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日大アメフト部の謝罪会見に見る「報連相」の基本姿勢

日大アメフト部の謝罪会見に見る「報連相」の基本姿勢

(2018年6月 5日更新)

 
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先月は、日本大学アメリカンフットボール部の選手が、関西学院大学との定期戦において相手選手に危険なプレーを犯し、大きな問題へと発展した報道が連日のように行われていました。

 

5月22日には、危険プレーを犯した日大アメフト部の選手が自らの意思において記者会見を行い、翌23日には続くように日大アメフト部の監督・コーチによる記者会見が行われました。

しかし、この2つの記者会見に対しての世論やマスコミの反応は、真反対と言っていいほどのものでした。日大アメフト部の選手の会見と、監督・コーチの会見とではいったい何が違っていたのでしょうか。

今回は、「報連相の基本姿勢」という視点から、この2つの会見について考えてみたいと思います。

 

報連相の基本姿勢とは?

日本報連相センターでは、報連相を行う上での態度・姿勢(自己の心身の在り方)として

『3つの方向』を説いています。

 

【3つの方向】

(1)相手と誠実に向き合っているか〔基本姿勢〕

(2)必要な場合には、相手に誠実に寄り添っているか

(3)相手と誠実に向き合っていない

 

この『3つの方向』とは、それぞれの項目に対して「出来ている、出来ていない」を測るものではなく、各項目の最後尾に「?」を付けて、自問自答を重ねるためのものです。

「相手と誠実に向き合っているか?」「必要な場合には、相手に誠実に向き合っているか?」「相手と誠実に向き合っていない(このようなことはないか?)」といった具合に、自分の心と向き合い、報連相を行う上での態度・姿勢、自己の心身の在り方を問うためのものなのです。

そしてこの『3つの方向』の基本姿勢となるのが、「相手と誠実に向き合っているか」という項目です。

この誠実に向き合うという態度・姿勢(自己の心身の在り方)は、報連相ですから当然相手に対してのことではあるのですが、広い視点で見ると社会や仕事、そして何より欠かせないのが自分自身に対する姿勢でもあるということです。

自己の内面において、自分と誠実に向き合う(嘘偽りなく自分と向き合える)ことのできない人間が、どうして他人や社会と誠実に向き合えるというのでしょうか。

 

反応が分かれた日大アメフト部の2つの会見

日大アメフト部の2つの会見について話を戻します。日大アメフト部の選手が行った謝罪会見に対しての世論・マスコミの反応は、おおむね「犯してしまった過ちはある。しかし、彼の会見での態度・姿勢・発言を見て、このことで彼の未来が奪われるようなことがあってはならない。今回のことをしっかりと受け止め、また頑張ってほしい」といった、意見が多く見受けられたように思います。

しかしその一方で、翌日に行われた同部の監督・コーチによる会見では、多くの非難の声が上がりました。

この2つの記者会見の反応の違い、その要因の1つには、会見を行った人間の心身の在り方があったのではないでしょうか。

選手の謝罪会見では、被害を受けた選手やその関係者の方々に対して、そして会見の場に対して、自分の「弱さ」による非を認め正直に話す、誠実な態度姿勢が感じられたからなのではないでしょうか。

翌日の監督・コーチの会見では、被害選手やその関係者、さらには自分たちの教え子であるはずの選手に対しても、誠実に向き合っているという姿勢が見られず、歯切れの悪い会見であったと感じた人は多かったように思います。

人は誠実さを欠いていると、自分に都合の良い情報を操作して(または創作や偽装して)発信しようとします。(または発言を控えようとします)

そして、そのことに頭脳をフル回転させるため、当然言葉の歯切れも悪くなります。誠実な態度・姿勢の人間は、事実を正直に話すだけですので、あまりそのような歯切れの悪い話し方にはなりません。

 

「相手と誠実に向き合っているか」を測るのは相手

日大アメフト部の2つの会見が、実際のところ「相手と誠実に向き合っていたか?」どうかは、わかりません。しかしその2つの会見を見た世論やマスコミが、双方をどのように受けとったのか。それは、2つの会見に対する反応の違いを見れば一目瞭然ではないでしょうか。

『報連相の基本姿勢が「出来ている、出来ていない」を測るものではなく、自問自答を重ねるためのもの』とお伝えしたのはこの部分にあります。つまり、「相手に対して誠実であるかどうかは、相手によって測られる」ということなのです。

日大アメフト部の会見を見て、「あっちの会見はよかった」とか「こっちの会見は、あれじゃダメだ」とか、批評家のようになってしまうのではなく、自分の仕事や人生に置き換えて、学びの糧とさせていただかなければなりません。他山の石としたいものです。

人材開発ご担当者が報連相の研修を企画する際には、方法やスキルを教えるだけではなく、相手と誠実に向き合っているかどうか、つまり人間性に働きかけるプログラム上の工夫がなされているかどうかを検討する必要があることを、改めて考えさせられた次第です。

 

 

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延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

なお、本稿は糸藤正士氏に著作権のある『真・報連相』を、著作権者の承認を得て使用している。


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