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マネジャー育成~業績達成について組織間の差はどのように生まれるのか

マネジャー育成~業績達成について組織間の差はどのように生まれるのか

(2019年8月20日更新)

 
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事業の主体者として戦略を実行する役割と責任を担うマネジャー。業績達成への取り組みについて、組織間の差はどのようにして生まれてくるのでしょうか。PHPゼミナール講師が解説します。

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企業に応じた次世代マネジャーの育成手段

前回「現代のマネジャーはどうあるべきか~役割と課題を考える」は、マネジャーに求められる心構え「志」について語ってきた。こうした次世代リーダーの選抜や育成はどのように行なわれるべきであろうか。

そのことについては、実は⼀括りで語ることには難しさがある。なぜなら、必要とされるリーダー像は、組織の状況や発達のステージによって異なると思われるからだ。

たとえばタックマンモデル(下図参照)でいうところの機能期(安定期)に求められることは、単純に「人のマネジメント」である。大きな変化を起こす変革型リーダーであるよりも、まずは皆が⼀丸となって目標達成に向かえるように、適度な緊張感を維持しつつ互いに向上心を持って働けるように環境を整備することが必要となる。このような組織にあっては、必ずしも早期選抜である必要はなく、全員を対象に、さまざまな職場をローテーションさせて、経験を積ませるプロセスを通してマネジャーに育てていくアプローチが有効である。

タックマンモデル

逆に組織の形成期や混乱期、または機能期から不全期に陥りつつあるような組織であれば、状況を的確に捉え判断・決断し、組織を動かすような変革型マネジャー(リーダー)が求められることになる。

このような状況の組織では、早期選抜をしたうえで、組織トップに近いところで事業創造にかかわるような業務やプロジェクトを経験させることが求められる。畢竟、組織は自身のポジションやステージを見直して、機会均等での育成と早期選抜による育成のいずれが最適かを判断していく必要があるだろう。

 

マネジャー育成研修の重心となる「志」

前回も述べたように、マネジャーを取り巻く環境はさらなる厳しさを増している。価値観の多様化が進む中、マネジャーになりたいと思う若手ばかりではなくなりつつある傾向も見て取れる。

こうした変化の時代にこそ、企業には、本来あるべき姿(ミッション・ビジョン)が重要になってくる。そしてミドルマネジャーは、事業の主体者として戦略を実行する役割と責任を担っている。マネジャーが戦略遂行に向けて、現状を正しく認識し、メンバーを勇気づけ、目標達成へと導くことで、企業は大きく力強く躍進する。その際に必要となるのは、リーダーたるマネジャーの強い思い、「志」である。

「志」とは、「マネジメントを通して実現したいこと」であり、経験を通した「ビジネスパーソンとしての自分らしさや持論を支える勇気と覚悟」といったような変化の時代にもブレないマネジャーの拠り所になるようなものである。そして、これらは知識やスキルといった学習では身につけ難いものである。「志」は信念(ビリーフ)・価値観とも考えられ教育学では知識の⼀種と考えられているが、これらは世界や人について自分が経験したことを⼀般化して出来上がるプログラムとも言える。

 

学び続けるマネジャー育成のための【不易流行】の勧め

いずれの企業においても業績達成への取り組みは行なっているが、それだけでは組織間の差はつかない。ではどこでその差はつくのであろうか。

その一つは、中間管理職として、組織と現場の結節点(コミュニケーションターミナル)として、また部下を勇気付けること(モチベーションクリエーター)を通じて業績達成することが求められているというマネジャーの「自己認識」と「志」である。

マネジャーの価値は「この人が言うなら、この人のためなら、もう一汗かいてみよう」を思われるかどうかにかかっている。こうしたメンバーの頑張りを引き出すものは、先に述べたマネジャー自身の強い思いや「志」、メンバーに対する「肯定的人間観」、そして自らも成長していこうとする【不易】の姿勢ではないだろうか。

もう⼀点は、現在のビジネス環境では過去の成功体験がそのまま通用する時代ではなくなり、ただ猪突猛進、がむしゃらに行動しても成果につながらず、中間管理職であるマネジャーであっても、未来の変化を予測し課題形成できることや、環境・状況の変化に柔軟に対応できる「日に新た」の姿勢が求められてきていると言える。

つまり、どれほど確かな「信念」や「価値観」を有していても、不確実で不安定で矛盾に満ちた現場で瞬時に正しい判断をしていこうとすれば、リーダーも常に内省を通して学び、変化し、そして成⻑し続けなければならないという【流行】の姿勢である。

「組織で、メンバー個々の総和を上回る大きな価値を生み出したい」。これは拙生が初めて管理職になった時に強く思ったことの一つである。マネジメントに正解はないと言われる。であればこそ、組織はまず、組織のあるべき姿(=組織目的)を明確にしたうえで、マネジャーの誰しもが持っている「志」~管理職として何がしたいか~を引き出すと同時に、組織の中に安全圏などどこにもなく、どれほどキャリアを積んでも、どのような立場になっても、内省し続けることを厳しく求めるシステムや仕掛けを構築し、運用していくことが強く求められるであろう。

 

 

課長研修

 


 

西谷晴信(にしたに・はるのぶ)

大学卒業後、外資系製薬企業でMR・営業管理職としての経験を経て、営業分野を中心として人財開発部の仕事に長く従事。経営戦略部門の内部統制業務も兼ねながら、パフォーマンス・コンサルタントとして、ミドルマネジャーを対象に、主に「組織マネジメント」や「チームビルディング」をテーマとしたコンサルティング業務を担当。またPHP認定上級ビジネスコーチ、キャリアコンサルタントとしての経験や洞察を生かしながら、コーチングやキャリアデザインのワークショップを主宰。

2013年 大学院で心理学修士課程を修了後、人材育成学会に所属し、ミドルマネジメントをテーマとした研究活動も行なっている。


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