人を育て、本業に徹する~宝清インターナショナル様
2026年3月 2日更新

保険業界の競争の激化により、商品を販売する保険代理店もまた、淘汰が進んでいるといわれる中、北九州市に本拠を構え、創業から50年以上にわたって事業を継続している宝清インターナショナル。2025年に創立45年を迎えるアフラック生命保険の老舗代理店の1つだ。早逝した父の跡を継いで若くして社長に就任した2代目の相良真華氏(「松下幸之助経営塾」第15期生)が、みずから理念を策定し、経営の原点回帰を進めている。真華氏本人が、父が創業した会社の歩みと、自身が実践した改革などについて語る。
株式会社宝清インターナショナル 代表取締役 相良真華(さがら・しんか)

1984年福岡県北九州市生まれ。2006年久留米大学商学部商学科卒業、あいおい損害保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)入社。'09年アメリカンファミリー生命保険(現アフラック生命保険)入社。'10年宝清インターナショナル入社。'19年より現職。'23年アフラック北九州アソシエイツ会総務理事就任。同年に博多祇園山笠(ユネスコ無形文化遺産)集団山笠見せ(復路)で知名士の1人に選ばれ台上がりの大役を果たす。'24年の「博多どんたく港まつり」では博多松囃子の地謠方として初参加するなど九州を代表する伝統文化の交流にも携わる。「松下幸之助経営塾」第15期卒塾。
株式会社宝清インターナショナル
本社:福岡県北九州市/創業:1971年、創立:1980年/事業内容:アフラック生命保険およびアフラック少額短期保険の代理店
がん保険は人助けに。大竹美喜氏との出会い
当社は父の相良宝清が、1971年歳のとき、北九州市を拠点に個人で保険の仕事に携わったのが創業の原点です。現在は生命保険会社であるアフラックの代理店です。しかし、父は独立する前に自動車販売のセールスをしていたこともあり、当初は損害保険会社の自動車保険を主とした損害保険を取り扱っていました。70年代は自動車の普及が進んだこともあって事業は順調に伸び、1980年に法人化して有限会社宝清保険事務所になります。
損害保険会社の代理店だった当社がアフラックの保険商品を扱い始めたのは、ちょうど有限会社を設立した1980年からです。アフラックは今から50年前の1974年、日本で初めてがん保険を発売しました。父は30代にして損保の九州代理店会の会長を務めていましたが、アフラックの考え方に共鳴し、がん保険の販売にも注力することになりました。がん保険が人助けになると考えたのです。
父は、アメリカンファミリー生命保険日本社(現アフラック生命保険)を設立した大竹美喜創業者を非常に尊敬していました。大竹さんのがん保険にかける想いに父は共感し、九州・沖縄では、アフラックの契約を一番多くのお客さまからいただいたといいます。
父はさらに株式会社への改組を考えました。「株式会社グローバル宝清」のような社名にして、地域社会、日本、そして世界に貢献する会社にしたいと、当時中学生の私によく語っていたものです。
1998年に社名を株式会社宝清インターナショナルとすることにしました。「インターナショナル」の社名を提案したのは、実は私です。たまたま英語の授業中、教科書に掲載されていたinternationalの文字が目に留まりました。意味は国際的。父の考えにぴったりな単語だと思い、社名に勧めたのです。むろん社名は最終的に父が決定しましたが、その由来は当時14歳の私が授業中に偶然、目を留めた英単語にあったのです。
ちなみに社名にもある父の「宝清」という名前は、実は本名ではありません。1975年に高野山真言宗のお寺の住職からいただいた法名です。本名は豊治。父が独立して間もないころ、損保会社の守衛さんに紹介されて、そのお寺を訪ねた住職の御師匠さまからいただいたそうです。
私の名前の「真華」は本名です。父が紹介され訪ねた住職につけていただきました。真言宗の「真」と、住職の名前にある「華」の字に由来します。「真実をもって華やかに生きなさい」という意味が込められています。

自動車保険を主とした損害保険会社の代理店としてスタートし、1980年に法人化(写真は1977年)

