フォロワーシップを高めましょう【コラム】～宮田博美

2015年1月30日更新

上司と部下、これはある意味特別な人間関係といえるでしょう。上司を選べない、その状況のなかで「上司を活かし、チームを活かし、自分も活きる」フォロワーシップ（部下力）とは？

PHPゼミナール講師・宮田博美氏のコラムです。

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昔から部下は上司を選べない。会社には有能な上司もいれば、どうしても尊敬できない上司もいます。だからと言って簡単に組織変更できるわけではありません。

ある電機メーカーの調査で「あなたはあなたの直属の上司が好きですか」の質問に対して、「好き」と応えたのは３１％だったそうです。縁あって同じ職場で仕事をし、不安と不信な関係ほど寂しいものはありません。考えてみると結婚相手だって、この人ならば人生の最高の伴侶と思って選んだのに、時が経つに連れて意見が合わなかったり、習慣や価値観が違って必ずしもハッピーではないカップルも見受けられます。まして上司との関係になると厳しさは当たり前、人事権（昇格、昇進、異動）が歴然と存在し、上下関係は特別な人間関係と見なすことができるからです。

このような中で、「上司を活かし、チームを活かし、自分も活きる」フォロワーシップの第一歩は、次の３項目を実践することです。

（1）私に期待することは何でしょうか

上司があなたに何を期待しているか、何をして欲しくないのか素直に聞き出すこと。上司にとって最大の関心事は、自分が担当する部門の成果、即ち実績を上げることです。ここ一番「成果が上がったら報告しようではなくて、報告するから成果が上がる」の精神でこまめなコミュニケーションが大切です。悪い話ほど早く知らせろ！上司の本音でしょう。

（2）上司の美点が挙げられますか

まず、相手の美点（長所）をどれだけ見つけられるか。上司の美点を発見し認めることが上司との円滑な人間関係を促進する有力な手法です。夫婦でも「結婚前は両眼を開けてしっかり見よ、結婚したら片方の眼をつむれ」と言われるように、相手の欠点は見ない努力も大切です。

（3）当事者意識が持てますか

「自分がその立場だったらどうするか」の意識を持ちましょう。未熟な者は自分のことしか考えない、少し成長すると自分の事と相手のことを考えて行動する、更に成長すると相手の立場で考え行動する。ここまでの精神領域は至難でありますが少なくとも上司の立場で物事を判断する習慣はつけておきましょう。なぜなら同一の立場で、同一の視野で話し合いができます。戦国時代の豊臣秀吉が太閤までのぼりつめた成功の要因は、草履取りの時代から信長と同じ立場で物事を判断し、決断できたからだそうです。

【講師プロフィール】

宮田博美（みやた・ひろみ）

1965年4月、キヤノン（株）入社。技術・生産・開発・サービス各部門を経て、1972年、グローバル事業戦略として諸外国の販売・サービス拠点開設に伴い、技術スタッフとして貢献する。1980年、キヤノン販売（株）［※］へ出向。技術研修部門・現場サービス部門に従事し、カスタマーエンジニアの人材育成に貢献する。2003年、人材開発本部へ移籍し、トレーニングデザイナーやインストラクターとして、主にヒューマンスキル系の研修を担当、卓越したリーダー創りに邁進する。

同社をを退職後、2007年7月、ＨＭコミュニケーションズを創設。現在、ＰＨＰゼミナール講師として公開セミナー「ＰＨＰコーチング・ベーシックコース」「『部長力』強化コース」等を担当。

ＰＨＰビジネスコーチ（上級）、日本キャリア開発協会認定「キャリアコンサルタント」、米国ＮＬＰ協会認定「ＮＬＰマスタープラクティショナー」。