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新入社員の報連相が一段レベルアップする研修ワーク

2018年2月20日更新

新入社員の報連相が一段レベルアップする研修ワーク

新入社員の報連相研修で、受講者が「目的思考」をより深く実体験し、レベルアップするためのワークについて解説します。

仕事ができる人は『目的思考』を身につけている

「新入社員の報連相研修で伝えておきたい3つの重要ポイント」について連載していますが、振り返りのポイントは、次の3点です。

1)仕事ができる人は『目的思考』を身につけている
2)部下は、上司の言った通りの事をやらせていると、上司の言った通りの事しかしなくなり、やがて上司の言った通りの事も出来なくなる
3)仕事ができる部下を育てている上司は、部下が自分の仕事の進め方を自立的に工夫するよう、考えるクセを付けさせている

今回は、新入社員の報連相研修で、受講者が『目的思考』をより深く実体験するためのワークについて解説していきます。

「名札の目的は?」~目的思考を実体験するための研修ワーク(その1)

新入社員の報連相研修で受講者に目的思考を実体験してもらうためのワークとして、まず一つ目に紹介するのは「名札の目的は?」というワークです。
このワークを行うためには、受講者には研修の最初から名札を付けてもらう必要があります。
受講者に付けてもらう名札は、安全ピンで服に留めるタイプのものではなく、必ずヒモで首にかけるタイプのものを使用します。そして、名札のヒモは事前にあえて一番長くしておきます。
研修が始まったら、講師は受講者に「名札を書いて、首にかけてください」とだけ伝えます。このとき講師は「相手に見えるよう、ヒモを短くしてください」とか「大きな文字で書いてください」とは説明しません。
すると受講者は名札を付けますが、ヒモが長くて身につけた名札が机に隠れてしまったり、見えづらい小さな文字で書いていたり、身につけた名札のヒモが捻じれて名札が裏返し(白紙側)になっていたり、という状態になりますが研修はあえてそのまま進行します。
研修が進み、1回目の休憩を取り終えたあと、講師はおもむろにホワイトボードなどに「名札の目的は?」と大きく書き、受講者に「名札の目的は何でしょう?少しグループで意見交換をしてください」と促します。
各グループで話し合うと、「名札は、相手に自分を知ってもらうため」とか「コミュニケーションをとりやすくするため」とか「相手に安心感を与えるため」といった意見が出てきます。
そして受講者は話しながら、自分たちの今身につけている名札が相手に見えない状態であることに気がつき、自主的に自分の名札を直しはじめます。そこでワークは終了です。

ふり返りとして、講師からは次のポイントを説明します。

◎名札同様、実際の仕事も意味が分かれば自分で考えて動くことができる
◎仕事ができる人は『目的思考』を身につけている(言われた事だけやるのは「手段思考」)
◎普段の仕事ではいちいち「なんのために」という仕事の目的を伝えられることはほとんどない(仕事の意味目的は自分で考え、自分から上司に確認しに行く)

そして、これらのポイントを伝えた後、最後にグループごとに今回のワークで得た学びや気づきの感想共有をしてもらい終了です。

「間違い探し」~目的思考を実体験するための研修ワーク(その2)

目的思考を実体験すためのワークの二つ目は、「間違い探し」のワークにもう一工夫をして行うものです。その一工夫とは、ワークの達成条件を複雑にするというものです。
間違い探しのワークでは、基本的に名札のときと同様、必要なシートを配布した後「ルール1.自分の紙を直接相手に見せてはいけません」「ルール2.制限時間は30分」「ルール3.ワークを達成したグループは、私に報告に来てください」という、ルールだけを受講者に伝え、ワークの意味や目的(ワークの達成条件)はあえて伝えずに開始します。
受講者は渡されたシートが間違い探しであることに気がつき、お互いに情報交換を行って間違いを全て探し出し、講師に報告に来ます。
しかし、間違いを全て見つけてもワークは達成できません。なぜならワークの達成条件は「間違いをすべて見つける」ことではないからです。
どういう言うことかというと、例えば間違い探しの絵が「動物たちがサッカーをしている絵」だったとして、ワークの達成条件は「間違い探しに出ている動物の種類を全て答えなさい」や「ゼッケン6番8番11番の動物は、それぞれ何をしているか?」といった、間違い探しとは全く別なところにワークの達成条件があるからです。

ワークの達成条件(仕事の意味目的)は何ですか?

このワークで制限時間内にワークを達成する受講者は一割にも届きません。それは受講者がこのワークを達成するためには、受講者自身が講師に「このワークの達成条件は何ですか?」と、自ら「ワークの達成条件」(仕事の意味目的)を確認することが絶対条件となっているからです。
受講者は間違いを全て探しても、講師からは「違います」としか言われないため、もっと細かな間違いが隠れているのではないかと頻繁に報連相を行います。
しかし、いくら細かな部分に目を凝らしてもワークを達成することはありませんので、受講者たちのモチベーションは徐々に低下し、やがて制限時間をむかえてワーク終了となります。ワークの終了後、振り返りとして講師は次のポイントを伝えます。

・目の前に仕事があると、人はその仕事の意味や目的が分からなくても、とりあえずは手段思考で動いてしまう
・最初はそれでも仕事を楽しくできるが、やがて仕事は行き詰る
・自分に与えられている仕事の意味や目的を理解していなければ、求められている成果には繋がらないし、やがては自分のモチベーションもコントロールできない状態に陥る
・皆がワークの後半に受けたモチベーションの低下とストレスは、実際の仕事でも皆に訪れるし、そのときは今回のように制限時間で区切って答えを教えてくれる人はいない。手段思考で仕事に臨んでいる人は、そのとき今回のワークで経験した何倍ものストレスを数か月間受け続けることになるし、当然自分のモチベーションもコントロールできなくなる

受講者には、そのポイントを伝えた後、さらに感想共有をしてもらい、ワークは終了となります。

知っていることと、していることは違う

受講者は研修中の座学や名札のワークなどで十分に目的思考の大切さを理解しています。ですが、いざ目の前に仕事(研修中はワーク)が発生すると「あらためて仕事の意味目的を考える」ことや「仕事の意味目的に立ち返る」ことを忘れ、目の前の仕事に没頭します。まさに『手段思考』と言えるでしょう。
私はよく受講者に、『知っていることと、していることは桁違い』という言葉を贈ります。
人は知っていると、ついできている気になってしまうものです。受講者には、頭で知っていることと、実際に自分が実践できることは一桁違うということを、ワークを通じて実体験してもらうことが大切です。
目的思考を実際の仕事に役立ててもらえれば、新入社員の報連相は必ずレベルアップすることでしょう。

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延堂溝壑(えんどう こうがく)
本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

なお、本稿は糸藤正士氏に著作権のある『真・報連相』を、著作権者の承認を得て使用している。

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