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社員への周知・教育が急務! マイナンバー制度の基礎知識

社員への周知・教育が急務! マイナンバー制度の基礎知識

(2015年10月30日更新)

 
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平成27年10月から番号の通知が始まる「マイナンバー制度」。企業では社員への周知が急務となります。ここでは、社員に教育・研修すべきマイナンバー制度の基礎知識をパナソニックソリューションテクノロジー株式会社・相沢正夫氏に解説していただきます。

*  *  *

マイナンバー制度とは

基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者番号、運転免許証番号、住民票コード、雇用保険被保険者番号……。

現在、行政機関や自治体等では、分野や組織ごとに個人を特定するための番号が管理されています。これらの個人の番号について同一人のものと特定することに、現在はかなりの手間を要しているのですが、それを横断的に利用できるようにするのがマイナンバー制度です。この制度によって、個人の所得を正確に把握し公平な税負担が実現できたり、より的確な社会保障の提供ができるようになったり、といった効果が期待されています。

「マイナンバー法」は平成25年に成立し、政省令等の整備が進められてきました。そして平成27年10月5日から番号が通知され、平成28年1月には、マイナンバー制度が施行される運びとなっています。と同時に、希望者への「個人番号カード」交付も順次行なわれる予定です。

 

マイナンバー制度の目的と意義、原則事項

マイナンバーは、各省庁を横断する組織である内閣府が所管し、わが国の行政手続きの基盤とすることが規定されています。そして、その目的及び意義として、次の5つがあげられています。

(1)より公平・公正な社会を実現する。

(2)社会保障がきめこまやか、かつ的確に行われる社会を実現する。

(3)行政に過誤やムダのない社会を実現する。

(4)国民にとって利便性の高い社会を実現する。

(5)国民が、自分のマイナンバーがどのように使われているか可視化できる仕組み、社会を実現する。

 

また、マイナンバー制度には、3つの原則事項があります。

1つ目は、平成27年10月以降、住民票を有する方に12桁のマイナンバー(個人番号)が通知されるということ。外国籍でも住民票がある中長期在留者や特別永住者などの外国人も対象となります。市区町村から、住民票の住所あてに「通知カード」が郵送されますので、住民票の住所と異なるところにお住まいの方は注意が必要です。

次に、マイナンバーは一生使うものだということです。マイナンバーが漏えいして、不正に使われるおそれがある場合を除いて、番号は一生変更されませんので、大切に保管する必要があります。

最後に、国や地方公共団体などで、社会保障、税、災害対策の3つの分野のうち、法律か自治体の条例で定められた手続でのみ使用されるということです。法律で定められた目的以外にむやみに他人に提供することはできませんし、他人のマイナンバーを不正に入手したり、他人のマイナンバーを取り扱っている人が不当に誰かに提供したりすると、処罰の対象になります。

 

マイナンバーの種類とは

マイナンバーには2種類の番号があります。一つは、住民票を有する者に付される個人番号。もう一つは、法人および団体に付与される法人番号です。

個人番号は数字の12桁で市区町村が付番します。法人番号は数字の13桁で国税庁が付番します。さらに大きな違いは、個人番号は「本人確認」が必要なことで、収集、保管、利用、提供等に厳格な規制があります。一方、法人番号は制限がなく、国税のウェブサイトで公開され、民間で自由に利用してよい、ということです。

 

「番号通知カード」と「個人番号カード」

個人のマイナンバーについては、2種類のカードが交付される予定です。一つが平成27年10月5日より通知される「番号通知カード」。そしてもう一つが、平成28年1月以降、希望者に交付される「個人番号カード」です。これらは混同しがちですので、その違いを認識しましょう。

まず、「番号通知カード」は、住民票を持つ国民一人ひとりに交付される紙のカードです。住民票の住所に所帯単位で郵送されてきますので、自分の住所がどうなっているか確認する必要があります。一方、「個人番号カード」は、表面に写真と、住所、氏名、性別、生年月日、裏面には個人番号が明記されています。「番号通知カード」の郵送物の中の「個人番号通知カード申請書」を返信することによって、市区町村の窓口で交付してもらえます。これは、運転免許証などと同様に身分証明に利用できます。

 

マイナンバーの利用

マイナンバーが使われるのは、次のような場合です。

(1)社会保障

年金の資格取得や確認、給付、雇用保険の資格取得や確認・給付、ハローワークの事務、医療保険の保険料徴収、福祉分野の給付・生活保護 など

(2)税

税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書などに記載、税務当局の内部事務 など

(3)災害対策

被災者生活再建支援金の支給、被災者台帳の作成事務

 

具体的な使用例として、次のような場面が想定されています。

ア)子どものいる家庭で、児童手当の毎年の現況届の際に「市区町村」へマイナンバーを提示する

イ)厚生年金の裁定請求の際に年金事務所に「マイナンバー」を提示する

ウ)証券取引や保険に入っている人が、配当や保険料を受け取る際、証券会社や保険会社にマイナンバーを提示し、金融機関が法定調書に記載する

エ)従業員として雇用されている人が、勤務先にマイナンバーを提示し、勤務先が源泉徴収票に記載する

 

