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企業変革を阻むのは誰? 成功に導くポイントを解説

2023年1月11日更新

企業変革を阻むのは誰? 成功に導くポイントを解説

市場環境の変化や、働く人びとの価値観の多様化など、組織を取り巻く環境が激変しているにもかかわらず、それらにうまく対応できている企業は少ないのではないでしょうか。本稿では、なぜ企業変革が難しいのか、その原因を考察すると同時に、変革を成功に導くポイントについて解説いたします。

INDEX

負けグセが染みついた組織。閉塞感の強まる現場

一人ひとりは真面目に仕事に取り組んでいるのに、業績の長期低迷から抜け出せず負けグセが染みついた組織。全社的に働き方改革の推進が叫ばれていながら、人員削減の影響で業務量が減らず、結局自分で仕事を抱え込まざるを得ない管理職。どんなにがんばっても給与が上がらず、その一方で「仕事をしないおじさん」が高給を取ることに納得がいかない若手社員。
「失われた30年」の間に日本の競争力が大きく低下したのは、個々の組織で上記のような現象が発生し、それが常態化してしまったからではないでしょうか。そして、そのことに対して従業員が「仕方ない」とあきらめたり、「どうせ無理」と無力感を感じるなど、現場の閉塞感が強まったことが、企業の活力減少、生産性の低下を招いているように思われます。

わかっているけど変わらない組織の現状

しかし、多くの人は組織の現状について「このままではいけない」と感じています。ある調査によると、「勤務先企業の変化の必要性を感じている」と回答した人が75.3%に達したのに対し、「自社の変化に期待が持てる」と回答した人が43.9%にとどまったという結果が明らかになりました。(※1)
つまり、「会社を変えないといけない」とわかっているけれど、「実際はこのまま変わらないだろう」という冷めた見方・考え方をしている人が多いのです。

※1 「企業の変革に関する従業員意識調査」(株式会社電通 電通ビジネスデザインスクエア)
・調査手法:インターネット調査
・調査時期:2021年12月17日~12月19日
・調査対象:20〜59歳、従業員1,000名 (男女均等回収)

参考記事:PHP人材開発「チャレンジングな組織風土をつくるには?」

組織変革を阻害するのは誰?

このような、企業の変革に対する「必要性の理解」と「実現への期待」のギャップは、なぜ生じるのでしょうか。
筆者は長年、多くの企業の組織開発・人材開発に関わってきましたが、その経験知から言えるのは、経営幹部の意識と行動が変革を阻害しているケースが多いということです。「変革はしないといけない」と口では言うものの、いざ実際の実行の段階になると、担当事業(部署)や自身の不利益につながることを潰していく、そんな経営幹部の存在が会社をダメにしているように思えてなりません。

そして最もやっかいなのは、会社をダメにしている経営幹部自身が、そのことを自覚していないことです。彼らは「自分は一所懸命やっている」「会社の存続・発展のためにすべてを捧げている」と思い込んでいます。ところが、客観的に観ると、彼らの考えていること、やっていることの大半が、自身の立場を守る保身行動になっていることのほうが多いのです。
これが、企業の変革が思うように実現しない最大の要因と言えるでしょう。

参考記事:PHP人材開発「なぜ変革が難しいのか。変革型リーダーシップの要諦とは?」

経営幹部の意識を変えるポイント

では、どうすれば経営幹部の意識を変えることができるでしょうか。経営幹部は社歴が長い人が多く、また過去の成功体験に基づく、自分なりの価値観や強い信念をもっています。それゆえに、意識を変えることは容易ではありません。強固に構築された考え方に風穴を開け、気づきを提供するポイントは以下の3つです。

(1)異質とのふれあい
違うバックグラウンドをもった人や、考え方の異なる人との出会いは刺激が大きく、自らの価値感や、所属する業界の常識を見つめ直す絶好の契機となります。異業種交流会や、公開型のセミナー等への参加が有効です。

(2)自己認知を高める
年齢を重ねたり、地位や肩書きが上がると「自己認知」が難しくなります。自分の強み・課題を正しく認識することは、自らを客観視することにもつながる、大切な営みです。自己認知を促進するためには、日々の内省や、第三者からのフィードバック(エグゼクティブコーチング)などが効果的でしょう。

(3)継続的なゆらぎ
どのような取り組みをするにせよ、一過性の取り組みには限界があります。研修であれば、研修⇒実践⇒研修⇒...、を繰り返していく「アクションラーニング」スタイルで実施するほうが効果的です。人の意識を変えるためのポイントは、継続的にゆらぎを与え続けることです。

経営幹部研修のすすめ

より一層、変化が激しさを増すであろう、今後の時代を生き残るためには、自社の変革力を磨き高めていく必要があります。そのカギを握るのが、本稿で述べてきたように、経営幹部の意識改革・行動変容です。
そこで企業の経営者、人事担当の方がたには、経営幹部研修を実施することを強くお奨めしたいと思います。そうした研修をきっかけに、経営幹部の方がたが「チェンジ・エージェント」としての役割に気づき、然るべき行動を取るようになると、変革が一気に前進するでしょう。

講師派遣「経営幹部向け・現場力強化研修」(PDFダウンロード)

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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