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人材育成の課題と教育ニーズの明確化

人材育成の課題と教育ニーズの明確化

(2014年5月13日更新)

 
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経営ニーズや現場の問題を把握し、教育ニーズを発見して、教育を企画していくことが、人事教育・研修担当者の重要な任務です。そのためには、これからの人材育成の課題と教育の方向性をマクロ的視点から考察してみる必要があります。『実践 社員教育推進マニュアル』よりそのポイントをご紹介します。

 

教育ニーズの明確化は、教育担当者の重要な仕事

「教育ニーズ」と言っても、それが簡単に分かれば誰も苦労はしない。教育ニーズはどうすれば把握できるのか。ニーズは「必要性」を意味するから、人材育成の課題が分からなくて、教育ニーズは見えてこない。また、教育ニーズは、経営者の考え方や企業のめざすべき方向や、経営環境により異なってくる。

 

人材育成や社員教育は会社の将来を担う人材を育成することが目的であるから、常に将来に視点を向け、自社が目指すべきビジョンを実現するためには、どのような人材が必要になるかをしっかり検討しなければならない。また、教育の効果を上げるためには、現場からのニーズに基づいた計画を立てなければならない。常に現場でどのような問題が起こっているかを把握しておくことが大切だ。経営者や現場の上司は、現場の問題はよく熟知していてもそれを教育ニーズに転換して、教育を考えるまでは及ばないからだ。

 

経営ニーズや現場の問題を把握し、人材育成ニーズを発見して、教育を企画していくことが、教育担当者の重要な任務になる。経営者は業績に貢献する人材の育成を求める一方、上司は現場の問題を解決できる人材を求め、社員はキャリア形成の視点にたった能力開発を求めるなど、立場によってニーズは異なってくる。

 

経営環境はめまぐるしく変化しており、働く人々の価値観も変化している。今後、求める人材も教育も変化することは間違いない。これからの人材育成の課題と教育の方向性をマクロ的視点から考察してみる。

 

人材育成の課題と教育の方向性

 

【課題1:新しいリーダーの役割と次世代リーダー育成】

「指示・命令型のリーダーシップ」から「支援型リーダーシップ」へ、リーダーの役割は大きく変わっていく。社員の働く価値観が大きく変わり、コーチング、ファシリテーション、コミュニケーションなど、これからのリーダーに求めるスキルを教育していかなければならない。

 

【課題2:若手社員の定着と早期戦力化】

3年以内に3割以上の新入社員が辞めていくことは、人事の問題だけでなく、社会問題となっている。社員一人採用するのに100万以上のコストがかかる。戦力になるまでの人件費を入れると1000万円以上のコストがかかる。メンター制度を導入するなど新入社員の成長をサポートする人材育成の仕組みをつくっていかなければならない。

 

【課題3:キャリア形成の仕組みづくり】

自律型人材の育成、企業の枠を超えた職業人を育てるためのキャリア形成の支援は、企業の社会的責任といえる。さらに、個人の価値観や就労観が多様化していることから、社員の主体的なキャリア形成への取り組みが不可欠である。特に、社員一人ひとりの能力や適性に焦点を当てたキャリア開発を図っていかなければならない。

 

【課題4:団塊の世代の大量退職と若手への技術・技能伝承】

2007年から団塊の世代が定年退職を迎え、定年延長、再雇用などさまざまな対策を打っている。特に製造業を中心に、若手社員への技術・技能伝承という深刻な課題を抱えている。マイスター制度のような独自の社内資格制度などを導入し、現場のOJTを通じて、技術・技能を伝承できる仕組みをつくっていかなければならない。

 

【課題5:研修効果の測定と評価】

「人を大切にする」経営者が増え、教育投資に対して前向きになっている。しかし、研修効果の測定と評価をどう行っていいか、いまだに効果的な手法が開発されていない。費用対効果を測定するために、さまざまな評価手法やシステムをどのように導入し、研修効果を高めていくかを検討していかなければならない。

 

【課題6:ナレッジの創造と共有化ができる学習する組織】

「学習する組織」とは、社員に自主的な学習を促し、その成果を組織全体で共有することにより、高い競争力を実現する組織である。社員の持つ知識やスキルを組織で共有し、より創造的な知的価値を生み出す力を蓄えていく考え方・手法で、ノウハウを創造し、組織でそのノウハウを共有する教育の仕組み・仕掛けをつくっていかなければならない。

 

【課題7:会社と社員の絆とモチベーション】

お金では社員のやる気を高めていくことができないことが分かり、仕事を通じて生きがい・働きがいをいかに実感させていくかが大きなテーマになってきた。社員が仕事に誇りを持って、イキイキと働いて幸せを感じる会社をつくるために、モチベーションを高める教育が求められている。

 

【課題8:教育体系や社員教育の見直し】

グローバル化、少子高齢化、ITの急速な進化など経済環境が大きく変化するに従い、人材に求められる役割や能力は大きく変わってきた。さらにグローバル人材の育成やキャリア意識の高まりもあり、教育内容や教育方法も大きな変革を迫られている。従来の人材育成システムを見直すとともに、教育体系や社員教育も見直していかなければならない。

 

出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)
 
 
 
【著者プロフィール】
 
茅切伸明  かやきり のぶあき 
慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 
平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 
平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計3,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 
 
 
松下直子 まつした・なおこ 
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。 
神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。
「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所)、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。

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