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若い世代に理解させたい働きがいと利潤追求~松下幸之助に学ぶ

2024年4月30日更新

若い世代に理解させたい働きがいと利潤追求~松下幸之助に学ぶ

Z世代やミレ二アル世代と言われる最近の若い世代の勤労観は、旧世代の人たちのものとは大きく異なります。彼ら、彼女たちの価値観を尊重しつつも、企業人として身につけておくべき考え方は、しっかり教えなければいけません。本稿では、若い世代に理解させたい、「働きがいと利潤追求の関係」について考察いたします。

INDEX

働きがいを求める若者たち

昨今、仕事とウェルビーイングの相関性に関する調査研究が盛んになってきました。野村総合研究所が実施した、仕事の満足度と幸福度の関係に関するアンケート調査(N数=3,617人)によると、仕事に満足している人はやりがいを重視する傾向があることが明らかになりました。

仕事の満足度と幸福度の関係に関するアンケート調査

この調査結果から言えるのは、仕事で認められたり、やりがいや成長を感じられるといった「働きがい」を重視する考えに肯定的な人(赤い棒グラフ)は、今の仕事に満足する割合が高まるということです。一方、仕事は生計をたてるための手段と考えたり、ワークライフバランスを重視するなど「働きやすさ」にこだわる人(青い棒グラフ)は、今の仕事に満足している人の割合が低くなるという傾向も垣間見えます。

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利潤追求は悪いこと?

上記調査が示しているように、今どきの若手社員たちは働きがいを重視する一方で、業績向上や販売計画達成といった、企業として当然追求すべき目標を掲げられるのを忌避する傾向があります。世のため、人のためにお役に立つ仕事をしたいけれど、利潤追求のために組織の歯車のように働かされるのはまっぴらごめんだ。このような考えをもった人が若い世代の中で増えているという話は、経営者や人事担当者の方がたとの会話の中でよく話題に上がります。
なぜ、企業は利潤を上げなければいけないのか、自分たちの給料はどのようにして生み出されるのか。こうした企業人として理解しておくべき基本的な考え方は、若手社員にきちんと教える必要があるでしょう。

松下幸之助の「利潤観」

事業を通じた社会貢献と利潤追求はけっして矛盾するものではありません。PHP研究所創設者・松下幸之助は、企業の社会性と利潤との関係について次のような持論を展開していました。

企業には、適正な利潤を確保する義務があると私は思います。適正な利潤を確保するということによって、社会性を帯びてくると思うんです。(中略)適正な利潤、その利潤の半分は、国家への納金となりましょう。それによって全国民が、それぞれ施設として使用できるとか、あるいは社会保障として与えられるとか、あるいはその他いろんな分け前に当たるわけであります。そうでありますから、利潤を確保し、その約半分に近いものを国家に納金せねばならんという義務をわれわれは負わされているわけです

生産性関西地方本部・関西経済同友会 第二回関西財界セミナー(1964年2月13日)での講話

自社の儲けのためという発想ではなく、社会全体の発展や福祉の向上のために、企業は利潤を確保しなければならないというのが幸之助の考え方でした。つまり、企業の社会貢献と利潤追求は表裏一体の関係にあるというのです。

バランス感覚の大切さ

企業経営には、渋沢栄一が説いたように「論語と算盤(そろばん)」という二つの側面があります。つまり、事業を通じた社会貢献(論語)と、利潤追求・確保(算盤)の両面が揃って初めて、経営活動は成り立つのです。
このように、世の中の事象の多くは二面性を有していますので、どちらか一方に偏った見方をすると判断を誤ってしまいます。したがって、ものごとの本質を捉えるためには、偏らない柔軟な発想が欠かせません。
日々の仕事を通じて誰かのお役に立つことを意識すると同時に、儲けることにもどん欲さを示していく、そのようなバランス感覚が大切であることを新入社員や若手社員には正しく理解させたいものです。

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的場正晃 (まとば・まさあき)
PHP研究所 経営共創事業本部 本部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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