アメリカンファミリー生命保険日本社(現アフラック生命保険)の創業者・大竹美喜氏とともに(2024年)
事業の整理に踏み切り社員の若返りも進む
父は地域社会・日本・世界のためにと信念を持って様々な事業展開をし、経営をしていましたが、私が32歳のときに母が、33歳のときに父が病に倒れます。そして34歳のときに母が、35歳のときに父が亡くなりました。私がPHP研究所の松下幸之助経営塾に通っていたのはそんな、両親が闘病中の頃でした。
そういう事情もあって、経営塾に参加すべきか相当悩んだのですが、母が「行ってらっしゃい」と後押ししてくれて通うことにしました。その母は、経営塾を修了するころに旅立ちます。でも、このタイミングを逃していたら経営塾に行くこともなかったでしょうし、このタイミングであったからこそ、当時まだ社長でなかった私は経営者としての心構えを身につけることができました。経営塾参加に理解を示してくれた両親にはとても感謝しています。
父も亡くなり私が経営を継いでから、会社は大きく変わりました。当初は社員の年齢が50代後半で、私と、取締役に就いた妹が一番若かったのですが、その社員たちが相次いで定年を迎え、今では40歳の私が最高齢者です。本社ビルの大きな改装や修繕もしました。お客さま対応のスペースを広げたほか、社員が働きやすいオフィスにしました。さらにビルの外壁には、社名とともに、当社キャラクターの「ほうせいくん」を表示しました。
そして最も重要なのは、事業を見直したことです。社長に就任してから間もなく新型コロナの感染拡大が始まって事業環境ががらりと変わり、いろいろ考えました。父が「原点回帰」「原点はこの北九州にある」とよく語っていたのを思い出し、福岡と直方の支店を整理して本社にすべてを統合することに決めました。
また、本業に徹することにしました。本業とは、収入の9割を占めていた、アフラックの代理店としての仕事です。昔からやっていた損保のほかにも父が乗り出そうとしていた事業があったのですが、継続すべきではないと判断しました。
その大きな理由は、競争の激化により、保険商品が昔よりもはるかに多様化したことにあります。かつては20年間も販売していた商品もありましたが、今や2年ともたない。販売する身としては、以前よりもずっと多くの商品の内容を理解していなければならないことになります。
また以前は、取り扱う生命保険はアフラックの商品だけではありませんでした。昔から取引してきた損保に生命保険の子会社があって、その子会社の商品も扱ってきたのです。しかしこのまま両方続けるとなると、覚えることもそうですが、本来のお客さま本位の対応がますます難しくなる。そこで2022年に、損保会社の代理店事業については、当時の担当社員とともに、損保の直営店に移管することにしました。そうすれば、すでに契約されていたお客さまにご迷惑をおかけすることはありません。
オフィスは北九州市の本社、取り扱う商品はアフラックに絞った結果、社員と接する時間が増え、人材育成にも力を注げるようになりました。保険の販売には、商品の知識も欠かせませんが、まずはお客さまの信頼を得られる人であることが大切です。そのためにも育成が重要なのです。アフラック本社と北九州支社の支社長や営業担当の方も、社員の育成を一緒になって支援していただき感謝しております。そうしたことから、保険の仕事が未経験で当社に入社した若手社員も、北九州ではトップクラスの販売成果を上げるようになりました。
育成と同時に、人の採用にも力を入れています。採用しても、定着してくれなければ意味がありません。当社に貢献していただける人かどうかを見極めるために、社長である私自身が採用面接をしています。応募者との認識のギャップがないように、最終面接では職場見学会も実施して、社員の話も聞けるようにしています。また採用した社員には定着してもらうべく、先に述べたように職場環境を改善し、また2024年の10月から人事評価制度を新たにして、昇給や賞与の基準についてもきちんと定めました。さらに最近は、健康経営にも取り組み、「ふくおか健康づくり県民運動」の一環として、「健康づくり団体・事業所宣言」をしました。何より社員の健康が大切ですから。

