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上司の「承認」が若手社員の育成に必要な理由とは? 承認の種類や効果を解説

2023年11月30日更新

上司の「承認」が若手社員の育成に必要な理由とは? 承認の種類や効果を解説

自己肯定感が低いといわれる若手社員。その育成に必要なのが、上司の承認のスキルです。人を育てるのが上手なリーダーは、どのように部下を承認しているのでしょうか。

INDEX

承認上手なリーダーが自己肯定感の低い若者を育てる

内閣府が実施した意識調査(※1)によると、日本の若者の「自己肯定感」は欧米など6か国との比較でもっとも低く、将来に対して悲観的な見方をしている人が多いという傾向が明らかになりました。次代の日本を支える若者たちが自信をもてずにいることは、残念なことです。
そもそも自己評価は、他人の基準で自分がどう見られているかに大きく左右されると言われています。従って、他者からの肯定的な評価、すなわち承認を受ける機会が増えれば、自己評価を上げることができるのです。そして、自己評価が上がって自信をもてるようになれば、挑戦意欲が高まって、高い目標に向かって自らアクションを起こすようになります。
自信をもてない若者が増えているからこそ、企業内教育においても承認を重視すると同時に、承認上手なリーダーを育てることが求められているのです。

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承認とは? 若手社員を育てる上司に必要なスキル

人を動機づけるうえで非常に重要な要素が承認です。しかしその概念に対する理解は、人それぞれの解釈に委ねられているようです。そこで、改めて承認の定義やその効果に対して考えてみたいと思います。

承認とは、「相手の良いところを認めて伝えること」と定義づけられます。この定義のポイントは、伝えることであり、伝えるためにはことばにする必要があります。つまり、良いところを認めていても、心の中で思っているだけでは相手に伝わらないのです。

承認の3つの効果

そして、承認の効果には以下の3つがあります。

●認められると嬉しくなる ⇒ 気分がポジティブになる
●やる気とエネルギーが増す ⇒ 自己肯定感が高まる
●承認してくれた人への信頼感が深まる ⇒ 人間関係が良好になる

承認を上手に使いこなして、上記のような効果を上げることができれば、当然のごとく、人材開発・組織開発に大きな成果が得られるでしょう。

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松下幸之助が実践した承認

弊社創設者でありパナソニックグループの創業者である松下幸之助は、承認によって人を育てることが上手な経営者でした。幸之助は、部下に対してチャレンジングな目標を与えた際には必ず「君ならできる!」と承認しました。承認された相手は、自信とやる気が高まり、目標達成に向かって全力を傾けると同時にそのプロセスで能力的にも人間的にも成長していきました。
幸之助は、「ものをつくる前に人をつくる」と常々語っていましたが、その人づくりの要諦とは、承認することであったと言えます。幸之助の時代と現代とは大きく状況が異なりますが、承認の重要性は一層増しているのではないでしょうか。

承認の方法~相手のパフォーマンスに応じて使い分ける

ただし、やみくもに承認すればいいというわけではなく、相手に応じて承認の仕方を変える必要があります。同志社大学の太田肇教授は、パフォーマンスの高い人には、能力、業績、貢献度をそのまま承認すればいいが、パフォーマンスの低い人には、パフォーマンスを上げるための支援と承認をセットで行うことが重要であると指摘しています。
承認は、相手の存在・行動・考えなどを認め支持する行為を意味しますが、「承認上手な人」とは、相手や状況に応じた承認の使い分けができる人のことを指します。

「結果承認」と「経過承認」

また、一口に承認と言いますが、相手の出した結果に注目する「結果承認」と、結果を出すまでのプロセス(経過)に注目する「経過承認」の2種類があります。両者の違いは、以下のような具体例で見てみると明確になります。

◆大きな成果を上げた部下に対して
「すごい成果だね、さすがだ。ご苦労さん!」→結果承認

◆成果は出てないけれど、努力し続けている部下に対して
「毎日よくがんばるなあ。この調子で努力すれば必ず成果が出るよ」→経過承認

結果承認をされると、モチベーションが上がるでしょうが、良い結果が出たから承認されたと認識していますので、結果だけに意識がとらわれてしまう恐れがあります。一方、経過承認をされると、結果を出すに至るプロセスもしっかり見てもらっているという実感がありますので、いい結果を出すために、いいプロセスを踏もうと意識を向けるようになるでしょう。このように、承認にも種類があり、その機能の違いを認識して使い分けることが大切なのです。

承認は部下を観察することから始まる

しかしながら、私たちは日常、無意識的に結果承認ばかりをしがちではないでしょうか。職場で部下が成果を上げた時は、大いに賞賛をしますが、それ以外の時はどうでしょうか。大きな成果を上げてはいないけれども、地道にコツコツ努力している部下がいた時に、そのことに注目し、経過承認できているでしょうか。
結果というのは、目につきやすいし、それほどの意識を向けなくても気づきやすいものですが、経過というものは、よほど意識を向けて日々観察しつづけなければ発見できないものです。だからこそ、部下が成果はまだ出せていないけれども、日々努力していることを上司がきちんと発見して承認を与えれば、「上司はそこまで見ていてくれるんだ」と部下を感動させ、この上ない力と勇気を与えることになるのです。
部下を持つ立場にある方には、観察眼を養い高め、目立たないけれども前向きにがんばっているメンバーの姿勢を発見し積極的に承認して、職場全体のやる気アップにつなげる努力が求められているのではないでしょうか。

※1 内閣府・令和元年(2019年)版「子ども・若者白書」

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的場正晃 (まとば・まさあき)
PHP研究所 人材開発企画部兼人材開発普及部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年、PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年、神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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