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コンプライアンス研修の内容、ネタはどうする? 効果的な実施方法なども解説

2021年7月23日更新

コンプライアンス研修の内容、ネタはどうする? 効果的な実施方法なども解説

さまざまな企業でコンプライアンス研修がとりいれられていますが、社員や企業の不祥事はいっこうになくなりません。そこで今回は、コンプライアンス研修の目的や内容(ネタ)、研修プログラムなどの具体的な進め方を解説します。

INDEX

コンプライアンス研修とは?

コンプライアンス研修を企画する前に、あらためて「研修の意義」「求められる背景」「研修の対象者」について確認しましょう。

コンプライアンスとは?

「コンプライアンス(compliance)」とは、直訳すると「法令遵守」となりますが、「企業コンプライアンス」といえば、法令や規則だけでなく社会的規範や倫理なども含めて遵守することといえます。

「コンプライアンス研修」は、社員に対して、コンプライアンスの重要性や違反によって生じるリスク、守るべき法令を周知し、就業規則などを確認することを目的としています。その内容はかなり広範なものとなりますが、企業としては自社における課題を中心に優先順位を決め、リスクの高いポイントから手をつけていくことになります。

コンプライアンス研修が求められる背景

企業におけるコンプライアンス研修が実施されるようになったのは、1990年代から2000年代にかけて、大きな不祥事が相次いだことが影響しています。大手企業による「粉飾決算」や「顧客情報の流出」「過労死」といった事件は、今なお継続的に発生しています。

帝国データバンクでは、コンプライアンス違反が取材により判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産」と定義し、2020年度(2020 年4 月~2021 年3 月)の同倒産(法的整理のみ)について分析しています。同年度のコンプライアンス違反倒産は182件。違反類型別では「粉飾」が57件と最多で、「その他」を除けば、「資金使途不正」が26件とそれに続いています。

企業不祥事に対する社会的な関心は高く、今後ますますコンプライアンス研修の必要性が高まっていくことは間違いないでしょう。

参考:企業の「コンプライアンス違反」倒産、9年ぶり200件割れ

コンプライアンス研修の対象者

コンプライアンス研修は経営者・経営幹部はもちろんのこと、すべての社員を対象とする必要があります。昨今話題となった、いわゆる「バイトテロ」などの事案を目にすると、どこか自分には関係ないといったイメージが強いかもしれません。
しかし、実際には日本のコンプライアンス違反の特徴として「会社のためを思って行った」という事例が実に多いのが特徴です。経営者が確信犯的に行った事例もあれば、社員の忖度によって行われた事例もあります。

つまりコンプライアンス研修の対象は、経営幹部や管理職だけでなく、新入社員やアルバイトまで、すべての従業員が対象になるのです。

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コンプライアンス研修の目的は4つ

コンプライアンス研修の目的には、「法令・ルールの共有」「コンプライアンス違反によるリスク回避」「社会における基本的ルールの理解」「経営理念とそこから生まれてくる価値観の浸透」があげられます。

コンプライアンス研修が形式的なものにならないようにするためには、まず受講する側が研修目的を正しく理解していなければなりません。そこで、コンプライアンス研修における4つの目的について、その内容を詳しくみていきましょう。

法令・ルールの共有

ビジネスには独占禁止法、金融商品取引法、不正競争防止法、製造物責任法(PL法)、消費者保護法、個人情報保護法、労働法など多数の法律や規則が絡みます。監督官庁の「命令」や「指導」もありますし、公務員や政治家との関わり方など、じつに広範なものがあります。

まずは業種や業態ごとに異なる法律上のルールの共有です。コンプライアンス違反をしないためにも、「どの法律に従う必要があるか」「その法律はどんなことをすると違反になるか」といった情報を事前に収集し、それを社員に共有します。

コンプライアンス違反によるリスク回避

コンプライアンス違反によるリスク回避も大きな目的です。「バレなければいいだろう」といった軽率な行動や判断がコンプライアンス違反を問われ、世間からの信用失墜につながることもあります。信用が失墜するのは早いですが、回復には多くの時間を要するものです。従業員にコンプライアンス違反によるリスクを再認識させることも、研修の大きな目的です。

社会における基本的ルールの理解

コンプライアンス研修は、新入社員やアルバイトなどの若い従業員に対して実施されるケースも多くあります。まだ社会人としての経験が浅い従業員は、社会経験も浅く、コンプライアンスに関する意識は高いとは言えません。就業規則はもちろん、ビジネスマナーや社会人としての常識、SNSの取り扱いや取引先との関わり方なども、研修内容に取り入れたいものです。

経営理念とそこから生まれてくる価値観の浸透

コンプライアンス研修は、経営理念とそこから生まれてくる価値観の浸透にもつながります。経営理念とは創業の精神を基に事業領域や企業使命、社会的役割などを文章にして明示したものです。

