新入社員が抱く「二大不安」とは? 払しょくするヒントを紹介
2024年4月 8日更新
今年もたくさんの新入社員が社会人の仲間入りを果たしました。前向きな意欲をもちつつ、一方で会社生活になじめるか不安を感じている新入社員も多いようです。そこで本稿では、不安を払しょくし、会社生活を充実したものにするためにはどうすればいいのか、そのヒントをご紹介します。導入研修や現場でのOJT等で、新入社員に贈るメッセージとしてご活用ください。
新入社員が抱く「二大不安」とは?
夢や希望をもって社会人の仲間入りを果たした新入社員を見ていると、清々しい気分になりますし、これからの会社生活が充実したものになるようにとエールを贈りたくなります。
しかし、すべての新入社員が入社後、すんなりと仕事や職場に馴染むわけではありません。そのことは新入社員自身も自覚していて、漠然とした不安を抱えている人が多いことが各種調査から明らかになっています。
上記の調査結果のように、「仕事をうまくこなせるか」「人間関係をうまくやっていけるか」が、新入社員が抱く不安として毎年上位にランクインされます。この二つがここ数年変わらない、新入社員が抱く「二大不安」なのです。
※1 出典:2023年度新入社員意識調査アンケート(SMBCコンサルティング)N-2,464名
参考:チェックリストで確認! 新入社員の不安と先輩・上司のサポート│PHP人材開発
新入社員の「二大不安」は、どこから来るのか?
ほとんどの仕事が他者との関わりの中でなされるものなので、うまくこなせるかどうかは、関わる人たちとの関係性に負う部分が大きいでしょう。つまり、二大不安はいずれも人間関係に起因すると言えます。
人間関係を良好にする上で大切なのは、相手の立場に立って発想し行動することでしょう。相手が何を望んでいるのか、相手が喜ぶために何をすればいいか、こうしたことを考えながら、それに沿った行動を心がけるのです。
こうした原理原則を理解・実践し、周囲の人との関係に変化が生じることがわかれば、新入社員の二大不安は徐々に軽減していくはずです。
参考:新人研修後の不安を取り除くフォロー教育のポイントとは?│PHP人材開発
新入社員に教えたい松下幸之助の考え方
PHP研究所創設者・松下幸之助は、ある講演の際に「企業人の責務は何か」と問われ、次のような発言をしています。
まあ、簡単に言うと、みんなに愛されることですね。ビジネスマンはみんなに愛されないといかんですよ。あの人がやってはるのやったらいいな、物を買ってあげようと、こうならないといかんですよ。そうやるには、奉仕の精神がいちばん大事です。奉仕の精神がなかったら、あそこで買ってあげようという気が起こらない。
YPO(青年社長会)国際社長大学(1983.4.12)
そうですから、ビジネスマンのいちばん大事な努めは愛されることである。愛されるような仕事をすることである。それができない人は、ビジネスマンに適さないです。必ず失敗すると。
相手のために何をすればいいかを考え続ける「奉仕の精神」があれば、人から愛され、周囲との関係が良好になり、結果としてビジネスで成功を収めることができる。そのことを幸之助は伝えたかったのです。
「自利利他円満」で自分を大切にする
奉仕の精神は、別の表現をするなら「利他の精神」とも言えます。利他の精神とは、相手の幸せを考える精神状態ですが、そのような境地に至るのは簡単なことではありません。
禅の世界には、「自利利他円満(じりりたえんまん)」ということばがあります。自分を大切にすること(自利)によって、相手を慈しむこと(利他)ができるようになり、みんなが幸せになる(円満)という意味です。
今後、仕事をしていく上で、困難にぶち当たったり、失敗したり、挫折することも多々あるでしょう。そのたびに、落ち込んだり、自信を失ったり、自分を責めることがあるかもしれません。それでも、頑張っている自分を認め、「自分なりに精一杯やっている」と自らをほめることが大切です。
自らを肯定することができれば、今の自分があるのは周囲のおかげであると感謝の気もちが高まり、恩返しの行動がとれるようになるでしょう。自分も他人も、共に尊い存在であるという気持ちをもつことが、仕事と人生の充実につながるのです。
的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 経営共創事業本部 本部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。