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人事評価研修(考課者訓練)とは? その課題や効果的なプログラムは?

2021年9月28日更新

人事評価研修(考課者訓練)とは? その課題や効果的なプログラムは?

人材の処遇と育成のために必要な人事評価(考課)制度。しかし評価者が正しく評価基準を理解していないなどの理由から、社員が評価結果に不満を抱いてしまうなど、うまく機能していない企業も少なくありません。
そこで今回は、人事評価の課題や、それを解決する管理職向けの研修プログラム(人事評価研修・考課者訓練)について解説します。

人事評価研修(考課者訓練)とは?

ある決まった期間における、部下の態度行動や業績などを評価することを人事評価(考課)といいます。人事考課という会社もありますが、ほぼ同義と考えてよいでしょう。人事評価の結果は、その部下の昇格や昇進、報酬などの処遇に反映されることが一般的です。
ただし、評価基準の解釈が評価者によって異なったり、制度そのものに難があるなど、人事評価に様々な課題を抱えている企業も少なくありません。
そうした課題を解決するために管理職(評価者・考課者)を対象に実施するのが、人事評価研修(評価者研修・考課者訓練)です。ここでは、人事評価研修の概要や、実際に研修を導入している企業の実態について解説します。

人事評価研修の意義と目的

人事評価研修は評価者一人ひとりが人事評価に対する理解を深め、評価スキルを向上させることを目的として実施されます。
人事評価制度の内容は企業により千差万別ですが、その目的とするところは「適切な処遇」と「能力開発」という点で共通しているはずです。そこで、人事評価研修では、自社の評価制度がどのようなものなのかをしっかりと理解させることが大切です。
そのうえで、公平で納得性の高い評価を実施できるよう知識やスキルを教えるとともに、低い評価の部下には改善・成長を促し、高い評価の部下にはさらなるパフォーマンスを引き出していくにはどうすべきかを、管理職一人ひとりに考えてもらう必要があります。
また人事評価研修を通して、人事評価の項目や基準を認識させることで、職能や等級に応じた「理想の人材像」を評価者(管理職)に明確に伝える効果も期待できます。
つまり、人事評価研修は単に処遇や査定を正しく行うためだけではなく、人材の活用・育成につなげるという意義があるのです。

人事評価研修(考課者訓練)を行う企業の実態

少し前の調査データではありますが、2016年に産労総合研究所により実施された、評価制度の運用に関する調査によると、評価制度がある企業は95.0%でほとんどの企業で人事評価制度が導入されていることがわかります。
また、人事評価研修(考課者訓練)を行う企業の割合は71.4%で7割以上が実施していることになります。また、評価される側への研修は22.6%で、被評価者の意識レベルやモチベーションの向上に取り組む企業も増えています。
人事評価制度は評価する側だけではなく、評価される側の理解も必要不可欠なことはいうまでもありません。

出典:産労総合研究所「2016年 評価制度の運用に関する調査」
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/jijiromu/hyokaseido/pr1702-2.html

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人事評価における評価者(管理職)の課題

人事評価における評価者(管理職)の課題

人事評価制度は、評価者(管理職)が一定の基準で部下を評価し、人材育成や適切な処遇、活用を行うための制度です。
人事評価制度を正しく運用できれば、もちろん企業の業績アップに繋がることが期待できます。しかし、学校の試験などとは異なり、仕事において人が人を評価することはとても難しく、人事評価制度がうまく機能していないという企業は少なくありません。

人事評価制度における管理職(評価者側)の課題はさまざまにありますが、一般的には以下のようなことが考えられます。

●評価基準が曖昧で評価にばらつきが生じる
●多様化する働き方に対応した評価ができない

それぞれの課題について具体的にみていきましょう。

評価基準が曖昧で評価にばらつきが生じる

人事評価制度を運用する企業は7割を超えているものの、評価者一人ひとりの評価基準にばらつきがあることを問題視する企業は少なくありません。
評価者によって評価基準がバラバラになると、部下の仕事ぶりを正当に評価できなくなったり、成長スピードに格差が出るなど、様々な問題点が起こります。
また、評価者に正当に評価されないと、会社や上司に対して不平不満を持つ部下も出てきます。評価理由を明確に説明できなければ、信頼関係は崩れていきます。組織風土も悪くなり、優秀な人材が流出すれば、業績も低迷します。
朝礼ではっぱをかけたり、高邁なミッションを提示したところで、「自分は正しく評価されていない」という部下の不満は、けっして解消されることはないでしょう。

