうか? その実践事例をご紹介します。

 
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トヨタの年頭所感でもふれられた「人間力」

経営を取り巻く環境の変化が激しさを増す状況のもと、「人間力」がこれまで以上に求められる時代になってきました。

トヨタ自動車株式会社の豊田章男社長は、年頭所感で人事制度の改訂についてふれ、今後は「人間力」を物差しとして社員を評価していくという考えを示しました。(※)

社会がどんなに変わったとしても、「一人の人間としての正しい生き方」は変わりません。唯一不変の真理とも言える「正しい生き方」を志す集団が、強いチームとして激しい競争を生き残ることができるのでしょう。

今回は企業事例の紹介を通じて、人間力豊かな人材の育て方のポイントを考えてみたいと思います。

※トヨタ自動車株式会社 YouTube

 

ネッツトヨタ南国「お遍路研修」の事例

高知市に本社を置き、圧倒的な業績を誇る「ネッツトヨタ南国」。同社で実施されている人間教育の一つに、目の不自由な方や高齢者のお遍路参りの同行・介添えをする「お遍路研修」があります。

5日間の研修中、自分では良かれと思ってやったことが相手の迷惑になったり、不快な思いをさせたり、予期せぬ出来事に研修生は困惑させられます。しかし、こうした体験を通じて、相手の状況や気持ちを察しながら行動することの重要性を学べるのです。

独自の人間教育を通じて、商売の基本である「相手に寄り添う」スタンスを社員が体得できていることが、同社の強みの源泉になっているのです。

 

秋山木工「徒弟制度」の事例

高級家具を作る「秋山木工」は、一流の人材を育てる企業として注目されています。代表の秋山利輝さんは、一流の人材に必要な心と技術は集団生活の中で育まれるとの考えから、入社後5年間は「秋山学校」という全寮制の学校で、職人の基本を叩き込んで教えています。

秋山学校では家具作りの技術を教えるだけでなく、目上の人を敬い、ルールを守り、困ったときは助け合う、といった(しつけ)がなされます。技術の習得はたやすいが、心を育てることは難しい。だから24時間一緒に過ごし、職人としてのあり方を後ろ姿で見せ、語り合うことで人間性を磨こうとしているのです。心が一流なら、技術も必ず一流になれる――。秋山さんはこう信じて、日々若者たちと真剣に向き合っています。

 

人間力を高める3つの原則――「体験」「振り返り」「面授」

二つの実践事例から私たちが学ぶべきポイントは何でしょうか?

ネッツトヨタ南国の事例が示唆していることは、「体験」の重要性です。「塩の辛さはなめてみないとわからない」ということばの通り、体験しなければ得られないものがたくさんあります。しかし、体験さえすれば人が育つというわけではありません。

松下幸之助が「今日一日を振り返り、失敗や成功を見出し、その味をかみしめる。これが体験である。反省することなしにポカンと暮らしてしまえば、これは体験にならない」と述べているように、体験から気づきを引き出すためには、「振り返り」という行為が欠かせません。体験と振り返りはワンセットなのです。

秋山木工の事例は、「面授」(面と向かって教育すること)の重要性を教えてくれます。人間力は暗黙知の集合体なので体得させるためには、面授によってあるべき姿を見せ、語り合い、同じ体験を共有するしかないのです。

体験と振り返りと面授。時間と手間がかかる作業ですが、社員の人間力を高め、業績を上げ続けている企業の多くが、そこにこだわっている事実を見ると、軽視できないことを感じます。

 

部長・課長のための人間力強化研修

 



的場正晃(まとば・まさあき)

PHP研究所人材開発企画部部長

1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。


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