(エ)の使用例については、従業員を雇用しているすべての民間企業に関係します。企業は従業員などから個人番号を収集して、報酬等に係る支払調書や社会保険関係手続き資料を作成し、公的機関へ提出することになります。

 

 

マイナンバー導入によるメリットとリスク

マイナンバー制度導入によるメリットとして、一つに「国民の利便性向上」があげられます。先述のように各行政機関、地方公共団体との情報の一元化が可能となり、行政機関の受付窓口で同一人であることの確認ができることで、本人の情報をもれなく照会できます。

さらに各種の申請において、提出する書類が簡素化されることになります。また、行政機関、地方公共団体等の間においても当該個人情報の照会・提供を行なうことが可能となるため、より正確な情報を得ることが可能となり、真に手を差し伸べるべき者に対しての、よりきめこまやかな支援が期待できます。

一方、マイナンバーを含めた個人情報が外部に漏れるのではないか、他人のマイナンバーでなりすましが起こるのではないかというリスクに対して、不安をもつ方も多いのではないでしょうか。実際に、個人番号制を先行導入した米国、韓国では、情報流出事件が社会問題化しています。

そのような懸念・不安に対応し、安全・安心を確保するため、制度・システムの両面から、次のような厳しい制限が設けられています。

(1)マイナンバーには利用、提供、収集に関する制限があります。これらの基本は、社会保障、税、災害対策に限定されていることです。そして、個人からマイナンバーを取得する際には、本人確認が義務となっています。

(2)マイナンバーを利用する委託にも、委託元、委託先ともに厳しい安全管理措置が求められ、責任の所在が明確化されます。

(3)個人番号を取扱う業務は、多くの人が関与する場合、一人、または一部署が頑張れば対応できるというものではありません。人・物・金・情報などの経営資源が必要になるため、組織としての対応が求められています。

(4)マイナンバーには保管や廃棄の制限があります。例えば、法定保管期間以上に保管するのは処罰の対象になります。従来は最低保管期間の認識で、倉庫に格納できる容量で廃棄処理などをしていましたが、速やかな廃棄などの処理が求められています。

 

また、罰則が強化されたこともこの制度の特徴の一つといえます。「個人情報保護法」を補完するため、今回、「番号法」またの名を「マイナンバー法」と呼ばれる特別法が施行されます。この「マイナンバー法」の位置づけとしては、最初に特別法である「マイナンバー法」を見ます。そこに記載が無ければ一般法である「個人情報保護法」に従います。つまり、「マイナンバー法」が優先することになります。

また、「マイナンバー法」には、適用除外がなく、「個人情報保護法」に比べて法定刑が重い、直罰規定がある、そして行為者を罰するほか、その法人または人に対しても、各本条の罰金刑を科する両罰規定があることが特徴です。

 

マイナンバー利用の今後

マイナンバー制度は、今後どのように展開していくのでしょうか。現在、政府が進めている「世界最先端のIT利活用社会」実現、その中で、マイナンバーの利活用を拡大していくことが決まっています。さらに、各地方公共団体でも個人番号カードの利活用が検討されています。

その一例をご紹介しましょう。

たとえば、交付が「任意」とされている「個人番号カード」ですが、実は、様々な利活用がこのカードがある前提で考えられています。

例えば、病院、職場・役所で必要なカード類(健康保険証、印鑑登録カード、公務員身分証明書等)や、紛失等の恐れのある国家資格等の証明書を、個人番号カードに一体化、一元化する。身近な公的身分証明書として、さまざまな官民の本人確認を要する場面で利用できるようにするとともに、取得に係る本人負担を軽減する。窓口外、時間外の利用が可能なコンビニ交付等、個人番号カードを利用した利便性の高いサービスを拡大する。

さらに、安全・安心なオンラインでの本人確認手段として、対面・書面に代えて、官民のさまざまな手続きに利用を拡大することが考えられています。

今後、ますます利活用が拡大していくマイナンバー制度。企業でも、社員一人ひとりが正しい知識をもって対応できるよう、準備を進めたいものです。

 

※最新情報は、マイナンバーのホームページをご参照ください。

 

〈関連記事〉企業のマイナンバー対応 どこからはじめる?

 


 

【講師プロフィール】

相沢正夫(あいざわ・まさお)

パナソニックソリューションテクノロジー株式会社システム三部コンテンツ開発課所属。1972年、パナソニックSSマーケティング株式会社(現・パナソニックシステムネットワークス株式会社)入社。情報システム部門へ配属。 社内・社外業務システムの開発を担当。2005年、パナソニック株式会社の新組織「情報セキュリティ本部」の発足と同時に情報セキュリティ担当部門へ責任者として配属され、情報セキュリティの規程作成、教育、啓蒙と情報セキュリティを全社員に浸透させた。この経験をさらに活かすべく、2008年、パナソニックラーニングシステムズ株式会社(現・パナソニックソリューションテクノロジー株式会社)に転籍し、情報セキュリティの社内実施と外部講師を担当。ISMS審査員補。個人情報保護士。NPO法人日本プロジェクトマネジメント協会プロジェクトマネージャコーディネータ。

 


 

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