多様化する働き方に対応できていない

2019年4月から順次施行された働き方改革により、従来に比べて部下はそれぞれの事業に応じた働き方を選べるようになりました。
例えば、リモートワークや在宅ワーク、短時間勤務制度を導入するなど、近年は新しい働き方を導入する企業も多くなっています。しかし、多くの企業では、管理職の側が多様化する働き方に踏まえた評価を実施できていないのが現状です。

たとえば、目標管理制度では、年度の始まりに目標を設定し1年かけて目標達成に取り組みます。しかし、リモートワークが中心になると、管理職は部下の日々の勤務態度や行動、努力を把握、評価することが難しくなります。その結果、仕事ぶりを正当に評価されず、不満を感じるという部下も増えつつあります。
また、育休や産休、男女共同参画など、人事におけるダイバーシティは急速に進展していますが、管理職の意識が追いついていない点もよく指摘されます。適正な人事評価を行うためには、そうした点への対処も必要不可欠といえるでしょう。

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人事評価研修の内容

人事評価研修の内容

それでは、人事評価の目的・意義、評価者が抱えがちな課題をふまえて、人事評価研修の内容を整理してみましょう。

自社の人事評価制度の理解

まずは、自社の人事評価制度の目的・意義や仕組みについて正しく理解しなければいけません。自己流の価値観で部下を評価しているだけでは、適正な評価ができないばかりか、部下の不満もたまってきます。
人事評価研修というと、ともすれば「正しい評価方法」にばかり内容が偏りがちです。もちろん、それは重要なことなのですが、そもそも「なぜ人事評価が必要なのか」をしっかりと理解することが大切です。
「評価を人材の適正配置や育成・活用につなげ、企業競争力を高める」という認識が薄い管理職の場合は、事実に即していなかったり、甘くなったり辛くなったり、どうしてもいい加減な評価に陥りがちになります。

評価項目・プロセスの理解

「自社の人事評価の仕組みがどのようになっているのか」「なぜ、そのような評価のプロセスをふむのか」という点も確認しておく必要があります。評価の仕組みは企業や職種によって異なりますが、下記のようなプロセスが一般的です。

STEP1)本人による自己評価
STEP2)直属上司による一次評価(絶対評価)
STEP3)上級管理職による二次評価(相対評価)
STEP4)最終評価者による調整と決定

評価者研修の主な対象は一次評価を担う管理職(課長職)と考えられますが、一次評価は本人の自己評価をふまえて、絶対評価で行うケースが多いようです。なぜなら、直属の上司とだからこそ、部下をきちんと観察し、コミュニケーションの中から評価の根拠(部下の具体的な行動・事実)を把握することができるからです。そう考えると、人事評価制度が機能するかどうかのキーマンは一時評価者にあるといっても過言ではありません。
しかし、実際にはこの点がおろそかになり、評価表をつける段階でなんとなく評価をしているという管理職が大半です。「部下の閻魔帳をつけているみたいで嫌だ」という管理職も少なからずいます。
ですから、評価プロセスを知り、評価者の役割をしっかり認識してもらわなければなりません。

評価基準(要素)の理解

「どのような基準で評価をするのか」も大事なポイントです。評価基準は一般的に下記の3つの要素から構成され、最終的に総合評価を決めていくケースが多いようです。

(1)業績評価...仕事の成果や目標達成度による評価
(2)情意評価...「規律性」「積極性」「協調性」などの態度行動による評価
(3)能力評価...専門的な知識やスキルなどによる評価

部下の具体的な行動・事実の一つ一つを、どの評価基準にあてはめて評価するのか。この点についても管理職全員が共通認識をもっていないと、適正な評価はできません。「あいつはがんばっていた!」などとざっくりとした印象だけで評価することは、やはり避けなければなりません。
また、あくまでも評価の根拠とすべき行動・事実は評価期間内のものでなければならず、職場を離れたプライベートものまで評価対象にしないといった、基本的なルールも確認しておきます。

評価基準を統一するために

どんなに客観的な行動・事実に基づいたとしても、評価者は人間ですから、どうしても評価結果は管理職間でバラツキが生じます。ただ、これをなるべく小さくするということも人事評価研修の大きなテーマになります。

評価者が陥りやすい偏向(心理的バイアス)とは?

