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職場に潜むアンコンシャスバイアスの具体例を紹介。4つの弊害とその対処法とは

2026年3月 5日更新

職場に潜むアンコンシャスバイアスの具体例を紹介。4つの弊害とその対処法とは

アンコンシャスバイアスとは、「無意識に生じる認識や偏り」と定義される心理学の用語のことです。「思い込み」「偏見」「決めつけ」「先入観」などと訳されることもあります。放置すると、企業においては、人材が正しく活用されないことや、イノベーションが生まれにくい、ハラスメントの増加など、さまざまな弊害をもたらします。本記事では、アンコンシャスバイアスの意味や具体例、職場で起こる問題や対処法をご紹介します。

INDEX

「アンコンシャスバイアス」とは

アンコンシャスバイアス(unconscious bias)とは、「無意識に生じる認識や偏り」と定義される心理学の用語のことです。過去の経験や価値観、知識などに影響を受けて、知らない間に思い込みや偏見をもってしまうことは、誰にでもあることです。しかし、自分ではその偏見になかなか気づくことができません。そして、アンコンシャスバイアスは、何気ない発言や些細な行動に現れます。
ここでは、アンコンシャスバイアスの意味について、さらに掘り下げて解説します。

誰もが持つ無意識の偏見や思い込みのこと

アンコンシャスバイアスは、日常生活や職場などさまざまな場面で、人の言動に現れます。
例えば、「男性(女性)はこうあるべきだ」「若者はみんな〇〇だ」といった無意識の偏見です。これらのアンコンシャスバイアスは「よくあることだから気にするほどでもない」と見過ごされる傾向があります。
しかし、そのまま放置すると、人間関係の悪化や人の成長を阻むなど、さまざまな問題を引き起こします。職場では、社員のモチベーション低下やハラスメントの発生などをもたらし、ひいては生産性の低下につながることもあるでしょう。

自分では気づきにくいアンコンシャスバイアス

アンコンシャスバイアスは「無意識に生じる認識や偏り」と定義されますが、過去の経験に影響を受けて「無意識に生じる」ことから、自分ではなかなか気づくことができません。しかし、アンコンシャスバイアスの影響を受けていることに気づかずにとった言動が、知らないうちに相手を傷つけたり、自身のキャリアに影響を及ぼしたりすることがあります。
アンコンシャスバイアスが及ぼす影響は、決して小さいものではないのです。

それ自体は「悪」ではない

アンコンシャスバイアスは誰にでもあるもので、必ずしも「悪」というわけではありません。人の脳はエネルギー消費を少なくするため、過去の経験や見聞きしたこと、学んだことなどをもとに、無意識下で素早い判断を行います。アンコンシャスバイアスがうまく機能すれば、多くの情報を少ないエネルギーで処理することができるのです。
しかし、アンコンシャスバイアスは、常に正しいというものではなく、決めつけや押しつけを生み出すことにもなります。無意識の決めつけを人に押しつけることになれば、人を傷つけ、人間関係を阻害することも考えられます。特に管理監督者がアンコンシャスバイアスを持っている場合、職場、メンバーに広く影響をもたらすため、その自覚と解消が求められているのです。

職場で起こるアンコンシャスバイアスの具体例

アンコンシャスバイアスには、さまざまなパターンがあります。問題があっても自分は大丈夫と思い込む「正常性バイアス」や、人の属性から先入観や固定概念で決めつけを行うステレオタイプバイアスなどが代表的なものです。
ここでは、職場で起こりやすいアンコンシャスバイアスの具体例について、7つの種類に分けて紹介します。

正常性バイアス

正常バイアスとは、良くない状況や問題が起こっていても、自分にとって都合の悪い情報やデータを無視したり過小評価したりすることです。「大したことじゃない」と落ち着こうとする心の安定機能のような働きをします。
不安や心配を減らす役割もありますが、緊急事態や大きな問題が起きているときに適切な対処ができず、コンプライアンス違反や情報漏洩、経営悪化など手遅れの事態を招くことがあります。

正常バイアスの具体例

・「今まで大丈夫だったから問題にならない」と納入業者に対して無茶な値下げを要求し、不正・コンプライアンス違反につながった
・「小さな会社だから狙われないだろう」とセキュリティ対策をせず、情報漏洩やサイバー攻撃につながった
・売上が落ちて対策が必要であるにもかかわらず「そのうち業績が上がる」と思い込んで何もせず、経営が悪化した

集団同調性バイアス

集団同調性バイアスとは、集団の中にいると、つい他人と同じ行動をとってしまうことです。対立を避けることや、上位者への遠慮から起きるとされています。協調性を重んじる職場風土の場合は、特に起こりやすいでしょう。周囲が正しい行動をとっていれば良い方向に動くこともあります。
しかし、所属している集団の意見にあわせようとする人が多くなると、イノベーションの阻害やハラスメントの横行などの問題に発展するリスクがあります。