これは、コンプライアンス実践における「羅針盤」ともなります。「今の行動は経営理念に則しているか」「経営理念を基にするとどちらを選択すべきか」といった点から、従業員が自らの行動を律していくことで、職場全体にコンプライアンス意識もまた浸透してくるでしょう。行動規範やクレドなども、上手に活用したいものです。

コンプライアンス研修の主な内容

コンプライアンス研修は業種や職種によりさまざまですが、どの会社でも共通して理解を深めるべき内容としては、「ハラスメント」「著作権・特許権」「情報セキュリティ」「社内での手続きや費用」「下請法」などがあげられます。これらの中から自社における優先度や社会的リスクなどを考慮して、取り組む順番を決めることになります。

社長室

ハラスメントに関する内容

昨今、企業におけるハラスメントへの意識が高まっています。ハラスメントと一言にいっても多くの種類があり、職場には正しい理解を促さなければなりません。

● パワーハラスメント
● セクシャルハラスメント
● アルコールハラスメント
● マタニティハラスメント
● スモークハラスメント
● ジェンダーハラスメント
● モラルハラスメント など

これらの中でもパワーハラスメントに関する違反は多く、それを原因とした事件も度々報じられています。「ブラック企業」などとレッテルを貼られると、企業イメージは大きく低下し、さまざまな損失につながりかねません。

研修を通じて「どの言動や行為がどのハラスメントにつながるのか」を周知し、いつ自分が被害者に、あるいは加害者になるか分からないという点についても理解させる必要があります。

著作権・特許権に関する内容

著作権や特許権などの侵害は法律違反であり、企業価値を毀損するだけでなく、刑事罰が下るケースもあります。例えば、企業のSNSやブログを運営する上で必要になる動画や写真、文章などについて、知識不足が原因で著作権を侵害してしまうケースがあります。

・自社の商品がテレビ番組で紹介されたので画面を撮影してTwitterにあげて拡散した
・企業や商品のPR動画に好きなアーティストの楽曲を無断で使った
・他者のWebサイトの文章を黙ってコピペして企業ブログにアップした

これらはいずれも著作権侵害です。著作権や特許権の侵害は、気づかないケースが多いものです。「バレなければいいだろう」「これくらいは許されるだろう」といった気持ちでついついやってしまいがちですが、やはりコンプライアンス研修を通じて、正しい知識を身に付けさせたいものです。

情報セキュリティに関する内容

スマホやインターネットの普及でデジタル化が進む現代では、情報セキュリティに関する内容もコンプライアンス研修で扱う必要があります。特に個人情報の管理については、厳しくルールを設けなければなりません。

顧客情報の流出によるコンプライアンス違反によって、大きなダメージを受けた企業は少なくありません。サイバー攻撃などでの情報漏洩を100%防ぐことは難しいと言われていますが、個人情報の流出事案は、従業員による不正や作業の単純ミスが原因で発生することもしばしばです。具体的にどのような損失につながるのかを理解させ、危機意識を持ってもらうことも必要でしょう。

社内での手続きや経費に関する内容

社内における手続きやお金に関する内容もコンプライアンス違反につながりやすく、経費の不正申告や不正受給、書類改ざんなどが代表的です。

特に、経費に関する問題はすべての従業員に関係するものであり、不正を事前に防ぐためにもルールや基準、対象などを明文化して共有する必要があります。不正の内容によっては刑事罰となる可能性もあり、企業だけでなく従業員を守るためにもコンプライアンス研修を通じて教育を施しましょう。

下請法に関する内容

下請法に関する内容もコンプライアンス研修で多く扱われています。下請法の正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」で、下請事業者を保護することが目的の法律です。

下請法は、企業が実務を行うなかで問題となりやすく、コンプライアンス違反にもつながる可能性が高い法律の1つです。下請法違反に該当する禁止行為は11項目あります。

● 受領の拒否
● 下請代金の支払い遅延
● 下請代金の減額
● 返品
● 買いたたき
● 購入や利用の強制
● 報復措置
● 有償支給原材料等の対価の早期決済
● 割引困難な手形の交付
● 不当な経済上の利益を提供するような要請
● 不当に給付内容を変更してのやり直し

現場レベルで下請法への理解が不足していると、気づかないうちに違反をしていることも考えられます。下請法は、やはり押さえておきたい法律のひとつといえそうです。

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コンプライアンス研修のネタは? 効果を高めるポイントは?