評価者が陥りやすい偏向、心理的バイアスの代表例としては下記のようなものがあげられます。

●ハロー効果
1つの良い面に影響されて全体を良い評価にしてしまうことです。例えば、難関大学卒の人材は優秀なビジネスパーソンとしても優秀と思い込み、良い評価をしてしまいます。

●期末効果
評価直前の失敗や成功に影響されて評価に偏りが出てしまうことです。例えば、過去に成功実績が多数あっても近々で起きた失敗に引っ張られて悪い評価を付けるなどです。

●寛大化傾向/厳格化傾向
寛大化傾向は全体的な評価結果が高めになってしまうことです。原因としては、評価者が業務内容に精通していない、部下に嫌われたくないという意識が働くなどが考えられます。反対に、評価結果が低めになってしまうのが厳格化傾向です。

●中心化傾向
当たり障りのない無難な評価をしてしまうことです。人材の優劣を付けるのが苦手で、中間値の評価を付けてしまいます。

こうした心理的バイアスを研修で事前に指導しておけば、評価基準のバラツキをおさえることが期待できます。

評価基準を統一するためのケーススタディ

評価基準のバラツキをおさえるためには、ケーススタディも有効です。これは、いわゆる評価者(考課者)訓練と呼ばれるものです。
あるモデルケースとなる社員の事例を数人の管理職で実際に評価し、その結果を比較します。通常は評価基準ごとに評価のバラツキが出ますから、なぜそのような評価をしたのかをお互いに発表し、すりあわせをしながら、最終評価を決定していく演習です。これにより、自分の評価傾向もわかりますし、評価スキルの向上も期待できます。
自社の実例で演習するとたいへん効果的ですが、本格的な作成には時間も労力もかかりますので、市販の教材を購入して実施するのもよいでしょう。

評価者の部下への面談スキルを向上させる

客観的事実に基づき、部下を適正に評価、処遇したとしても、フィードバックの仕方が稚拙だと、納得を得られず、部下のモチベーションを下げることにつながります。
人事評価研修では、評価の適切な伝え方を習得するロールプレイングも、できればとりいれたいものです。
これは部下の育成という点でとても重要です。適切なコーチングやフィードバックのスキルを習得していれば、たとえ評価が悪くても、部下の奮起を促し、成長を促すことができるでしょう。

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人事評価研修におけるプログラム事例

人事評価研修におけるプログラム事例

人事評価研修の目的、意義、内容などを紹介してきましたが、さいごにまとめとして、一次評価者を対象にした研修プログラム事例を紹介します。ここで紹介する項目を参考に、貴社にあった評価者研修のプログラムを策定してください。

人事評価の目的と基本ルール
□人事評価の目的と評価者の役割
□絶対評価と相対評価
□自社の人事制度の仕組み、評価プロセス、評価シート
□実際の評価手順
□評価者として守るべきルール
・会社の諸基準を理解する
・部下に期待する職務、目標を明確にする
・部下の具体的な行動・事実を把握する
・評価期間、対象となる部下の事実・行動の範囲を定めておく
・自分の価値基準、尺度による勝手な評価をしない
・部下の指導育成につなげる 等
□目標管理制度について


評価基準の理解(職能等級別)
□自社が求める理想の人材像
□自社の評価基準の把握
・業績評価
・情意評価
・能力評価

評価基準の統一
□評価者が陥りやすい偏向、心理バイアス
・ハロー効果
・期末効果
・寛大化傾向/厳格化傾向
・中心化傾向
□評価者(考課者訓練)訓練
・ケーススタディによる評価演習
・評価結果の発表、グループ討議
・評価基準の理解とすり合わせ

評価面談
□評価面談の心得、留意点
□評価面談の事前準備
□評価面談の進め方
□フィードバックのポイント
□部下の育成。動機付けにつなげるコミュニケーション
・傾聴のスキル
・承認のスキル
・質問のスキル
□ロールプレイ(演習)

いくら立派な人事評価制度があっても正しく運用できなければ、せっかくの制度も台無しです。しかし、人事評価が「人間が人間を評価する」制度である以上、完璧な評価というのは難しいものです。本記事を参考に、効果的な評価者研修をおすすめください。

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