集団同調性バイアスの具体例

・新規事業案にリスクを感じているが、経営層の意向で進められており、現場が意見を言えない
・上司の部下に対する言動に違和感があるが、周囲は意見せず、沈黙している

確証バイアス

自らの仮説を検証する際、無意識に、その正しさを証明する情報を集め、反証する情報や意見を無視したり集めようとしないことです。
自分は正しいという思い込みが強いと、自分に都合のいい情報ばかりを集めてしまう傾向が強くなります。客観的な事実が見逃され、間違った意思決定をしてしまう危険性が大きくなります。人事評価や新規事業案の策定、職場の人間関係などに影響を及ぼす場合があります。

確証バイアスの具体例

・「Aさんは優秀だ」と思い込み、人事評価の場面で、成功事例は強く印象に残り、失敗はたまたまだと解釈される
・「この市場は伸びる」とポジティブなデータだけを引用し、ネガティブなデータは例外として扱う
・結婚している女性は仕事より家庭を優先すると思い込み、既婚者の同僚が残業をせずに帰ると自分の判断が正しかったと確信する

アインシュテルング効果

長く慣れ親しんだ考え方や価値観に固執し、何かの課題に取り組むときに新しい視点を考慮しない、あるいは無視してしまうことです。
より優れた解決法が見えなくなり、多面的な判断や柔軟な思考ができず、「頭がかたい」と言われる状態になります。属人化が解消されなかったり、DXの遅れなどの課題につながります。

アインシュテルングの具体例

・これまでうまくいっていたマーケティング手法を変えようとせず、市場変化に対応できず、新たな顧客を獲得できない
・業務管理のプロセスは慣れ親しんだExcelを活用し、新たなクラウドツールなどの導入が遅れる

ステレオタイプバイアス

性別や年齢、学歴、職業など、人の属性ごとに特定の特徴があると思い込むこと、先入観や固定観念を指します。ステレオタイプバイアスが作用すると、無意識のラベリングによってその人自身の能力を正しく評価できない恐れがあります。社員の活躍を阻み、適材適所を実現できなくなり、職場から多様性が失われることにもつながります。

ステレオタイプバイアスの具体例

以下のような考えに基づく言動が具体例です。

●性別に関するもの

・男性社員は論理的で統率力がある
・女性社員はきめ細かい業務が向いている
・育児中の社員は出世を望んでいないはずだ

●年齢に関するもの

・シニア社員は変化に弱く、ITは向いていないのでDXプロジェクトにアサインしない
・若者は忍耐力がないので、仕事が長続きしない

●学歴・経歴に関するもの

・A大学の出身者は優秀に違いない
・キャリア採用社員はすぐに転職してしまう

●人種・国籍に関するもの

・外国人は自己主張が強くてマイペースなので、協調性が求められる仕事には向いていない
・日本人は消極的でおとなしいので、外国で成功することは難しい

ハロー効果

顕著に高い特定の評価項目において強い印象を受けた結果、その項目に引きずられて、その他の項目についても同じように高く評価してしまう心理作用のことです。本質を見極められなくなり、誤った評価をする可能性があります。

ハロー効果の具体例

・学歴が高い人は優秀と思い、採用選考でも良い評価をしてしまう
・プレゼン力が高い社員は仕事全般ができると評価され、実務の細かいミスが見逃される

慈悲的差別

少数派に対する、好意的ではあるが勝手な思い込みによって行われる差別的な行動のことです。たとえば「男性には女性の面倒を見る責任がある」という思い込みによる発言が、女性に対するステレオタイプに基づいているため差別を助長する、キャリアアップの機会を奪ってしまうというケースなどが、これにあたります。

慈悲的差別の具体例

・高齢者や女性というだけで、力仕事から除外する
・子育て中の女性にとっては大きな負担となるので、重要なプロジェクトや困難を伴う仕事を任せるのはよくないと発言する

アンコンシャスバイアスが企業へ及ぼす4つの弊害

アンコンシャスバイアスが職場に及ぼす影響は少なくありません。代表的な4つの弊害について詳しく紹介します。

1.人材が正しく活用されない

アンコンシャスバイアスがあると、属性によって仕事の役割が決められてしまったり、「あの人は◎◎なタイプだから」と同じ業務に固定されたりと、人材を正しく活用することを阻害してしまいます。思い込みや決めつけで挑戦の機会を奪うことになりかねません。ひとり一人の能力や特性を客観的に見極めて、最適な人員配置を行うタレントマネジメントを行うべきでしょう。