コンプライアンス研修のポイントは、「単発ではなく継続的に」「対象者に合わせたテーマ設定を」「意識や注目が高まるタイミングで」ということです。これらについて、より具体的にみていくことにしましょう。

単発ではなく継続的に実施

コンプライアンス研修を単発的に実施するだけでは、その効果は一過性のものに止まります。やはり定期的、継続的な実施によって、コンプライアンス意識の高い職場風土をつくっていくことが求められます。

そのためには、従業員全員が必ず継続的に受講できる仕組みをつくることが大切です。たとえばオンラインによる研修を提供すれば、場所と時間を選ばず受講できます。また研修という形式でなくても、定期的なミーティングで、管理職がコンプライアンス違反事例を共有し、注意喚起を促すといった取り組みもたいへん有効です。

朝礼で社是を唱和したり、クレドや行動規範を読み上げるのも、効果があるとされています。工夫次第で啓発機会はいくらでもつくれるでしょう。

対象者に合わせたテーマ、ネタを取り上げる

コンプライアンス研修は対象者や階層に合わせたテーマを取り上げる必要があります。たとえば、新入社員向けのコンプライアンス研修であれば、社会人の常識や就業規則など、基本ルールから始めなければなりません。一方で経営幹部や管理職は、内部統制のあり方や違反発生時の対処法なども心得ておくべきでしょう。

なお、企業の上層部になればなるほど権限や裁量範囲が大きくなりますから、一般の従業員より重篤な不祥事につながりかねないということは認識しておくべきでしょう。SNSによる炎上案件も、企業の公式や若い社員のアカウントよりも、じつはリテラシーが低い上層部の軽率な言動のほうがよほど危険だという指摘もあります。このあたりは注意が必要です。

研修のネタをストックする

コンプライアンス研修は定期的、継続的に実施しなければなりません。そのため、「研修材料となるネタを集めるのに苦労する」という話も聞きます。定期的な啓発のためには、日ごろからコンプライアンス違反の事例収集に努めることも大切です。まずは業界に関係する省庁から、コンプライアンスについての情報が出ていないか、定期的にチェックするようにしましょう。

また、過去に実際に起きた事例は必ずネタとして参考にしてください。たとえ業界は違っても、ニュースやSNSで話題になった不祥事がなぜ起きたのか、どうすれば防げたのかを考えさせることで、受講者の当事者意識を高めることができるでしょう。

意識や注目が高まるタイミングで実施

コンプライアンス研修は実施のタイミングも重要な要素となります。従業員の意識が高まる適切なタイミングを見極めるのがポイントです。たとえば「実際に社内でコンプライアンス違反が発生した」「同業他社でコンプライアンス違反が発生した」などが、注目が集まるタイミングといえるでしょう。

コンプライアンス違反がニュースとして取り上げられ、社会的に大きな話題となったタイミングなどに、自社の点検を兼ねて実施すれば、効果的な研修が実施できます。

講師は? 教材は? コンプライアンス研修の実施方法

コンプライアンス研修は、「講師を招く」「公開型講座に参加させる」「内製化」などの実施方法があります。実際にはそれらを組み合わせて教育計画を立案することになりますが、それぞれのポイントを具体的にみていきましょう。

弁護士など専門講師を招く

まずは、外部から講師を招いて研修会を実施する方法です。多くの実績を持つ研修会社には人脈ネットワークがありますから、最適な講師を派遣してくれますし、全社的なコンプライアンス教育をトータルに支援してくれます。
顧問弁護士などの専門家に講師を依頼するのもよいでしょう。業界・業種に必要な知識・情報をもとに、実践的な研修を実施できます。具体的な質問にも専門的な見地からアドバイスしてくれるでしょう。

依頼するにあたっては、
「全従業員を対象にコンプライアンス意識を強化したい」
「管理職に不祥事の未然防止と危機管理・対応のポイントを学ばせたい」
など、テーマと対象をはっきりさせることがポイントです。

最近ではオンラインで実施し、後日、いつでも確認できるように録画を用意しておくといった運用も増えています。こうしたことを講師や研修会社が許諾するか、別途フィーを支払うのかなどは、事前に確認しておくようにしてください。

公開型研修に参加させる

研修会社などが実施する公開型講座(セミナー)に参加させるケースもあるでしょう。法律改正のタイミングに無料で実施されるケースもありますが、有料講座の場合は受講人数が多くなると、どうしてもコスト高になります。
まずは人事や法務の責任者、部門の管理職などが参加して最新の情報をしっかりと収集し、自社に必要なものを社内にフィードバックするというのもよいでしょう。

eラーニングなどで研修を内製化する

コンプライアンス研修はテーマや内容にもよりますが、一般的なものは全従業員が対象になりますから、内製化で対応するケースも多いようです。

DVD教材などを活用すれば、専門の知識がなくても、質の高い研修が実施できます。規模が大きく、事業場が全国にあるなどの場合は、通信教育やeラーニングもよく使われます。いつでもどこでも、自分の仕事の繁閑に合わせて学ぶことができる点で、大企業を中心に取り入れられています。

研修にかかるコストの削減はもちろんのこと「研修内容を自由に決められ、必要に応じてカスタマイズができる」「社内にノウハウが蓄積する」といった点もメリットですし、教材の選び方によっては、経営理念や行動規範の浸透などの効果も期待できるでしょう。

まとめ

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)への取り組みが加速する中、企業の社会的責任(CSR)が問われる時代になってきました。そうしたなかで、コンプライアンス研修の重要性はますます高まり、継続的な啓発と内容の定期的なアップデートが不可欠になっています。

これまで紹介してきた内容を参考に、貴社に最適なコンプライアンス研修を企画してください。

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