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部長と課長はどう違うのか――3つのマネジメント力

部長と課長はどう違うのか――3つのマネジメント力

(2016年6月27日更新)

 
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課長時代に優秀な人が、部長になって成果を出せないことがあります。課長と部長はどうちがうのでしょうか? 部長に求められるマネジメント力について解説します。

 

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前回「部長の役割と責任――「大課長」になっていませんか?」のなかで、部長が「部門経営者」として(1)人・モノ・金の経営資源をうまく使い、(2)「今日の飯」、「明日の飯」でなく「将来の飯」を創り出すこと、を経営者から求められているという話をしました。

これらを実現するには、「マネジメント力」が必須になります。しかし、多くの企業で部長研修が実施されることはなく、学ぶ機会もありません。実際に、肩書きは「部長」になったものの、仕事は課長の延長線上の「大課長」のまま、部門経営ができていないというケースも多いのです。

今回は、課長と部長を対比させながら、「部長に求められるマネジメント力」についてお話いたします。

 

優秀な課長ほど部長になって成果を出せない?

課長から部長に昇格するとき、多くの場合、「課長として業績を上げた」ということが大きな要素となります。しかし、前回お話したように部長と課長では求められる役割も責任も違います。

部長の場合、管理する組織は50~100人規模になることがあります。これだけの規模になると、課長時代のような「プレイングマネージャー」のスタイルでは、とても管理ができません。現場において率先垂範し、業績を上げ、一人ひとりの部下と対話して個人指導できる規模をはるかに超えています。

部長になると、課長に権限を委譲して、課長時代の仕事をすべて今の課長に任せてしまうことが肝要です。戦略立案と働きやすい環境づくりに専念しなければ、部門経営者としての役割が果たせません。しかし、課長時代に成果を上げてきた優秀な課長ほど、これまでのスタイルにこだわりがあるため、部長になったとたんに戸惑ってしまい、成果を出せないという状況に陥りやすいのです。

 

部長に求められる3つのマネジメント力

課長研修、係長研修では、部長に対して「これから会社がどうなるのか、部門をどうしたいのかが伝わってこない」「変革やチャレンジというが具体的に何をするのかわからない」といった不満の声を聞くことがあります。

これは、部長のマネジメント能力不足が原因です。課長時代は、主に管理の仕事とプレーヤーの仕事が中心でしたが、部長になれば、会社の経営方針を自分の言葉で語り、部門のビジョンや具体策を部下に示さなければなりません。

では、どのようなマネジメントが部長には求められるのか、「業務マネジメント」「人材マネジメント」「リスクマネジメント」の3つに分けてお話します。

 

(1)業務マネジメント

自分の部門の業務マネジメントを行うには、次の仕事をしなければなりません。

・ビジョンや戦略に基づいた部門のビジョンと目標設定

・部門目標を達成させるための業務プロセスの設計

・業務のPDCAをうまく回すための経営資源の配分(特に、人の配置と能力開発)

 

(2)人材のマネジメント

・次期部長のサクセッションプラン

・部下を育てられる課長の育成(特に、課長への権限委譲と評価)

・働きやすい環境づくり

 

課長に求められる人材のマネジメントは、部下一人ひとりの指導育成とモチベーションアップでした。部長に求められる人材のマネジメントは、課長育成と働きやすい環境づくりです。課長が育てる人は部下一人ひとりで、部長が育てる人は部下を育てられる課長です。

部長は、自分の仕事を信頼できる課長にどんどん任せていくことで、戦略立案や組織編成、環境づくりに専念することができます。そのためにも、信頼できる課長を育成することはとても重要です。

 

(3)リスクマネジメント

課長はリスクを取って攻めの仕事をする人ですが、部長は攻めと守りのバランスをとって仕事をする人です。部長になって特に意識しなければならないマネジメントは、リスクマネジメントです。部長は部門の責任者であることから、あらゆるリスクに対応できるよう備えておかなければなりません。ポイントは以下の通りです。

・コンプライアンス意識の醸成、業務の中で予想されるリスクの洗い出し

・リスク、トラブル発生時の陣頭指揮

・悪い情報ほど早く伝えることの徹底と風土づくり   

 

課長から部長への意識改革が必要

これまで述べてきたように、課長と部長ではマネジメントのレベルや範囲が大きく変わります。課長という管理者から部長という部門経営者への意識改革が必要です。部長は「マネジメント力」を身に付けて、「会社全体の将来を考え、組織を成長させていく義務がある」ということを常に意識すべきです。部門の業績や組織の盛衰に大きな影響を与えるため、できれば部長になる前、遅くとも部長就任時に「マネジメント」をしっかり研修・教育しておくことをおすすめします。

また、部長は一朝一夕では育ちません。部長を昇格させるかどうかを決める前には、アセスメント研修を実施するといいでしょう。部長職への昇格にふさわしい人材かどうかを、しっかり見極めることが大切です。

 


 

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【著者プロフィール】

茅切伸明(かやきり・のぶあき)

株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 

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