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従業員の主体性を引き出すマネジメント

2020年11月25日更新

従業員の主体性を引き出すマネジメント

やらされ感で取り組むか、それとも自分の意志で取り組むか、両者がもたらす仕事の成果には雲泥の差があります。言うまでもなく、自分の意志で主体的に仕事を取り組むほうが、生産性が高まります。 本稿では、いかにして従業員の主体性を引き出すか、そのポイントについて考えてみたいと思います。

日本レーザーに見る、「圧倒的な当事者責任意識」

従業員に主体性を求めること自体、非常に難しい課題と言えるでしょう。自分で事業を経営しているという立場にいる人以外は、どうしても組織に対する依存心が生まれてしまいがちです。
従業員の主体性を高めることに成功している企業として、レーザー専門商社である株式会社日本レーザーが注目されています。
同社には、ノルマという概念がありません。この会社では、経営状況や自身のキャリア開発等の観点から上司と部下が対話を繰り返しています。そのことで、一人ひとりがどんな業務目標を達成すべきかが明確になりますし、そうしたプロセスを経て設定された目標は、自分ごと化されていますので主体的に行動することができます。その結果、26年連続黒字という素晴らしい業績を達成しているのです。

同社の営業部員のある男性社員は次のような発言をします。
「正直に言って、私は商品を日本レーザーのブランドでは売っていません。そういう気持ちは、まったくないです。それにそもそも、日本レーザーの看板で商売ができるほど、この業界は甘くありません。私を含め、当社の社員は一人ひとりが自分というブランドを持っていて、その上で、日本レーザーの社員として仕事をしている感じがします」(※1)
この男性社員に代表されるように、同社の社員はみな「圧倒的な当事者責任意識」(同社の近藤宜之会長のことばを借りれば「自営業者的」意識)をもっていて、それが主体的に発想し行動する源泉となっているのです。

当事者責任意識の高め方

米国の組織社会学の専門家であるS.バッコルツとT.ロスは共著(※2)の中で、「当事者責任は、従業員が"業績目標"と"期待される行動"の両面から、自分は何を求められているかをはっきり理解している場合に生じる」と述べ、[当事者責任=業務目標×期待される行動]という方程式を明らかにしました。
業績目標とは、「売上〇億を達成すること」とか「不良率を〇%低減すること」といった具体的な指標のことであり、それがあることによって社員は何を達成するべきが明確になります。
一方で、当事者責任を高めるためには、業務目標だけではなく、期待される行動も伝えないといけないとされています。そして、期待される行動には、「成果に焦点を当てた行動」と「価値観に焦点を当てた行動」の二種類があるのです。
業務目標が明らかになっていても、それを達成するための行動の指針がないと、「成果さえ出せば何をやってもいい」という意識が芽生えてしまいます。昨今、不祥事を起こした企業を見ても、期待される行動、特に価値観に焦点を当てた行動に関する言及がなされていないので、コンプライアンス上の問題につながっていることがわかります。

日ごろからの密な対話の重要性

日本レーザーの事例でご紹介したように、人材の育成には日ごろからの密な対話を通じた意思疎通が欠かせません。テレワークの普及によって、フェイス・トゥ・フェイスの対話が難しくなったという意見も耳にしますが、工夫さえすればコミュニケーションはいくらでも図れるはずです。
主体性とそのベースにある当事者意識を育むためには、上司は部下に対して、業務目標を伝えると同時に、その目標を達成するためにどうすればいいか、期待される行動を理解し肚落ちさせ、実行に誘うようなマネジメントが求められるでしょう。

※1 出典:『社員に任せるから会社は進化する』近藤宜之著(PHP研究所)
※2 『成長企業が失速するとき、社員に"何"が起きているのか? 仕事に「働きがい」と「エネルギー」を取り戻す方法』S.バッコルツ、T.ロス著(日経BP)



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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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