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部長! あなたの部下指導は間違っている

部長! あなたの部下指導は間違っている

(2016年10月25日更新)

 
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なぜ部下が育たないのでしょうか。部下指導の方法が間違っているからでしょうか。部下が育つ考え方と教育方法を改めて考えてみましょう。茅切伸明氏の解説です。

 

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なぜ部下が育たないのか

「部下が期待通りに育ってくれない…」

「研修を受けさせても、なかなか効果が出ない…」

「時間のかかる教育よりITや人工知能、ロボットに投資したほうがいい…」

とおっしゃる部長が結構います。

 

なぜ部下が育たないのでしょうか?

実は、教育のやり方に問題があります。多くの場合、そのことに気づいてもいません。成果の上がらない方法でどんなに教育をしても育つはずがありません。本来、人材育成のプロである研修ベンダーさえも教育を誤解しているのです。

今回は、なぜ部下が育たないのかを解明し、部下が育つ考え方と教育方法についてお話いたします。

 

1日や2日の研修で部下が成長すると思いますか?

英会話を例に出して考えてみましょう。英語を話せない人が、1日レッスンを受けただけで話せるようにならないのは周知の事実です。私たちは英語の授業を中学生から大学まで10年間学んできました。ほとんどの人は、英語を話せるようになりませんでした。英語が話せるようになるには、長期間にわたり継続的にレッスンを受け、実践的に使うことで話せるようになるのです。部下の教育も同様に時間がかかるとともに、成果が出るまで継続させることが必要です。

つまり、研修を1日受けた程度では、モチベーションが上がり、気づきや知識が得られても、成長したとは言えません。また、現場で部下を指導しても、すぐにできることはありません。

一般的に、能力には「保有能力」と「発揮能力」があります。研修や現場指導では「保有能力」を習得することができても、継続的にトレーニングをしなければ「発揮能力」は身に付きません。能力が発揮できるようになってはじめて成長したと言えるのではないでしょうか?

 

ある日、ある時、突然できるようになる?

能力はどのように開花するのでしょうか?

たとえば、逆上がりを例に挙げて説明します。できない逆上がりを何回も何回も練習していると、突然できる瞬間が来ます。それは、いきなりできるようになったのではなく、できなかった時の地道な練習の積み重ねが、ある臨界点を超えたときに突然できるようになるのです。これが能力開花する瞬間、コツをつかむ瞬間です。

発揮能力が継続して再現できて初めて成長したと言えます。しかし、多くの部長は教えることが「教育」と錯覚しています。下図のように、(1)知識を教えること、(2)知識を生かして成果を出すトレーニングすること、(3)現場で実践し試行錯誤を繰り返すこと、(4)再現できる能力として習慣化すること、このように①から④まで到達してはじめて能力開発が完結します。

 

能力開発

部下が伸び悩んだ時にサポートするのが上司の仕事

部下指導において、一度教えたらできるようになると錯覚している部長が多くいます。しかし、実際、部下はなかなか育たないし、伸び悩むときもあります。その際、努力をやめる部下、会社や周りのせいにする部下、別の方法を考える部下、さまざまな反応をします。

部長の仕事は、それでも地道に努力を続けるように支援しなければなりません。なかなか成果が出なくても、壁の向こうにある魅力的なビジョンをしっかり明示して、目先のうまくいかない現実に腐らせないことです。

部長が若い時に壁に感じなかったことでも、部下にとっては大きな壁と感じているかもしれません。どんなことで悩んでいるのか、どうすれば壁を越えることができるのかを一緒に考えるといいでしょう。

 

部下が良い行動を習慣化できるまで支援する

良い成果が生まれるかどうかは習慣によって決まります。どのような思考習慣、行動習慣をしているのかが重要です。部下は今までの経験や学びから「自分は正しい」と思っています。間違った考え方や行動をいくら実践しても成果が出ることはありません。むしろ逆効果になります。部下指導は、目先の行動を指導するのではなく、即効性がなくても継続することで効果が出る行動を教え、習慣になるまでサポートすることが大切です。

 

これまでお伝えしてきたように、部下は教えればすぐに育つという幻想を捨てて、成果が出るまで継続してサポートしていく忍耐力を持つことが必要です。部下育成のPDCAを地道に回していれば、ある瞬間に大きく成長するものです。

 

良い習慣をつくる部下育成のPDCAは、(1)から(4)を継続的に実践することです。

(1)部長が期待する人材像、部下がなりたい人材像になるための計画を部下と一緒に考える

(2)ほめたり、叱ったり、教えながら、継続して実践させる

(3)自ら反省して、自ら考えることで、検証と原因究明を繰り返す

(4)再現可能なノウハウまで高め、習慣化するまで継続する

 

部下が大きく成長すると、部下にさらに高度な仕事をまかせることができます。

部長が将来の部長候補を育てるサクセッションプランを考えて教育することが必要です。そうすることで、部長はさらに上の階級(役員、経営者)の仕事をすることができます。そのため、部内に右腕社員・左腕社員が育つ体制・仕組みを作ることに集中することをおすすめします。

 

 

部長研修

 

【著者プロフィール】

茅切伸明(かやきり・のぶあき)

株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 

 


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