課長職が押さえておくべきマネジメントの5つの機能
2017年2月15日更新
課長職は、組織の中間にあって全体を動かすキーマン的立場です。課長職が求められる役割を果たすために、おさえておくべきマネジメントの5つの機能とは? PHPゼミナール課長研修の講義内容からご紹介します。
課長職の3つの役割とは
PHPゼミナールではマネジメントを「経営資源(人・物・カネ・時間・情報等)を一定の基準・規則にもとづき、最大限に有効活用し、最大の成果を上げること」と定義しています。
組織の中間に位置し「経営情報」と「現場情報」の両方にアクセスしやすい立場の課長職は、組織全体を動かすキーマン的立場にありますが、その役割は大きく3つです。
(1)成果を上げる
(2)組織を強化する
(3)新しい仕事を作り出す
ところが、多くの企業の課長は、係長やメンバーと同様にプレイヤーとして忙しく動き回っていて、(2)や(3)に取り組めていない、あるいは関心が向いていないのが現状です。
では、そもそも課長と係長に期待されるものは違うのでしょうか。
一見すると大きな違いはないようにも思われます。両者ともリーダーとして目標を示し、チームワークをよくすることで、組織成果を上げることが期待されるからです。
しかし、課長と係長とでは根本的な「役割」が決定的に異なります。
課長になった人が実感するのは、次のようなことではないでしょうか。
・指示・命令・評価される立場から、する立場になる
・プレイヤー中心から、プレイヤーをしながら組織をマネジメントする仕事になる
・自分の成果だけではなく、組織全体の成果に責任を持つ
・処遇面では「管理職手当」がつくが、残業代はもらえなくなる 等
係長は自分の仕事で結果を出すことを求められますが、組織をマネジメントする立場ではありません。「課長のマネジメント」とは、組織の中で権限を持ち、管理することを意味します。
また権限が与えられることは、同時に責任を負うことも意味します。自分の仕事の責任に加えて、組織としての結果や部下が失敗をした時、結果を出せない時にも責任が問われます。
課長研修の際に受講者から悩みを聞くと、異口同音に「忙しい」「時間がない」と言います。プレイヤーの実務に追われマネジメントの時間がないようにも見えますが、実は時間がないのではなく、リーダーシップやマネジメント能力が身についていないことが大きな問題なのです。
プレイヤーとして優秀で課長になっても、その役割を自覚し、必要な能力・スキルを身につけず、昇進している人が多いのも実状です。
課長職のマネジメントの基本原則
そこで、PHPゼミナールの課長研修では、まずマネジメントの基本原則を取り上げ、強い組織(チーム)をつくるための革新ポイントを学んでいきます。そこで、課長職が押さえておくべきマネジメントの5つの機能を見ておきましょう。
1.計画機能:これから起きることを予測して計画を立てる
2.組織化機能:計画を実行するための組織や体制をつくる
3.指令機能:実行に向けてメンバーにわかりやすく指示する
4.調整機能:成果を出すために、関連する仕事や部署と調整を図る
5.統制機能:計画とのズレを修正する
研修では、こうした5つの機能について「PDCA(プラン・ドゥ-・チェック・アクション)のサイクルのチャート図」を活用しながら、仕事をまわしていくポイントをその場面や工程に応じて解説していきます。
すると、多くの皆さんが課題として口にするのが、「P、Dは出来ているが、C、Aが不十分」ということです。
取りかかりとして大事なことは、限られた時間の中で大量の仕事をしなければならないからこそ、悪い点ばかりに注目して反省するのではなく、良い点を積極的に見出しメンバーと共有化していくことです。そして、課長自身が毎日30分とはいかないまでも10分でも15分でも振り返る時間を必ず作ることが極めて重要です。
自らへの問いかけが課長職の経営意識の土台づくりにつながる
我々は、なぜこの仕事・プロジェクトに取り組んでいるのか、なぜこの目標・計画を定めているのか、今どこにいるのか、何が価値として得られるのか、といった質問を自らにするのです。繰り返し問いかけ、自分の判断軸をしっかりさせていくことで組織の現状認識が的確となり、問題の本質を掴み課題解決を進める力が培われていきます。それが組織責任者としての「仕事観、企業観、社会観、人間観」といった経営意識の土台づくりにつながり、課のミッション・ビジョンを描き示す原動力となるのです。
株式会社 PHP研究所 人材開発企画部