九州を代表する伝統文化の交流にも力を入れる真華氏は、2023年の博多祇園山笠集団山笠見せ(復路)において、知名士の1人として台上がり(山笠台左手)の大役を果たした
幸之助と渋沢栄一に学び独自の理念の策定に注力
松下幸之助経営塾に通いたいと思ったのは、幸之助さんのような経営者になりたいと思ったことと、純粋に松下幸之助さんが好きだったからです。
幸之助さんに興味を持ったのは、17歳の大学受験がきっかけです。推薦入試の小論文の課題が、幸之助さんの本を題材にした内容でした。高校の先生に相談したら、『人を活かす経営』(PHP研究所)を渡されました。その内容に共感して、他の本も読み漁りました。私は勉強も活字も嫌いだったのですが、内容が読みやすいうえ、幸之助さんが父と同じく経営者であることや自分で会社をつくりたいとの思いもあったからです。
当社に入ってからは、幸之助さんの影響もあって、経営理念の必要性を感じるようになりました。当時は創立時に定めた経営方針はあったのですが、経営理念がなかったのです。経営理念について勉強したいと思い、32歳のときPHP研究所の東京本部で「経営道コース」を受講しました。
修了後に松下幸之助経営塾の受講も勧められたのですが、先述したように母が病に倒れ、参加しようかどうか悩みました。でも、母が生きているあいだに経営理念をつくりたいと思い、同社の京都本部で開催されている経営塾に通うことにしたのです。母が亡くなる前に「経営理念ができた」と伝えると病室で母は泣いて喜んでくれました。
他社にみられないような独自の経営理念を策定したいと思い、文言は自分で考え父の考えも聞きながら2017年に完成させました。「奉運生偉(ほううんせいい)」。「奉仕の心で運命に挑み生成発展の偉業を成す」の略です。さらに漢字4文字のそれぞれの読み仮名の最初をつなげると、「ほうせい」となり、社名の宝清にかけています。「奉仕の心」は真言宗で大切にされていて、「運命に挑み」は大竹美喜創業者から父に贈られた言葉、「生成発展の」は日に新たな経営を説いた幸之助さんの言葉、「偉業を成す」は徳川家康公と秀忠公を見習い代々続く会社にしたいとの想いに由来します。
自分が社長になってから幸之助さんの考えを活かすため、2021年に「心ときめくMIRAIをつくる」という「企業理念」、3つの「ビジョン」も定めました。その3つとは、
・何よりも大事なお客さまを第一に、お客さまから必要と信頼される存在感のある最良な企業をつくります。
・かけがえのない社員と共に、一人ひとりの持ち味が発揮でき、協調性と多様性に満ち溢れた心若い活気ある最良な企業をつくります。
・夢ある会社と共に、存続発展の使命に生き、地域社会と日本そして世界に寄与できる最良な企業をつくります。
最後の3つ目は、「地域社会と日本そして世界に寄与できる」とあるように、父の志を受け継いでいます。また、父は感謝の心を大切にしていましたので10項目から成る行動指針「いつもありがとう。」も定めました。
その後、2020年に渋沢栄一翁の「論語と算盤」の本を読んで考え方に共感し、実践経営に活かすため学びたいと思い、2021年に、玄孫である渋澤健さんが塾長を務める「『論語と算盤』経営塾」(シブサワ・アンド・カンパニー)をコロナ禍でしたがリアルとオンラインのハイブリッドで受講しました。そこで渋澤健さんからパーパスの意義を学び、「『出逢えてよかった。』よき人づくり&よき会社づくり」というパーパスを2023年に策定しました。
「&」を入れたのは、『論語と算盤』に「と」が入っており、渋澤さんの会社名にも「と」を意味する「&(アンド)」がみられるように、「と」の力を感じたからです。また、保険の仕事には、それを販売する人が重要ですから、まずは「人づくり」を第一としました。
今後はよき人を増やして社員と共に、お客さま満足度を高めるアイデアや改善のトライ&エラーを繰り返しながら成功するまで続けて成功させるよき会社をつくり、売上も拡大させて、2040年までには九州・沖縄でナンバーワンのアフラック代理店になることが夢であり目標です。
そして今、当社が力を入れているのが、民間介護保険の普及です。介護はまだ先と後回しにされますが、思ったよりも早くご自身やご家族の介護が始まるケースもあります。病ではなく誰でも老いると、もの忘れや体が動かなくなるということが必ず起こります。人生100年時代だからこそ介護予防と将来への備えは必要であり、公的介護保険の補完商品として民間介護保険の普及に会社を上げて力を入れています。
たとえ時代が変わろうとも、大切なお客さまへ当社にしかできない付加価値の高いサービスの提供ができる会社経営をしていきたいと考えています。
取材・構成:川上恒雄 写真提供:宝清インターナショナル
経営者・後継者限定「松下幸之助経営塾」

松下幸之助の経営理念・哲学を学ぶ、経営者・後継経営者のための研修セミナー。PHP研究所が長年の研究を基にご提供する充実の10カ月プログラムです。
本記事は、電子季刊誌『[実践]理念経営Labo』Vol.12から転載したものです。登録不要、全編無料でお読みいただけますので是非ご覧ください。




































































![[新版]できる社員の仕事術マスターコース](/atch/tra/IBI.jpg)
![[新版]中堅社員パワーアップコース](/atch/tra/IAJ.jpg)




















![[改訂版]会社の経営数字マスターコ-ス](/atch/tra/AFE.jpg)
![[新版]会社の数字入門コース](/atch/tra/AFC.jpg)












![[金融編]「美しいペン字」練習講座](/atch/tra/DFC.jpg)





![[新版]ケースで学ぶ 実践!コンプライアンス ~社会人として求められる考え方と行動~](/atch/el/95139_01.jpg)
![[ケーススタディ]今こそ知っておきたい コンプライアンス50 ~違反防止で終わらない。価値を高める行動へ~](/atch/el/95140_01.jpg)















![[テレワーク時代の]社会人やっていいこと・悪いこと](/atch/dvd/I1-1-065.jpg)























![ホスピタリティ・マインド[実践3]心くばりで感動を共有しよう](/atch/dvd/A1-2-036-1.jpg)
![ホスピタリティ・マインド[実践2]気くばりで顧客満足度アップ](/atch/dvd/A1-2-035-1.jpg)
![ホスピタリティ・マインド[実践1]品格あるマナーで好感度アップ](/atch/dvd/A1-2-034-1.jpg)





![私たちのコンプライアンス[4]](/atch/dvd/I1-1-073.jpg)







![ストレスチェック制度対応 [改訂版]セルフケアからはじめるメンタルヘルス・マネジメント](/atch/dvd/I1-1-040.jpg)





![みんなで実践[異物混入対策]SNS炎上防止とクレーム対応](/atch/dvd/I1-1-035.jpg)
![みんなで実践[異物混入対策]現場改善で異物をなくす](/atch/dvd/I1-1-034.jpg)







































