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初級管理者 3つの目標設定

2015年7月14日更新

初級管理者 3つの目標設定

部署・チームの目標、部下の個別目標、そして管理者自身の個別達成目標――初級管理者の3つの目標に対する考え方を学びます。

会社の目標に基づいた「部署・チームの目標」

会社から渡された目標を、そのまま部下に提示するとき、「こんなの達成できるわけない」「かなりキツイが仕方ない」とネガティブな表現とともに伝える管理者は多い。原因としては、会社側の目標設定に対する説明不足が挙げられるが、どんな目標でも「自分が決めた」ものでないと、どうしても達成意欲が薄まってしまう。会社規模にもよるが、目標決定の際にはできるだけ、前任者や本人を議論に加えたほうがよい。

次に、提示された目標をポジティブにとらえ、管理者自身の解釈と熱意をこめる作業を行う習慣づけが必要である。「不可能」と思えばその時点でモチベーションが下がり、最初から言い訳を用意しながら仕事に当たるようになる。「できる方法を考える」と思うことで、実際の個人やチームの能力を超えていく可能性は大いにある。

ストレッチ(引き伸ばし)目標

本人の能力+αで届く目標設定を、「ストレッチ目標」と言う。少し高めの目標を与えられて「無理だ」と思ってしまうのは、本人が自分の能力や可能性を過小評価しているからと言える。これはきみやチームにとって「ストレッチ目標」=「背伸びをすれば届く目標」なのだ、これを達成すれば確実にスキルやチーム力が向上するからやってみようと示してみよう。相手の能力への信頼を表せば、モチベーションアップにつながる。人やチームは、遠い「理想」よりも手が届きそうな「ストレッチ目標」を掲げ、何度も達成感を味わうことで伸びていくのだ。

部下一人ひとりの「個別達成目標」

目標には2種類ある。「結果目標」と「行動目標」である。

●結果目標
内容:最終的に目指す成果
具体例:売上目標、契約件数、ミスの削減 など

●行動目標
内容:成果を出すために日々行う行動
具体例:訪問営業1日〇件、業務チェック1日2回 など

社員一人ひとりには、結果目標よりも行動目標を優先的に指導して、それが結果に結びつくようにする形が受け入れられやすい。ノルマだけを示して本人裁量で結果が出せる部下ならいいが、多くが「指示を明確に出してほしい」と思っている。

上司と一緒に仕事をする場合の不満 ベスト3

1)指示が曖昧で分かりにくい  40.00%
2)情報共有しない  31.00%
3)自分の意見を押し通し、周りの意見を聞き入れない 29.40%
(アルー株式会社調べ)

この不満の中で、初級管理者が陥りがちなのが「指示が曖昧で分かりにくい」である。自分自身の業務処理能力が高い人ほど、「できて当然」と自分の基準を押し付けてしまう。相手の能力に応じた、具体的な「行動目標の提示」を行うよう意識づけたい。

管理者自身の「個別達成目標」

チームの目標を達成するために、自分はどう動くべきだろうか。プレーヤーからマネージャーに替わった途端、管理者がぶつかる壁である。プレーヤー兼マネージャーの職場では、部下からの厳しい視線にさらされることにもなる。

各社事情はあるだろうが、「管理者の役割」はプレーヤーとしての成果と切り離して考えたい。実際、ある不動産会社では、「部署内の誰よりも営業実績を上げなければ部下がついてこない」と切迫感に駆られた管理者が、マネジメントまで行き届かず統率が取れなくなったばかりか、過労で倒れてしまったという事例があった。

このような悲劇を防ぐには「部下の成果は管理者の力量」と、経営者が管理者を評価する姿勢が必要である。決して「部下の手柄を横取り」という意味ではない。部下をやる気にさせ、配属後に個別のスキルや売上を伸ばした裏にある「マネジメント能力」「モチベーション向上策」「チームワークづくり」に注目し、言葉にして評価することである。

どちらかというと、初級管理者は「目標設定」というよりは「課題解決行動」を立てるほうがバランスよく成長しやすい。立てた課題を克服していくうちに、タフな管理者に育っていくだろう。

※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)

【著者プロフィール】
茅切伸明  (かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。
平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

松下直子 (まつした・なおこ)
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。
「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

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