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学習棄却と内省

学習棄却と内省

(2012年12月20日更新)

 
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米国の組織心理学者 C・アージリスとD・ショーンは、『シングルループ学習』と『ダブルループ学習』という二種類の学習形態を提唱しています。

 

シングルループ学習とは、既存の考え方や行動の枠組みに従って問題解決を図ることを意味し、ダブルループ学習とは思考・行動の枠組みを常に新しいものへとバージョンアップを図っていくことを意味します。

 

想定外の出来事が当たり前のようになってきた昨今、これまでの成功体験や常識が通用しにくくなってきました。一所懸命取り組んでいるのに成果が出ないという状況があるとするなら、考え方や行動の拠りどころとなっている枠組みが環境に適合していないのかもしれません。

 

変化の激しいこれからの時代を生きるためには、組織も個人もシングルループ学習だけでは競争優位を保つことは難しいでしょう。環境に適応しながら生き残るためには、ダブルループ学習によって、過去の枠組みを捨て去り、新しい知識や枠組みをインストールし続ける営みが不可欠なのですが、「捨てる」という行為(=学習棄却)が案外難しいのです。

 

既存の成功体験や常識といった古い枠組みを捨てる上で効果的であるのは、日々の『内省』です。一日の終わりに自分自身と向き合い、「今日一日、うまくいったことは何か、うまくいかなかったことは何か」「明日をどんな一日にしたいか」といった問いかけに対する答を考え、できれば文字にして書き出すことで多くの気づきが得られるのです。松下幸之助は、「今日一日をふりかえり、失敗や成功を見出し、その味をかみしめる。これが体験である。内省することなしにポカンと暮してしまえば、これは体験にならない」と述べ、内省の重要性をことあるごとに強調していました。

 

仕事や人生において成功を収めるためには、体験を通じて自らの考え方を確立・強化させることが大切ですが、それと同時に古くなった枠組みを捨て去る柔軟性をもつこともたいへん重要であるといえるでしょう。日々の内省を通じて何ごとにもとらわれない素直な心をもち続けること、これがこれからを生きるすべての人びとに求められる『生き方のスタンス』といえるのではないでしょうか。

 

 


 

的場正晃(まとばまさあき)

神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。現在は(株)PHP研究所経営理念研究本部研修事業部部長。


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