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部下のやる気を引き出すために必要なものとは?

部下のやる気を引き出すために必要なものとは?

(2016年4月22日更新)

 
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部下からやる気を掘り起こし、引き出すためには、どういう心構えが必要なのでしょうか? 永藤かおる氏の解説で、アドラー心理学から学びます。

 

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前回、アドラー心理学から見た「やる気のメカニズム」について取り上げました。

「個人差はあるものの、すべての人の行動や行為に潜むパワーであり、どんな障害や困難であろうともモチベーションを高くもつことによって望んだ人生は創造可能である」という「やる気」。

そんな「やる気」を部下たちから掘り起こし、引き出すためには、いったいどうすればよいのでしょうか? どういう心構えが必要なのでしょうか?

実は、他者からやる気を引き出そうとするときには、まず「自分自身」に目を向けることが必要です。

 

「やる気」に必要なものは「自己勇気づけ」

「やる気」に最も必要なもの、それは「自己勇気づけ」です。

ここでいう勇気とは、「困難を克服する活力」、そして勇気づけとは、「困難を克服する活力を与えること」と定義します。自己勇気づけは、その名のとおり「困難を克服する活力を自分自身に対して与えること」です。

自己勇気づけをするというのは、ただ単に口先で「ガンバレガンバレ」と叱咤激励することではありません。できもしないことについて「オレは万能だ! 天才だ! 何でもできる!」と根拠なく自己暗示をかけることでもありません。

では、具体的にはどうすればよいのでしょう。

 

「自己勇気づけ」ができている人は、自分自身や他者との関係において、次のような10の力をもっています。ご自身に当てはまるところがあるか否か、チェックしてみてください。

 

≪自分自身を勇気づけできている人の10の力≫

(1)受容力 欠点がある自分でも受け入れることができる

(2)価値転換力 自分の過去に障害が合った/現在もあるとしても、そのことを傷ではなく財産としてみなすことができる

(3)教訓力 失敗を学習の材料にできる

(4)復元力 落ち込むようなことがあるとしても、ある段階で歯止めをかけ、復元させることができる

(5)状況転換力 直面するピンチをチャンスに変えることができる

(6)楽観力 自分の未来に楽観的でいられる

(7)共感力 他者の関心にも配慮できる

(8)寛容力 他者の欠点にも寛容でいられる

(9)協力力 他者とむやみに競争することなく、協力的な態度がとれる

(10)主張力 他者に適切に自己主張できる

 

10の力のうち、いくつに合格点を出せましたか。どれが得意でどれが苦手だったでしょうか。もちろん、10の力すべてが満たされていることが理想ですが、現時点で十分ではない部分さえわかれば、考え方や習慣を少し変えることで、「自己勇気づけ」を重ね、苦手なところ、弱いところを中心に強化していけばよいだけの話です。もちろんできている部分はそのままに。

 

プラスのセルフ・トーク

「自己勇気づけ」のさまざまな手法については、「アドラー心理学に学ぶ『やる気』の高め方」(PHP通信ゼミナール 岩井俊憲監修、永藤かおる・宮本秀明著)で詳しくご紹介していますが、ここではすぐに生活に取り入れられる、簡単な方法を1つご紹介しておきましょう。

それは、「プラスのセルフ・トーク」です。

私たちは、意識的にも、意識的にも、1日に何百回となく自分に対して語りかけているそうです。いわゆるひとり言、ぼやき、つぶやきと言われるセルフ・トークです。このセルフ・トークで、あなたはどのようなことをつぶやいているでしょうか? 

疲れた、つらい、もう嫌だ、また失敗するに決まっている……こんなマイナスイメージの言葉をつぶやいていませんか? 

私たちは、ストレスがかかる状況に陥ったとき、必要以上に自分や他者に対してこうしたマイナスのセルフ・トークをしてしまいがちです。とくに自分を責める言葉は無尽蔵に出てきて、それを繰り返すうちに、自分自身に対するマイナスイメージができあがってしまいます。

このセルフ・トークを、よくやった、大丈夫、自分ならできる……こうしたプラスイメージの言葉に意識的に変えていきましょう。何か失敗したときには、「あ~、やっちゃったよ……」という言葉が、つい口をついて出てしまうかもしれません。ですが、そんなときも、そこにプラスのセルフ・トークを付け加えてほしいのです。「あ~、やっちゃったよ……。でも大丈夫! 乗り越えられる!」というように。

こうしたプラスのセルフ・トークを繰り返すうちに、自分自身に対して肯定的で受容的なイメージがつくられ、10の力が育ってきます。

 

マイナスのセルフ・トーク

マイナスのセルフ・トークというのは、自分自身で、自分に対し「勇気くじき」をしてしまっている状態です。

「勇気くじき」とは、「勇気づけ」の反対の概念です。そのような「勇気くじき」の状態では、「どうせ自分はこんなこともあんなこともできない。負け犬だ」と、自分のできなさぶりをひけらかし、言い訳を並べ立て、目の前のやるべきことを全力で避けることになります。「自分はダメ人間だから(自責)」「上司が無能だから(他責)」「部下が働かないから(他責)」。そんな思考回路では、リーダーシップを発揮し、部下のやる気を引き出して、チームで成果を上げていくことなどできないのは明白です。

 

他者から「やる気」を引き出すためには、まず「自己勇気づけ」が必要だという理由が、納得いただけるのではないでしょうか。

 

 

*「アドラー心理学に学ぶ『勇気づけ』の職場づくり」一覧はこちら

 

リーダーのための心理学入門コース

 


 

永藤かおる(ながとう・かおる)

(有)ヒューマン・ギルド研修部長。心理カウンセラー。1989年、三菱電機(株)入社。その後ビジネス誌編集、海外での日本語教育機関、Web 制作会社など、20年以上のビジネス経験のなかで、人事・採用・教育・労務管理等に携わる。どの現場においてもコミュニケーション能力向上およびメンタルヘルスケアの重要性を痛感し、勤務と並行して学んだアドラー心理学を生かして現在㈲ヒューマン・ギルドにてカウンセリング業務および企業研修を担当。著書に『「うつ」な気持ちをときほぐす 勇気づけの口ぐせ』(明日香出版社)、PHP通信ゼミナール『リーダーのための心理学 入門コース』(監修:岩井俊憲、執筆:岩井俊憲・宮本秀明・永藤かおる、PHP研究所)などがある。


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