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「腹落ち」を促進するコミュニケーションとは? 職場の閉塞感を解消するために

2024年11月12日更新

「腹落ち」を促進するコミュニケーションとは? 職場の閉塞感を解消するために

職場の閉塞感は、多くの日本企業で見られる深刻な問題です。その実態と原因、そして対処法について、「腹落ち」という観点から考察します。

INDEX

閉塞感が漂う職場

閉塞感とは「自らを取り巻く状況を何とか打開しようと試みるものの、その状況を打開できず、もがき苦しんでいる状態、先行きの見えない状態」と定義されます。この感覚は、社会全体の不透明感から個人の職場環境まで、さまざまなレベルで存在しています。
日本企業の閉塞感の高まりは、バブル崩壊後の「失われた30年」に組織が直面した変化に起因すると言われています。

  • リストラと新卒採用抑制
  • 組織のフラット化と成果主義人事制度の導入
  • 景気変動に応じた人員調整の繰り返し

これらの変化により、企業内の人員構成がいびつになり、現在の閉塞感を生み出す一因となっています。
閉塞感のある職場は、やりがいや喜びを感じにくく、社員の組織に対するエンゲージメントも弱まり、結果的に生産性が低下してしまうなど、事業活動に深刻な影響をもたらします。

「腹落ち」の意味。腹落ち不足がもたらす問題

職場の閉塞感を生み出す要因として、「腹落ち」の弱さがあげられます。「腹落ち」とは、単に頭で理解するだけでなく、心から納得し、自分のこととして受け止めることを意味します。これは組織の方針や目標に対して、社員が深い理解と共感を持つことを指します。
腹落ちの不足は、組織の実行力や社員のモチベーションに直接的に関わる重要な問題です。腹落ちが不足すると、以下のような問題が生じる可能性があります。

  • モチベーションの低下
  • 受動的な姿勢
  • 創造性や主体性の欠如
  • 組織の方針と個人の行動のミスマッチ

これらの要因が重なると、職場全体に閉塞感が高まってしまうのです。

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なぜ腹落ちできないのか。4つの原因

ではなぜ、腹落ちできないのでしょうか。職場で腹落ちがなされない要因には、以下のようなものがあります。

1.目的や背景の不明確さ

経営側や上司からの指示が「べき論」や具体的な進め方のみに終始し、以下の点が不明確な場合、腹落ちしにくくなります。

  • なぜそうするべきなのか
  • それをやることでどのような状態を目指すのか
  • それをやることで会社や社員にどのような良いことがあるのか

目的や背景が不明瞭なまま取り組みが進むと、手段が目的にすり替わり、社員は納得感のないまま仕事に取り組むことになります。

2.感情への配慮不足

単に頭で理解させるだけでなく、社員の感情面にも配慮することが重要です。腹落ちを阻害する感情の背景や心情を把握せずに、論理的な説明だけでは不十分です。

3.コミュニケーションスタイルのミスマッチ

話し手と聞き手のコミュニケーションスタイルが合っていないと、お互いに「しっくりこない」「腹落ちしない」感覚になる可能性があります。

4.社員主語の欠如

組織主語ではなく社員主語のコミュニケーションが不足していると、社員が自分ごととして受け止められず、腹落ちしにくくなります。社員の状況や感情に寄り添ったストーリーを作り、自分の状況と重ね合わせて考えられるようにすることが重要です。

双方向のコミュニケーションを

ここまで、職場の閉塞感の高まりの実態と、その要因である腹落ち感の不足について述べてきました。最後に、腹落ち感を高める施策として、双方向コミュニケーションの実践方法をご紹介しましょう。

双方向コミュニケーションの前提

1.相手をリスペクトする

双方向コミュニケーションは、相互理解と信頼関係の構築に不可欠です。相手を尊重し、互いにリスペクトし合う関係性を築くことが重要です。

2.相手に関心をもつ

「今日どうだった?」「あれどうだった?」といったカジュアルな問いかけを通じて、相手に関心を示すこと。

3.相手の立場に立つ

相手の視点から状況を理解しようと努めること。

実践のポイント

1.オープンな質問

「はい」「いいえ」だけでは答えられない質問を心がけ、相手に考えさせ、意見を引き出す

2.積極的な傾聴

相手の話を真摯に聞き、理解しようと努める

3.フィードバック

建設的フィードバックを与え、また自らも受け取る姿勢をもつ

4.定期的なコミュニケーション

日常的に対話の機会を設け、関係性を継続的に育む

5.非言語要素への注意

言語以外の要素(表情、姿勢、トーンなど)に意識を向ける

日常からの双方向コミュニケーションを地道に実践することで、腹落ち感が増し、より深い相互理解と強固な信頼関係を築くことができます。それによって、組織の閉塞感が徐々に解消し、イノベーティブで活力あふれる風土が醸成されるでしょう。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 経営共創事業本部 本部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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