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「指導」と「育成」の違いとは?~ 人づくりの本質を考える

2021年3月25日更新

「指導」と「育成」の違いとは?~ 人づくりの本質を考える

企業は人なり。ニューノーマルの時代に、最も大切な経営資源である人の能力をいかにして開発していくかが、企業を成長軌道に乗せるための重要成功要因(KFS:Key Factor for Success)であるという議論が盛んになってきました。能力開発に関する用語は多様ですが、本稿では「指導」と「育成」の意味の違いに焦点を当てながら、人づくりの本質について考えてみたいと思います。

仕事力を授ける「指導」

部下指導、指導員、個別指導、指導要綱、指導者、等々、「指導」ということばはビジネスシーンだけでなく、学校教育の現場や日常生活においてもなじみのあることばとして多用されています。しかし、そのことばの本質的な意味を理解して使っている人はどれくらいいるでしょうか。
指導とは、「ある目的・方向に向かって教え導くこと」(デジタル大辞泉)と定義づけられていますが、より具体的には

  • 良くない物事をしないように注意すること
  • 技術や知識などを身につけさせること
  • 任務や指示などを伝えること

などの行為を指しています。これら、具体的な行為を見てわかるように、指導とは目先の業務遂行に必要な考え方や行動する力(≒仕事力)を授けることであり、短期的な視点の人づくりの手法なのです。

人間力を育む「育成」

一方、人材育成、育成制度、育成枠、新規事業育成、等々、指導と同じようによく使われる「育成」という概念にはどのような定義があてはめられているのでしょうか。
育成の定義は、「育て上げること。育ててりっぱにすること」(デジタル大辞泉)であり、その具体的な行為とは

  • 発展を助ける、または成長を助けること
  • 人の心または礼儀を育むための訓練と教育を通じて社会化すること
  • 人を社会に受け入れられる一員として育てること

などとされています。すなわち、育成には組織人、社会人に求められる力(≒人間力)を育むという意味合いが包含されていて、中・長期的な視点での取り組みが必要とされるものなのです。

若手社員を「育成する」という発想を

ここまで指導と育成の違いについて考えてきましたが、その目的は、定義の違いに焦点を当て、ことば遊びをすることではありません。両者の目的の違いを明確にしたうえで、部下をもつすべての上司の方に「指導と育成の両方ができているか」を振り返っていただきたいのです。

管理職研修などで、人づくりに関して議論をすると、指導に関しては「できている」と答える方は多いのですが、育成に関しては「できていない」「自信がない」「そういう発想がなかった」といった回答が数多く返ってきます。
また、育成に関しては、「部下がいつまでこの会社にいるかわからないので長期的な支援がしにくい」という意見があります。

確かに、最近の若手は転職志向が強いので、定年まで同じ会社で勤め上げる人はわずかでしょう。でも、彼ら・彼女たちの転職行動を左右する要素に、「成長できる職場かどうか」という判断があると言われています。そうであるならば、上司が指導だけでなく育成の観点からも自分の成長を支援してくれているという感覚を持ってもらうことができれば、若手社員の早期離職をある程度、防止することができるでしょう。

新入社員を迎える時期を前に、上司・先輩・指導員の方がたには、人づくりの本質について考えていただきたいと思います。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 経営共創事業本部 本部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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