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ミスを繰り返す若手。「何度同じことを言えば...」とうんざりしている管理職のあなたに

ミスを繰り返す若手。「何度同じことを言えば...」とうんざりしている管理職のあなたに

(2017年5月25日更新)

 
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ミスを繰り返す若手に、管理職としてどう対応すればいいでしょうか。アドラー心理学に学びます。

 

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新入社員も入社して早一カ月半をすぎました。研修も終え、そろそろ各部での実習が始まり、初々しさと危なっかしさに「ああ、またこの季節がやってきたな」と思うベテラン社員の皆さんも多いのではないでしょうか。若手につきものなのは「失敗」「ミス」。今はベテランである皆さんも、若い頃は結構な失敗を重ねてきたことと思います。そんな中、こうした失敗やミスに頭を抱えている管理職の方からご質問をいただきました。

 

【質問】

食品関係会社営業部門で課長をしています。同業他社と比較すると割とのんびりした社風で、人間関係も悪くなく、ぎすぎすした雰囲気もありません。私も入社以来物腰の柔らかい上司の下で勤務していたので、同じようなタイプだと思います。しかしそれが災いしているのか、若手で、仕事のミスが多く、何度指導しても同じことを繰り返す部下がいます。注意したときの反応は素早く、反省をしているように見えるし、しっかり謝罪もするのですが、同じ間違いを何度も繰り返すのです。他社の友人などに話すと「怒鳴りつけるくらいのことをしないと治らないんじゃないか」「もっと厳しい顔を見せろ」と言われるのですが、和気あいあいとした職場の雰囲気を乱したくはありません。(44歳 食品 営業課長)

 

「改善する」というパターンを行動に刷り込む

このご質問に対してお答えするべき点が3つあります。1つめは、この若手への指導。

元気いっぱいで、ニコニコハキハキ明るくて、返事も「ハイッ!」と気持ちいい。周囲の評判も上々。そしてミスを指摘すると、

「大変申し訳ございませんでした! 以後気をつけます!」

と時には涙ぐみながら真剣に謝罪。それなのにまた同じミスを繰り返す。最初のうちは「次から気をつけてね」で済んだものの、4回も5回もやられるとうんざりするやら情けないやら。指導しているこちらに手落ちがあるのではないかと悩んでしまう。あなたの身近にも、そんな若手を抱えて悩んでおられる管理職の方がいらっしゃいませんか?

なぜこの「いい子」は同じミスを繰り返すのでしょうか。それはひとえに本人がこのミスを深刻なものと捉えていないからです。そして「叱られた」 →「(脊髄反射として)謝る」というパターンはできていても、その次に「改善する」というパターンが刷り込まれていないからです。謝った時点で試合終了になってしまっているのです。

改善策としては、まずはこの若手と時間を設けて「ミス」について冷静に話す。その時に、

(1)繰り返すミスがどれだけチームへの負担、および本人の評価を低める結果になっているかの説明

(2)ミスをしないよう行動を改善するために、今後どのような対策を具体的にとるかを本人に考えさせる

 

この2つをじっくり話し合う必要があるでしょう。

謝ってすむなら警察はいりません。このままの状態を続けると、近い将来この若手が取り返しのつかない大きなミスをしかねない、という心配もあります。こうした繰り返しを通じて「改善する」というパターンをしっかりと行動に刷り込むことが大切です。

 

「Iメッセージ」で気持ちを伝える

2つめは、その際の指導の仕方や今後のチーム運営についてです。

この管理職の方は友人から「厳しい指導を」というアドバイスを受けたようですが、単にきつい言葉を並べたり怒鳴りつけたりするということでは、場の雰囲気が悪くなるばかりでなく、本人の「叱責された事項」に対する受け止め方も変わってくる可能性があります。それは「怒鳴られるくらいならやらないほうがマシ」というものです。行動が委縮し、誰がやっても失敗しない安全パイのルーティンワークしか手をつけなくなる、というのは上司側の望むところではありません。

ではどうすればよいのか。ここは「I(私)メッセージ」の使用をおススメします。これはこの若手だけではなく、チームで何か問題点があった際に使っていただきたい言葉がけです。

「(あなたは)なぜそんなにミスを繰り返すんだ! こんなことでこれから(あなたは)どうするんだ!」

という「あなた」を主語にしたYOU(あなた)メッセージではなく、

「(私は)あなたの繰り返すミスが心配だ。まわりに負担もかけているし、なにより安心して仕事を任せることができないことに(私は)困っている」

という「私」を主語にしたI(私)メッセージを使っていただきたいのです。

「あなたは」「君は」「お前は」と突きつけられると、逃げ場なく責められるようで心理的に委縮しがちです。それよりも「私は心配だ」「私は困っている」と「私」を主語にすると、言われた側はどうでしょう。「心配かけてしまった」「困らせてしまった」という気になりませんか。

怒りのままに強い言葉で責めたてるのではなく、冷静に落ち着いて自分の気持ちを伝えることで、相手も落ち着いて真摯に受け止めることができるのです。

 

期待されている役割をしっかり伝える

3つめは、この管理職の方の「職場の雰囲気」への認識です。

「和気あいあい」は悪いことではありませんが、「ミスがあっても波風立てず見て見ぬふり」「適当」「いい加減」「なあなあの雰囲気」になってはいないでしょうか? それでは士気が上がらないどころか、管理職に対する低評価にも結びつきかねないことを認識してもらう必要があるでしょう。

チームにはミッションがあります。チームとは、そのミッション達成のために集まった組織であり、そのために力を合わせる存在であるということを忘れてはいけません。チームとしてミッションを達成するには、所属するメンバーがもてる力を存分に発揮していくことが求められますが、そのために欠かせないのが、これまでにも何度も触れてきた「共同体感覚」です(アドラー心理学に学ぶ「勇気づけ」の職場づくり「職場のメンバーに共同体感覚を育む大切さ」参照)。

職場の共同体感覚を高めるために必要なのは、メンバー全員がその場に対して「所属感・安心感」「信頼感」「貢献感」をもつことです。単なる仲良しグループをつくればよいというものではありません。それぞれに役割があり、それを果たし、チームに貢献する使命感をもつ。職場の居心地のよさはそうしたうえに成り立つものです。

それを念頭に、チームのミッションとともに、その若手社員に期待されている役割についてもしっかり伝えていくことが大切です。それらが本人のなかに根づいていくことで、考え方も行動も積極的で主体的なものに変わってきます。ミスへの対応や改善への取り組みにも前向きな変化が生まれるでしょう。

 

*「アドラー心理学に学ぶ『勇気づけ』の職場づくり」一覧はこちら

 

リーダーのための心理学入門コース

 


 

【著者プロフィール】

永藤かおる(ながとう・かおる)

(有)ヒューマン・ギルド研修部長。心理カウンセラー。1989年、三菱電機(株)入社。その後ビジネス誌編集、海外での日本語教育機関、Web 制作会社など、20年以上のビジネス経験のなかで、人事・採用・教育・労務管理等に携わる。どの現場においてもコミュニケーション能力向上およびメンタルヘルスケアの重要性を痛感し、勤務と並行して学んだアドラー心理学を生かして現在㈲ヒューマン・ギルドにてカウンセリング業務および企業研修を担当。著書に『「うつ」な気持ちをときほぐす 勇気づけの口ぐせ』(明日香出版社)、PHP通信ゼミナール『リーダーのための心理学 入門コース』(監修:岩井俊憲、執筆:岩井俊憲・宮本秀明・永藤かおる、PHP研究所)などがある。


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