2.人事評価が不公平になる

人事評価をする立場の管理職にアンコンシャスバイアスがあると、人事評価に不公平感が出てしまいます。ハロー効果やステレオタイプ、確証バイアスなど、さまざまなアンコンシャスバイアスが現れやすく、管理者によって価値観や判断基準が異なることも難しい点です。アンコンシャスバイアスがある状態で行われる人事評価は、部下の納得感を引き出しにくく、エンゲージメントが低下し、結果として離職などのリスクにもつながります。
人事評価を完全に公平にすることは難しいですが、まずは誰しもがアンコンシャスバイアスを持っていること、どのような思い込みや決めつけがあるのかを研修などで学習し、自覚していくことが大切です。

参考記事:PHP人材開発「人事考課とは? 目的や問題点、考課者訓練のポイント、アンコンシャス・バイアスへの対策を解説」

3.イノベーションが生まれにくい

アンコンシャスバイアスがあることで、風通しが悪く、建設的な議論ができない職場風土が生まれてしまう場合があります。集団同調性バイアスによって、会議で異論が出ないことなどが例として挙げられます。意見が言いにくいと、メンバーのモチベーションも下がり、新しい視点や考え方が発想されず、結果としてイノベーションが生まれにくくなってしまいます。
変化の激しい市場で生き残るには革新的なアイデアの創出が求められますが、そのためには多様な価値観を受け入れる環境がなければなりません。アンコンシャスバイアスで多様性が排除され、人材の同質化を加速する排他的思考をなくさなければ、貴重なビジネスの機会を失うことにもなります。

4.ハラスメント・コンプライアンスリスクの増大

「女性は◎◎な仕事をすべきだ」「この程度であれば問題ない」など、アンコンシャスバイアスは時に重大なハラスメント・コンプライアンス事案を引き起こす可能性があります。明らかな違反だけでなく、ちょっとした違和感を見逃せば、個人ではなく組織ぐるみでの不正につながりかねません。万が一不祥事が起これば、企業の社会的信用を失うことになり、企業イメージを損なうだけでなく、事業の存続も危ぶまれる危険性があります。

企業主体で行うアンコンシャスバイアスへの対処法

アンコンシャスバイアスには、企業が主体となって対処していかなければなりません。
無意識の偏見や思い込みは、自分自身では気づかないことも多いものです。まずはアンコンシャスバイアスとは何かについて研修で学習する機会を設け、一人ひとりに、自分にはどのようなアンコンシャスバイアスがあるのかについて気付いてもらうことから始めましょう。
さらに、職場ではどのようなアンコンシャスバイアスが起こりえるのか、どのような問題があるのかを学ぶことも重要です。これらの取り組みによって、社員にアンコンシャスバイアスへの自覚と、解消しようという意識が生まれるでしょう。

アンコンシャスバイアス研修

アンコンシャスバイアスの存在を知り、解消へのマインドを形成するには、アンコンシャスバイアス研修を実施するのが有効です。
まず「アンコンシャスバイアスとは何か?」という基礎知識を学習し、グループワークなどを通して「自社で起こりがちなアンコンシャスバイアス」を議論します。同じ職場の仲間が感じているアンコンシャスバイアスを知ることで、自身が知らず知らずのうちに持っているかもしれないアンコンシャスバイアスについて自覚することができるでしょう。

基礎知識の学習に加えて、次のようなテーマを自社の課題に合わせて組み合わせるのもよいでしょう。アンコンシャスバイアスには様々な切り口があります。
・ライフイベント、キャリア形成で起こりがちなアンコンシャスバイアス
・上司と部下、男性と女性などの関係性で起こりがちなアンコンシャスバイアス
・問題解決やイノベーションを阻害するアンコンシャスバイアス
・アンコンシャスバイアスにとらわれないための発想法、コミュニケーション

PHP研究所では、管理職向け、一般社員向けのアンコンシャスバイアス研修のモデルプログラムをご紹介しています。 自社の課題に合わせたプログラムのカスタマイズも可能ですので、ぜひご覧ください。

参考記事:PHP人材開発「変革を起こすアンコンシャスバイアス研修。研修内容と導入のタイミング」

講師派遣「アンコンシャス・バイアス研修」はこちら

マネジャー向けeラーニング『アンコンシャス・バイアスから考える人事考課』の詳細・デモムービーはこちら

まとめ

アンコンシャスバイアスは、誰にでもある無意識の思い込みや決めつけです。しかし、アンコンシャスバイアスによる何気ない言動は、職場にネガティブな影響を与えている可能性があります。
アンコンシャスバイアスを放置することで、生産性の低下や企業イメージの悪化をもたらす場合もあります。多様性の尊重が求められるこれからの社会に適応できるよう、アンコンシャスバイアスへの対処を検討していきましょう。

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